薬草つみに3(適当)




これの続き。


違和感に気付いたのはイルカがちょっとしたぬかるみに足を取られそうになったときだった。
唐突に背後で盛大に乱れたチャクラがうごめいた。
ほぼ里内といっていいここでの敵襲なんて、まるで警戒していなかった。
自分の気の緩みに反吐を吐きそうになりながら、慌ててなんでもないフリで気配を探ったら…何度確認してもそれは確実に俺が知っている相手のものだった。
それにいくら抑えても俺の耳がその声に気付けないわけがない。
「なにやってるんだろ…先生とうみのさん…」
先生が大分とんでもないことを言ってるのはわかった。やっぱりばれてるんだ。俺のこと。
それに、うみのさんがとてつもなく親馬鹿だってことも今更ながら再確認した。
どうしよう。もしかして先生がうみのさん巻き込んじゃってるんじゃないの?しかも確実に神経逆なでしてるよね?
「カカシ!ありがと!」
「ううん!ここら辺は足元危ないから気をつけて歩こう。もうちょっと行った先にあるはずだから」
「うん!」
冒険を楽しんでるイルカに、うみのさんのことは言い辛い。
先生がわくわくしてるのもわかるから、下手に動けば却って面倒なことになりそうだ。
なにより…うみのさんの刺すような視線が恐ろしい。
こうなったら意地でも気付かないフリをして、今回の任務を片付けてしまった方がいい気がする。
気配を殺してるくせに盛んに言い争う二人を無視して、さりげなく速度をちょっとだけ上げた。
イルカもはじめてみる景色に興奮してるから、多分不自然じゃないはずだ。
「あ、ほらあった!あったよ!」
「あー!ホントだ!カカシすごい!」
「ん。ありがと!」
ここに大量に自生してるのは知ってたけど、もしなかったら不穏な二人を引き連れてイルカに悟られないように移動しなきゃいけなかったから、ほっとした。
「んっと。これとこれとこれ?」
「そう。あ、それからそっちは…はい」
「てぶくろ!」
「そっちのはチャクラでガードするか、こういうので触ってね?かぶれるから」
まだチャクラを練ることはできても、上手く使いこなせないイルカには必要だろうと思って持ってきてたんだよね。
「そっかぁ…!すごい!」
しきりに関心して嬉しそうに薬草を摘んでいるイルカにはすごく和んだけど、背後の二人のおかげで堪能し切れそうにない。
すごいぞイルカ…!とかいってるうみのさんに、先生がうちのカカシ君は賢いでしょう!とかいって張り合ってるし。
あーあ…帰ったら大変なんだろうな…。
「集めたら種類ごとに袋に入れてね!」
「うん!」
…でも、ま、いっか。
こうして二人っきり…とはちょっと言いがたいけど、一緒にすごせることだけでも幸せだしね。
うみのさんと先生の感動の声と怒声を聞きながら、俺は色々なことを諦めることにしたのだった。


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子カカイル祭り継続中。
子カカシも苦労人。
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