先輩―求愛―


一旦頭変えたいのでサイヤマを上げてみます。後でなんか他のもの上げたいです。

「好きです。ヤマト隊長。」
「…僕は君を班員としては評価してるけど、そういう意味では見てないよ。…その冗談。いい加減飽きないのかな君は。」
この子は顔を合わせるたびにこうだ。ナルトもまあ、顔合わせる度にサスケサスケ言ってるし、サクラもすぐに拳でものを言わせようとするし、 5代目譲りで怒らせると危険だし…うちはサスケも何だか人の話し聞かなそうだったから、先輩は苦労してたんだろうなぁ…。
まあそのたびにイルカさんに甘えてたんだろうけどね。
ちょっと現実逃避してたら、淡々とサイが話しかけてきた。
「冗談じゃありませんから。あなたを僕の側におきたいんです。ずっと。」
「あいにく僕はかわいいお嫁さんを貰うのが夢なんだ。諦めてくれるかい。」
何でこんなにしつこく僕に執着してるのかいまいち理解できないんだけど…。やっぱり根の国からの命令なのか?
まあそうじゃなくても、僕が結婚するならイルカさんみたいなかわいくてやさしい人がいいんだ。こんな…何考えてるかわからない上に いきなり…あんなことするような常識の無い人間はお断りだ。
「へぇ…忍びなのにずいぶん可愛い夢をお持ちなんですね。」
相変わらず、例のうす笑いを浮かべたサイが、かなりイラつく事を言った。
「…サイ。僕の夢にケチをつけてる暇あったら、君の理想の人を探した方がいいよ。」
多分この子は良く分かってないんだろう。忍だからこそ守るものが必要なことに…。先輩だってイルカさんがいるからココまでがんばってこれたってこと、 僕が一番側で見てて良く分かってる。でも根じゃそういうまともな教育は受けてないんだろうから仕方ないか。
…この子にもイルカさんみたいに和む人がいいよね。それでちゃんと常識がある子が。
なんで僕なんかにちょっかい出すようになっちゃったんだか…。根の教育体制には疑問を持たざるを得ないな…。
「あなたが、僕の理想の人ですから。」
「勝手に思い込むのはいいけど。迷惑だ。」
理想の人って…普通相性がいいひとにするんじゃないかな?どう考えたって、僕はサイといて和んだりしないよ。緊張はするけどね。
どこが基準何だか、僕には分からない。それなのにこの子は僕に執着している。厄介なことに結構なしつこさで。
僕のため息を無視して、サイは唐突に質問してきた。
「隊長は…大蛇丸の実験体。だったんですよね?」
「…!だから…なんだい?」
今更その事を蒸し返してくるとはね…。やっぱりまだスパイの可能性が…?
といっても、僕のデータはちゃんと火影様が管理してるし、古いデータは破棄されてるからまた僕みたいなのを作ろうと思っても無理なのに。
警戒している僕に、サイはすっと距離をつめて僕の顔を覗き込んできた。
「それなのにあなたは…とても正常に見える。だから惹かれました。」
淡々と話すサイの妙に真っ直ぐな視線に負けないように、僕もサイをにらみ返した。
「それで?どうしろっていうんだい。僕に。…いいかげん不毛な会話はよさないか?」
正常。正常ね…。確かに僕以外の実験体はほとんどが死んだ。まあそれだけむちゃくちゃな実験だったってことだけど、 それでも根のものは興味があるのか…?
「有益ですよ?僕にとっては。ヤマト隊長の置かれた環境にも興味がありますしね。…確かうみのイルカ中忍といいましたか? あとは…狐憑きとも呼ばれてましたっけ。」
「…あの人に手を出すのは止めておいた方がいいよ。カカシ先輩に殺される。」
一瞬殺気がでそうになった。危ない危ない。この子は他人の神経を逆撫でして情報を仕入れようとするところがあるから注意しないと。 まあ、素でもコミュニケーション能力に問題ありそうだけどね。
それにしても…先輩の奥さんに手を出したら殺されるだけじゃすまないのに、無鉄砲というかなんと言うか…これだから無知って怖いよ。
「あなたにも。でしょう?…ふむ。恋敵の調査は必要ですね。」
僕の一瞬の殺気を読まれてたみたいだ。でも言ってる内容は相変わらず的外れでむちゃくちゃだ。
「根では何を学んできたか知らないけど…不用意なマネは止めておきなさい。カカシ先輩の怖さは僕が良く知ってる。」
説教じみたことしか言えないけど、コレがお互いのためだ。できれば僕だって同胞を手にかけたくない。そんなことしたらイルカさんが悲しむ。
「…あの人があなたの親ですか?」
「…?僕の親はいない。君も知ってるだろう?僕は実験体だから…。正確には細胞レベルの親はいるんだろうけど、誰か分からないし、 初代様のものもまじってるしね。大体先輩と僕はそんなに年が…」
先輩が僕に対してあんまりにもえらそうだから勘違いしたのかな?まあ以前より大分丸くなったんだけど。
それに…僕に対する先輩の態度を見てたらパシリだってわかりそうなもんだよね…。
本気で根の教育はどうなっちゃってるんだろう?
「あなたが正常なのは、彼らに守られていたからなのかな?…まあ、あなたが今のあなたなのは僕にとって幸いだし、今あなたが欲しいのは 僕だけみたいですから、早めに動くことにします。」
僕の話を理解しているのかしていないのか、サイは一人で納得して一人で決心したみたいだ。
「だから、僕の話を聞きなさい。サイ。…いいから、あの人たちには手を出すな。…そうでないと同胞相手だからって僕は甘くないよ?」
まあその前に先輩に抹殺されるのは間違いないけどね。いつもは僕に色々押し付けてくるけど、イルカさん絡みのことは、絶対に自分でやるから。 先輩は。しかも徹底的に。
それでもイルカさんへの悪意を口にしたサイに苛立って、僕はサイに向かって意識的に殺気を向けて威嚇した。
「その顔…僕好きですよ。」
だが、サイはあのはっきりしない笑顔のまま、それだけ言うとまた僕の側に寄ってきた。
「…もう、帰りなさい。」
どうしてこの子はいつもこうなんだろうね?全然意図が分からないよ。
視線をそらしながらうんざりしていたら、サイの手が僕の腕を掴んだ。
「はい。でもその前に…。」
サイは僕の腕を掴んでることなんてなんでもないことみたいに言った。そして…
「なんだい?まだ…っん!」
まただ!何で…気配まで消してこんな真似するんだ!!!
キスって…こんなにホイホイ任務でもないのにするものか!?
「放しなさい!」
肩を掴んで引き剥がして、袖で口を思いっきり拭った。それでも残る感触に頭から奇想天外でも生えてしまいそうだ。
だがサイはどこまでもマイペースだった。
「ああ…じゃあ印だけつけときますね。隊長は隙が多そうですから。盗られたら困る。」
そういうと首筋に生暖かい感触とちりっとした痛みが走った。このすばやさは流石だけど…一体何なんだ!?
「ではまた。ヤマト隊長。」
「…一体何なんだ…!?コレも根の国の指令…なのか?」
にこっと微笑んで去っていく得体の知れない少年の背を見送りながら、僕はまた混乱の渦に突き落とされたのだった。

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思いつかないのでとりあえずサイヤマを書いてみました。
苦手な方はスルーでお願いします。

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