独占欲5(適当)




これの続き。 



逃げられるとおいかけたくなるじゃない?
お茶入れてる間に戸惑っていたはずの気配が急に静まって、しかも玄関に移動したから当然跡を追った。
かわいい人は結界に驚いて、そのくせ怯えられたら興奮するなぁなんて思ってたのに、出られないと告げただけでうっとりと笑みを浮かべた。
そう。嬉しいの。
どうしようか。俺の方こそこのまま閉じ込めちゃいたい位嬉しいんだけど。
いっそのことこのままここで…と思わないでもなかった。
でも流石にここじゃねぇ?多分そんなに経験なさそうだし。
…ちなみに、この人のことが気になりだしてから、一通りのことは調べ上げた。
この人には今、男は勿論女も一切いない。
相当昔のことまで洗ったが、そういう関係になった相手は出てこなかった。
少しばかり不自然に記録が出てこない期間があったんだけど、ね。
それは多分この人がこうして怯えて、そのくせ蕩けてみせる理由なのかもしれない。
ま、追々わかるでしょ?
…秘密にしておきたがっているのと同じくらい、多分この人は俺に誠実であろうとするから。
だからこそこの人を今頂いてしまいたい。
一々真面目で誠実なこの人の理性の壁は、死ぬほど厚い。忍であることが信じられないほどに。
それを突き崩せる既成事実が欲しかった。
大切な人には、きっともうとっくにしてくれている。
この人がそれを認めたがっていないだけだ。
苦しそうな顔で俺を拒んで逃げようとするくせに、捕まえたらこうだもん。
…そりゃ、ね?我慢なんてできるわけないと思わない?
「おいで」
興奮を逃がしたいのか、腕の中に閉じ込めた人がふっ…と息を吐いた。同時におずおずと、だが縋るように背に回った腕に、頭がおかしくなりそうなくらい興奮した。
「…カカシさん」
潤んだ瞳。苦痛を堪えるように歪んでいる顔とは裏腹に、唇から零れる吐息は興奮に満ちて甘い。
この人は、俺を欲しがっている。
たとえ錯覚でも良かった。呼吸が止まりそうなほどの興奮と歓喜ってやつを始めて味わったかもしれない。
抱き上げて、ベッドに押し付けて唇を奪うまでは一瞬で、戸惑う人が戸惑う余裕すら失うほどに何度も口付けた。
ぼんやりと虚空を見上げて不思議そうな顔をしている。
まだ何もかも始まったばかりなのに。
「全部、俺の」
言葉にすると、湧き上がる幸福感と期待で鼓動がうるさく騒いだ。
どさくさにまぎれて脱がせたベストは床に放った。殆どひっかっているだけのアンダーから覗く素肌は薄紅色に染まっている。
「ぜんぶ、おれの」
そっくり同じ言葉を繰り返して、笑った。
無邪気な子どものように澄んだ瞳に喜びを刷いて。
「そ。俺のだし、アンタのものだから大事にして」
耳元に吹き込むように囁くと、くすくす笑いながらしがみついてきた。
多分、正気じゃない。それでもよかった。
「おれの」
「うん」
下肢に手を伸ばしても抗うでもなく、ただ不思議そうに体を引きつらせている。
自分の反応が理解できないんだろう。
どうせなら、もっとびっくりするくらい気持ちよくなってもらわなきゃね。
「好き。大好き。だから、ごめんね?」
止まる気なんてないけど、多分これは合意じゃないから。
「んっ…!え…あ…?」
それでも怯えるでもなくどこか必死に俺にすがり付いてくるのが嬉しくて、興奮して。
理性のネジなんてあっという間に何処かへ行ってしまった。


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適当。
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