お見舞い

よめがウワキしたのなんだのと、訳の分からない言いがかりをつけられてから、三代目によるよめイビリを心配していたが、今のところ何かされたと 言う話は聞かない。
それ以前に最近三代目が執務室に閉じこもりっきりの様で、受付まで出てこないので、なんだか会いに行きづらいというのもあり、その辺りの確認が遅れている。
よめのかわいらしさに嫉妬した性格の悪い老人の犯行だったらしいが、そのあたりの話も是非したかったのだが…。それにちょっと言い過ぎちゃったので 謝りたいし…。でもよめの件に関しては謝ってもらわないと!
そんなことを考えながら、今日もよめの作った美味い飯を食う。
「イルカ先生!この間はお客さんに合わせちゃいましたけど、今日は!ちゃんとイルカ先生の好きなものを作りますから!!!」
とあの日から毎日張り切ってくれていて、今日は俺の好きな硬めの飯に、汁代わりのそうめんがつき、おかずもオクラやトマトなど、季節の食材をふんだんに使った すばらしい飯を作ってくれた!見た目もきれいだが、なにより凄く美味い!!!さすがうちのよめだ!!!
この間はうちのよめの交友関係の広さに驚いたが、コレだけ何でもできるよめだからこそ、部下もついてくるのだろう。料理の腕や家事の手早さなども すばらしいが、気遣い一つとっても、こんなにできたよめはどこにもいない!
「イルカせんせ?美味しい?」
かわいらしく小首をかしげて聞いてくるよめは、今日も最高だ!!!
…やはり一度三代目のところへ挨拶に行かねばなるまい。かわいいよめを見るに付けそう思う。
…まずは酷い疑いをかけたことをわびてもらって、できればついでに、よめがしっかり懲らしめたという悪い爺さんなる不審者を更にきっちり 成敗してもらわねば!!!
大切なうちのよめに、また悪さをしないとも限らないし、なにより三代目にも、よめにきちんと謝罪してもらわないと、俺の気がすまない。
「…明日…。」
明日がいいかもしれない。よめの任務もないし、俺も午後から出勤だから、余裕がある。さっそくよめにも確認を取ろう。
「明日がどうしたんですか?」
「え!ああ。三代目に今回のことの報告にでも行こうかと。一緒に。」
ああ、やっぱりうちのよめはよく気がつく!俺のつぶやきを聞き落とさず、ちゃんと優しく聞いてくれた。こんなよめを困らせた三代目には、 やっぱり責任を取ってもらわなければ!
「あ、でも。三代目って今寝込んでいらっしゃるんじゃなかったですか?夏風邪とか…ゆっくり休ませて上げた方がいいかも?」
それは初耳だ!見舞いが先だな。
「じゃあ、水羊羹でも持って…あとは…スイカかな?お見舞いだし。」
「…だったら、俺が今から作っておきますね!水羊羹。スイカは…明日お店が開いたら買いに行きましょう。」
よめは手早く段取りを決めると、台所に入って準備をし始めた。
俺は、あんなに酷いことを行った三代目にも優しくできるよめの優しさに感動しながら、今日も食後のデザートまでしっかり味わって食べた。 明日は…ちゃんと三代目にもわかってもらうぞ!!!
*****
三代目に食わせるんだったら適当でいいかなとも思ったが、おそらくジジイは受け取らないか、俺とのやりとりでまた呼吸をとめるかのどちらかなので、 残る可能性のほうが高いと判断し、後でイルカ先生が食べられるようにちゃんと丁寧に愛情をこめて作った。ついでにオマケも。
この間、ジジイがくだらないはかりごとをかましてくれたので、とりあえず俺の部下を引っ張っていって白黒はっきりつけた後、 たっぷり復讐しようと思ったが、かつての部下が大暴走してくれたので…俺のほうはちょっと仕返ししそこなっていたのだ。
何しろ元々わりと凶暴…いや、サドっ気があると言うか…。ま、暗部なんてそんなヤツばっかりだが。
他の任務に出ていたから三代目は安心していたのだろうが、アイツはこの間の任務で自分の夫についてのろけまくり、片時も離れたくないからと、 どうやったら任務時間を短縮できるか俺に聞いてきたほどだ。
一緒に任務に行ったときに、俺がイルカ先生のために早く帰っていることを聞き、どうあってもヒントが欲しかったらしい。
俺もその気持ちは凄くよく分かったので、懇切丁寧に教えてやった。最終手段としてのクマ活用法は省いたが…。
で、しっかり教えてやった甲斐あって、ちゃんと任務終了予定日より大分早く帰ってきていた。
早速、三代目の悪巧みについて話すと、ものすごく怒り出し、何かコソコソやったあと。
「三代目のところへお話しをに行きましょう!!!」
などといっていたが、実際はむしろ怒鳴り込みに近い状態だった。
愛する二人を引き裂こうとするなんて!と大いに憤慨し、三代目の執務室へ飛び込むなり、勢い良く怒鳴りつけた後輩は、
「三代目ヒドイ!なんてことするんですか!先輩がかわいそうだと思わないんですか!!!しかも私の部下まで虐めて…!!!もう!!!」
などなど…延々とまくし立てた。
…一応里長直属組織の部隊長の癖に、過激なヤツだ…。
こんなことを言われては女には弱い三代目のこと、すぐに撤回するかと思いきや、意外にも往生際悪く反論してきた。
「ええい!イルカのためじゃ!!!こんなヤツの側に置いておいたらイルカが不幸になる!!!今すぐ別れろ!!!いや…里外長期任務につけ!!!」
無謀なジジ馬鹿だな…。自分の直属の部下であるコイツの性格を知らないわけじゃないはずなのに…。
俺があきれていると、…やはり沸点を超えてしまったようだ。
「へえ…。そんなことをおっしゃいますか。そうですね…では我が隊は今後一切任務を放棄します。処分するというのならご自由に。ですが!!! 他の隊の者たちにも今回の事は伝達済みです。」
「な!」
へぇ。さっきなんかこそこそやってたのは、このことか。それにしても相変わらずキレると凄いな。…コイツと良く結婚する気になったな。あの中忍。
騙したりしてないだろうな…。
「カカシ先輩は人望がありますので…我が隊だけで済むとは限りませんね…三代目。どちらに分があるか…おわかりですね?」
あーあ。コイツを怒らせたらとんでもないことになるのに…。コイツこそ結構人望があるし、敵に回したら怖い性格だから、影響力がしゃれにならないんだよな…。 俺はもう一応暗部をやめているが、コイツの報復を恐れて言うことを聞くやつは山ほど心当たりがある。…ジジイもこのあたりで諦めたほうがイイと思うんだが。
「うぅ…。」
三代目が呻いている。顔色もやっぱり変色してきた。 「…どうしてそんなに先輩のことを拒まれるのですか?里切っての腕利き上忍で、財産もありますし…なによりあんなに愛情に溢れる夫婦はいませんよ?」
追い討ちをかけるように三代目に後輩が問いかけた。
…まあ、確かに俺のイルカ先生への愛を越えるヤツなどはいないと断言できるし、俺もイルカ先生にはすっごく愛されてる自信があるが… 流石に面と向かって言われると照れるな…。
「だが!!!コイツは男じゃ!!!イルカには可愛いよめがねがたくさん…」
俺がついついイルカ先生のかわいらしさについて思い出している間にも、まだまだ三代目はごね続けている。
言ってることはわからなくはないが、勿論俺も譲る気はなく、ジジイを脅迫…いや説得しようとしたが、その前に後輩が黙っていなかった。
「カカシ先輩がいらっしゃいます。私なんかよりずっと出来たお嫁さんですよ?料理も洗濯も掃除も。ああ…でもあっちは…」
前半部分にちょっと感動しかかったが、余計なことまで…!
「ちょっと待て。ソレは駄目でしょ!!!」
「なんじゃ!!!貴様やはり!!!ウワキでもしておったんじゃな!!!」
ウワキじゃないけど、ジジイに話していい話題じゃないし、…もしイルカ先生に知られたらきっと…怒られる!!!
だが、俺の視線による制止に、ヒートアップした後輩は全く気付かず、口の動きが止まらない。
「違いますって!あっちって言えば…あっちの方ですよー!ホラ、何回とかどこでどうやったとか…色々話聞いてもらったり聞いたりしたんでー!!! もう!い・ろ・い・ろ!愛されちゃってますよ!!!イルカさん!!!淡白そうな顔してやるときはやりますね!!先輩って!!!… ちょっとやりすぎなくらい?」
後輩は三代目の怒りにも全く臆することなく、さらさらとよどみなく俺たちの夫夫生活を暴露し始めた。
あーあ…。こうなったら三代目相手でも口止め交渉を…。
そう思ったのだが、その前に三代目に限界が来た。
「イルカ…!!!!!ぅっ!!!!」
一声叫ぶと、すっかり土気色に変色した三代目が動かなくなった。…やっぱりまだ本調子じゃなかったんだな…。
「あ、三代目。大丈夫ですか?なんか顔色悪いですよ?」
「あーうん。いこっか。もう。」
あの様子なら多分またしばらくは寝たきりだろう。…ジジ馬鹿すぎてちょっと哀れだが敵に容赦はしてやらない。
護衛の暗部に適当に病院にでも放り込んで置くように後輩が指示し、俺はさっさと帰ろうとしたが、後輩がソレを見咎めた。
「先輩!!!ダーリンに美味しいもの食べさせたいんです!!!でも…私って料理苦手じゃないですか!!!だから、先輩!料理作ってください!!!」
「え?」
確かにコイツの料理は毒薬に近い…が、俺の料理はイルカ先生意外に食わせたくないんだが。
「だったらさ、美味い店紹介するよ?」
イルカ先生のための料理を考えるのに、色々まわったので、俺は木の葉の料理屋事情に結構詳しいのだ。
「えー!でも、先輩の料理の方がおいしいじゃないですか!!!ダーリンはキムチ鍋がすきなんです!!!だから、今度ご馳走してくださいよー!!!」
後輩はさっきと同一人物とは思えないような甘えた口調で言ってくる。
…イルカ先生以外に甘えられても嬉しくないが、まあ、今回は確かに俺だけだと泥仕合 になる可能性が高かったから、礼はしておくべきだな。…今後も暗部を利用できないようにするためにも。
「あー…。じゃ、いつがいいのよ?旦那って確か内勤の中忍でしょ?」
内勤は、配属先にもよるがシフト制で動いていることが多いので、時間を合わせなければならない。
コレはイルカ先生と付き合う上で詳しくなったことの一つだ。
「はい!!!もーすっごくかわいいんです!!!やさしいし!怪我とかしたときなんか真っ青になって心配してくれるし!!!」
「ノロケはこの間十分死ぬほど聞いたから、予定。分かったら教えてね。それに…お前も早く帰りたいでしょ?旦那さんのとこ。」
「はい!じゃあ次の休みがいつか連絡しマース!!!」
元気一杯にそう言ったかつての部下の希望を、半ばいやいや聞いてやったが、意外にも…大正解だった!
俺はうっとうしく思ったが、イルカ先生はいちゃつきバカップルに触発されて、かわいくよりそってくれたのだ!!!
その番はしっとりと盛り上がり、楽しい夜を過ごすことができた。
その後は、やはりイルカ先生の食事はイルカ先生好みのものにしたかったので、最近はイルカ先生の好みのものばっかりを作っている。
だが、これからもこの手は使える…!一応これからもちょこっとだけ会う機会を作ろうか…?
悩みつつも明日のための水羊羹をそっと冷蔵庫に仕舞った。
*****
火影邸にお邪魔するのも久しぶりだ。お見舞いの花とスイカも買ったし、なによりうちのよめが作ったうまい水羊羹もあるので、きっと三代目の風邪も、 すぐ治るに違いない!!!
それにしても今朝味見した水羊羹はうまかった。…何個でも入るくらいだが、お見舞いの品だから我慢した。三代目もきっとあまりの美味さに驚くに違いない! スイカは冷やしてこなかったので、今は食べられないから、水羊羹はその場で食べてもらいたいな…。
そんなことを考えながら三代目の部屋に案内された。
「お久しぶりです。三代目。」
「お…おお!イルカ!」
確かに顔色が悪い…。布団から身体を起こすのがやっとのようだ…。どうしよう?よめには絶対に謝って欲しいけど、今は無理かもしれない…。 流石にこんな状態だと命取りになりそうだ。今日の所はお見舞いだけで…
「お久しぶりですねー。三代目。」
「貴様もか!」
キチンと挨拶した俺のよめに対して、三代目が暴言を吐いた。
ああ!もしかしてまたよめいじめか!?せっかく遠慮してたのに!!!
「ちょっと!三代目!うちのよめになにするんですか!!!」
やっぱりまだ誤解したままなんだな!早く勘違いを正さないと!
「先日の件ですが、完全な濡れ衣です!!!うちのよめが手ずから首謀者の悪い爺さんを倒してくれましたのでご安心下さい。 うちは今でも家庭円満です!!!」
本当は三代目にもちゃんと正式な処罰を下して欲しかったけど、その前に事の顛末を説明して理解してもらわないと。 きっと風邪のせいで混乱してるんだろうから、分かりやすくポイントを押さえて…安心させてあげないと!これ以上誤解でよめをいびられては困る。
「悪い…爺さん…?」
案の定三代目は混乱しているようだ。ちゃんと分かってもらわないと…。
「ええ!しっかりやっつけたそうですよ!あ!そうだその前にお見舞いに…水羊羹とスイカです。お花も。早く元気になってくださいね。」
よめがウワキをするはずがないし、何よりよめが手ずからその悪い爺さんをしっかりやっつけてくれたのだから、そんなに不安にならなくても大丈夫なのに…。
こんなに気にして…。
「ああ、イルカ先生。スイカ冷やしてきてもらった方がいいんじゃないですか?」
「あ!そうですね!」
やっぱりよめは気が利く!今から冷やしておけば夕飯のあとにたべられるし、三代目の具合は相当に悪そうだから、スイカはうってつけだろう。
「すみません。俺が行けばいいんでしょうけど。ほら、今お茶を入れているので…。」
よく気がつくよめは、お見舞いのために、冷たい抹茶を用意してくれたのだ。
…俺はどうやってやるのかわからないし、ここはさっさとスイカを冷やしてきた方がいいだろう。よめが心配だから早く帰ってこないと…!
「では一旦失礼します。水羊羹は冷やしてありますから!」
「イルカ先生。すみません。お願いします。」
「大丈夫!すぐ戻りますので…。」
よめが謝るのを軽くいなし、三代目にも挨拶しておいて、スイカ片手に台所へ急いだ。
早く冷蔵庫に入れて、…できればよめのことも話さなくては…!
*****
「だれが悪い爺さんじゃ!!!!」
「あ、自覚あるんですね。思ったより元気で何よりです。」
実際悪い爺さんだろう。やってることが子どもそのものだし、大体私情で暗部を脅すなんてどうかと思う。このジジイが火影でなかったらもっと早く闇 に葬れるものを…。
「貴様の顔など見たらまた体調が悪くなるわ!!!さっさと去ね!!!」
…完璧に逆上してるな。これは。…イルカ先生が戻ってくるまでに沈静化させとかないと…。イルカ先生は水羊羹をちゃんと食べてもらいたいし。
「大体貴様はよめといいながら子も産めんじゃろうが!!!ワシは孫の顔が見たいんじゃ!!!」
…木の葉丸は孫じゃないんだろうか…。大体イルカ先生の子どもは全然三代目の孫じゃないだろうに。
言ってることがめちゃくちゃだな。すっかり頭に血が上っているようだ。
…さっさと黙らせよう。イルカ先生に被害が及んだら困る。
「…そんなに孫が欲しいんだったら、産みますけど?」
すでに術は完成済みだ。安全性も…一応しっかり確かめた。
「なんじゃ!なにをいうておる!?」
よし、敵は策に乗ってきた。実際に産むだけなら何とかできる。育てるのはやったことがないが、イルカ先生とならなんとかなるだろう。 なにせ子ども好きだし愛があるからな!
それにしても…ジジイはしっかり混乱してるな…もう一押しか?
「別にイルカ先生に産んでもらってもいいけど。大変そうだし俺が産んだ方がよくないですか?」
コレも本当。まあ卵で産んで体外で育てるから、そんなに負担はかからないんだけどね。あっためるなくても大丈夫だし。チャクラは食うけど。
「ふざけるな!!!」
「別にふざけてませんよ?あ、子ども自体は三代目でも産めますよ?ちなみに。あとヒゲクマでも大丈夫ですけど。孫だらけですね。あ、子ども、もか? …でもそうなると、三代目の子どもだの孫だのなんだので里が一杯になりますね。そういうのがうれしいんですよね?」
一瞬自分で三代目やらヒゲクマそっくりな子どもだらけの里を想像してがっくり来たが、ジジイにも止めをさせたようだ。
「…ぅッ!!!」
短く呻くと、布団に沈んでいった。
…よし!今回も勝利したな。脈だのなんだのには今確認した所は問題ないから、あとはイルカ先生をうまく誤魔化して…。
あ、ちょうどいいタイミングだ。
「三代目!切ってから冷やせばすぐに食べられるって台所で…アレ?」
イルカ先生が息せき切って部屋に飛び込んできた。暑さのせいだけでなく赤く色付いた顔と必死な表情が…うん。帰ったら美味しく頂こう!
…それにしても、ずいぶん急いでくれたようだ。火影邸の中は護衛以外のものは、基本的に忍術使用禁止だから、必死で走ってくれたに違いない。 それもたぶん俺のことを心配してのことだろう。イルカ先生は俺のためなら、三代目にさえ噛み付く位俺を大切にしてくれる。
あまりの嬉しさにイルカ先生を抱きしめたくなったが、ここではマズイ。護衛にイルカ先生のかわいい顔は見せたくないし、 ジジイが正気づいたら面倒だ。
…その前にやることもあるし。ああ…さっさと帰ってイチャイチャしたい。
「ああ、三代目もつかれていらっしゃったみたいで、眠っちゃったんですよ。」
ま、ウソだけどな。それにしてもこんなにすぐ卒倒するなんて…年かな?
「ええ!大丈夫かな…?それにしてももったいない…。お茶も水羊羹も手付かず…。」
こうなるって予想してたんだけどね。イルカ先生に食べてもらうんでも無ければ、お茶だのなんだのまで用意してこないし。
さ、せっかくイルカ先生のために作ったんだから、食べてもらわないとね!
「イルカ先生…もったいないから食べてもらえませんか?水羊羹は水が出てきちゃうからおいとけないし。お茶も今なら冷たいんですけど、この暑さじゃ… すぐにあったまっちゃうと思うんです。三代目が起きるまで持たないから…。ね?」
かわいらしくお願いされると、どうあってもそのお願いに答えてやりたくなる。
「あ!そうか。…しょうがないですよね。起きるまで待ってたら美味しくなくなっちゃうし。…今度また作って持ってきましょう!」
「ありがとうございます!!!」
早速イルカ先生のために用意した水羊羹と冷やし抹茶を出した。
「うまい!!!」
口いっぱいにほおばって水羊羹を食べるイルカ先生は…なんていうか他の事を想像させるな…。帰ったら…どんな風に楽しもうか…。
「抹茶もどうぞ。」
ちゃんとイルカ先生好みに仕上げるために、甘みも少しつけてある。俺はそのまま飲むのが好きだが、イルカ先生ならこっちの方が好きなはず…。
「あ、ほんのり甘い…!これおいしい!」
「よかった!また今度作りますね!」
「是非!三代目にも!」
「…そうですね!」
多分喜ばないというか、今度会うときは死闘になるかもなぁ…。ま、サクッと返り討ちだけど。
「ちょっとまって、イルカ先生。ヒゲついちゃってる。」
イルカ先生に抹茶のひげが…。クマのはかわいくもなんともないが、やっぱりイルカ先生だとかわいい…。ああ、ここが火影邸でなかったら…!!!
「あ、付いてる?ん。ほんとだ。」
あ!イルカ先生が口の周りの抹茶を舐め取った…。口元が…!もう我慢できない!!!
「イルカ先生。三代目がゆっくり休めないから、今日の所はもう失礼しましょうか?」
「そうだな…寝てるし…。今日は帰りましょう。」
そうしましょう!そして家に帰ったら…舐めまくろう。
俺はイルカ先生を美味しく頂く計画を胸に、手をつないで家路を急いだのだった。

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よめばなしの追加。
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