気がつけば変態

「あらイルカ。今日はどうしたの?」
アカデミーから受付所へ向かう途中で、紅先生とばったり会った。…変態への対応に追われてしっかり話したことは無かったが、イノたちなどからは、 なかなかいい先生だと聞いている。
だが、それよりも!!! …たまに例の変態犬を連れずに外出すると、すぐこれだ。最近どうも周りに避けられているようだし、変態犬への対策も頭打ちだ…そろそろ何とかしなければならないな。 まあ、実際今日のようにあの変態に難しい任務が来ることは早々無いのだが。
一応あれでもちゃんと上忍師をこなしているというのだから驚きだ。…ナルトたちの前ではちょっと変程度で済んでいるらしいのでもう口を挟むのも諦めた。
それでも…コレだけいっておかなくては!
「いつもアレを連れているわけではありません!!!」
大体連れているというよりも着いてくるのだアレは。…むしろイルカに憑いているのかもしれない。
大分変態犬の扱いにも慣れてきたが、最近スキンシップと称してきわどいところを触ろうとするなどの危険行動が増えたし、スタミナ料理も良く 考えれば裏がありそうだ…。それに、いくらアレを踏みつけても、結局は喜ばれるだけなので躾になっていないのだ。
しかも!この間の夏季合宿でのヤツの行動から考えても、明らかにヤツの限界が近づいている…!!!
…身を持ってソレを痛感した俺は、今新たな対策を模索中なのだが…。いまいちはかばかしくない。まだ写真は使えるかもしれないが、ヤツがいつ 切れるかはわからない…。写真よりも俺本体を狙ってくる可能性は十分にありうる!それにあの写真は諸刃の剣だ。何せ興奮具合が半端無いからな…。
だがコレしか手は…。
色々考えてちょっと憂鬱になっていると、紅先生が唐突に爆弾発言をかましてくれた。
「でも、もう付き合って大分経つでしょう?」
「は?」
今とんでもないことを聞いたような気が…。
「だって、指輪もおそろいだし、まあ首輪とかは、…ちょっと特殊嗜好かなーって思うけど。いいんじゃない?別に隠さなくても。」
特殊嗜好…確かに…。じゃなくて!!!俺は別にあんな変態と付き合った覚えは無い!!!コレだけは声を大にして言わなければ!!!
「違います!!!あんなのとねんごろになった覚えはありません!!!」
あ、ちょっと目から鼻水がでそうだ…。…泣いてない!泣いてなんかいないぞ!!!…くそっ!!!
「え…?でも…」
紅先生は俺の反応によっぽど驚いたのか、パッチリした美しい瞳を瞬かせながら、不思議そうにしている。…誰がそんな大嘘を吐いて回ったんだ!!!
「でも!なんです?!」
犯人をはっきりさせて、下らないウソを広めたことを後悔させるためにしっかり締め上げて、俺があの変態とは無関係だったと証言させないと!!!
そう息巻いていると、紅先生はさらっと犯人を明かした。
「カカシがもうすぐ正式に結婚するって言ってた後に、イルカ先生がおそろいの指輪つけてるの見たから、てっきり…。」
そうか。…そういうことか…!!!
「あの…クソ犬が…!!!」
帰って来たら踏むだけじゃ飽きたらん!!!むしろ抉る様なパンチをどてっ腹に決めてやらねば…!!!
「イルカ…?大丈夫?」
紅先生は俺の様子を心配してか、うつむいた俺の顔を覗き込んでくるが、正直に今その美しい口から吐かれた言葉が俺の心を抉りましたとは言えず、 男らしくこう堪えるしかなかった。
「…すみません取り乱しました。…ソレは全く事実無根です。あの変態は俺のストーカーで決して伴侶などではありません!!!」
胃が痛むのを感じながらもそれだけ言い切ると、俺はすっかり忘れていたことを片付けることにした。
「すみませんが、ちょっと急ぎの用事を思い出したので失礼します!!!」
「え?あらそう?頑張ってね。」
美しい女性に失礼な真似をするのは気が引けるが…それよりなにより誤解の原因の一端を担った物体を排除しなければ!!!
*****
「三代目!!!コレ!はずしてください!!!」
三代目は受付で座っていたので、これから受付勤務に入るには好都合だ!!!
とにかくあの変態がいない今だからこそ、この呪われた銀色をはずすチャンス!!!
俺は縋るような瞳で三代目を見つめた。
「…イルカ。どうしたのじゃ?…コレとはなんじゃ?」
「コレです!この呪いの指輪をはずしてください!!!とある変態に呪われてるんです!!!」
ちょっと不審そうにしている三代目に、俺は薬指に嵌った指輪を見せた。
「コレは…!」
流石プロフェッサー!!!見ただけで何だか分かったみたいだ!!!…是非はずし方も教えて欲しい!!!
「あの!どうやったら外れるんですか!!!」
必死で聞く俺に与えられた答えは残酷だった。
「…コレは…無理じゃ。」
「そんな…!!!」
三代目にもはずせないなんて…。どうして…?
「この指輪は…対になっておる。元々は対になったものを身につけたどちらかの身に何かあればすぐに分かる様に作られたものじゃが…。 本来ならどちらかが死んだら外れるはずじゃが、これは…術が弄られておっての。おそらく…死んでも外れないじゃろう。むしろ死んでからも…」
「な、何が起こるんですか…?」
怖えぇ…!!!あの変態が甦ったりするのか…?!
「残った方に、魂を縛り付けるようになっておる。」
変態の策略に怯える俺に告げられた言葉は、俺の心臓を一瞬止めた。
「…。そんな…?!」
あの変態はそこまでやりやがったのか…!!!つまり死んでもあの変態は俺のそばについてくる…。
「どうして…?」
変態に対する問いかけに、何故か三代目がさらっと答えてくれた。
「それは…この術を教えたのはワシじゃからの。」
アンタも共犯か!!!
「なんてことしてくれるんですか?!俺はこれから一生どころか永遠に…うっうぅ…」
「じゃがコレは確かにカカシに頼まれて…そうそう、運命の相手を見つけたからと強請られての。…相手の合意を得ることを条件に教えたのじゃが…。 おかしいの?なぜソレをおぬしが身に着けておる?」
「俺が聞きたいです…何であの変態が俺を選んだのか…」
大体あの変態との接触なんて、最初にナルトたちのことで会ったときくらいなのに…。
「ああ!そうじゃったか!!!そういうことなら早く言えばいいものを…。てっきりカカシが変わった修行でもし始めたのかと…そうかそうか… イチャイチャしとったのか!」
「はあ?!」
なんだそれ!!!
「あー…コホン。お主、最近節度ある付き合いができておらんようじゃから、ちょっと気をつける様にな?」
「な?!何をですか!!!俺は別に!!!」
今三代目がとんでもないことを言ったんじゃないか?!
大体節度も何も、俺はあの変態に付きまとわれているただの被害者だ!!!
俺が憤りのあまり言葉を失っている間に、勝手に納得した三代目は勝手にどんどん話を進めていった。
「そう照れんでも…まあ今が一番楽しいときじゃからの。多めに見てやるが、あんまりまにあっくなのはうちの中でやるようにな…。」
何でそんな慈愛と憐憫の瞳で見られなきゃいけないんだ!!!俺は別に楽しくもなんとも無い!!!一体どういうことなんだ?!
「三代目!!!ホントにコレ…はずれないんですか…?」
混乱しながらも、俺は一番気になっていたことを確認した。
「なんじゃ!新婚早々?倦怠期か?安心せい!夫婦っちゅうもんは山あり谷あり…」
「…本当に…?!」
三代目はすっかり耄碌しているようで、あさってな発言を繰り広げている。
…そんな遠い目をして、熱く恋愛感とか語らなくてもいいですから!質問に答えてくださいよ!!!
「外れんぞ?そう不安がらんでも大丈夫じゃて。」
俺の必死の視線に答えてか、三代目は俺の肩をぽんと叩いて、ニコッと笑った。ひょっとして…慰めてるつもりなんですか…?
だが、とにかくあの変態の呪いの指輪は絶対に外れないということが、プロフェッサーとの異名を取る、 歴代火影の中で特に優れた知識を誇る三代目によって、証明されてしまったわけだ…。
「…そんな…」
「のうイルカ、何があったかしらんが、今日はもう帰ってカカシに慰めてもらえ。な?」
「…うそだ…。」
「まあ確かに魂がどうのというのはためしとらんから分からんが、一生はずれんというのは確実じゃ!三代目火影の名において保障してやる!!!」
「…う、うそだー!!!!!」
俺は三代目の口から告げられた恐ろしい事実に耐え切れなかった。
俺は、俺は…!!!信じない!!!
「まりっじぶるーかのう?」
…勢いよく受付を飛び出した俺の背に、三代目の呟いた、のんきかつ的外れな発言が届き、…俺はより一層足を速めたのだった。
*****
「ウソだウソだウソだウソだウソだ…」
俺は寝室に駆け込み、ベッドに腰掛けて頭を抱えていた。
…あの変態が…文字通りどこまでもどこまでも永遠に憑いてくるなんて…!!!耐えられん!!!
「イルカせんせー!!!ただいま帰りました!!!」
「絶対に信じないぞ!!!いや!この際いっそ指ごと落として医療忍術でつないでもらえば…!」
そうだ!そうすれば外れるに違いない!!!この際ちょっと位の痛み!なんてことない!ナルトを庇ったときに比べれば、はるかに軽傷だ!!!
「あらお疲れですか?イルカ先生?」
「うるせぇ!!!大体誰のせいだと!!!」
さっきから俺が落ち込んでいるというのにしつこく話しかけてきた諸悪の根源に、思いっきり怒鳴りつけた。意図的に無視してるってさっさと気づけ!!!
「じゃ、ご奉仕しますね!!!もちろん!か・ら・だ・で!!!」
「いいからどっかいけ…。一人になりたいんだよ…。」
いつもいつも…変態くさいことしか言わないんだコイツは…。コイツのせいで俺の人生…いや魂まで…!!!
「落ち込んでるときは他の事で気を紛らわすといいんですよ!」
「どうしてこんなことに…?中忍だけど、頑張って生きてきたのに…」
俺は、確かに中忍だけど、教師という仕事に誇りを持って取り組んできたし、これからも全力で生徒たちを教えていくつもりだ! この仕事は俺にとって天職だと思っている!!!
「んーじゃ、まずは…」
「とおちゃん…かあちゃん…誰か…俺に教えてくれ…!!!」
…俺はそんなに悪いことをしたんだろうか…?!そりゃ任務で色々やったこともあるが、そんなコトいったら、里の半分はひどい目に合ってるはずだ!!! むしろこの変態こそもっとえらい目にあってしかるべきだろ?!俺は…一生懸命生きてるだけなのに…!!!
「はい勿論!!!じゃ、失礼して!」
「は?…って!なにしてやがる!!!」
いつの間にか変態が俺のひざの間に犬座りして、俺の顔を見上げている。
「ああ、ちょっとご奉仕を。」
そんなこと誰も頼んでねぇ!!!勝手に俺の脚掴みやがって!!!
「放せ!」
やっぱりか!!!今日は衝撃の事実を知って、すっかり参ってるんだ…!変態の相手をする余裕は無い!!!
「ああ、顔色悪いですね…。大丈夫!今すぐスッキリさせてさし上げます!!!」
そう言った変態は俺の…大事なものをにぎっていた。
しまった!!!…手癖の悪い駄犬が、俺の股間に…!!!
「!…ちょ!あっ!」
水っぽい音が股の間から聞こえてくる。…何でなのかは明らかだが、そんなコトは知りたくない!!!
「ん?ろうれふか?」
「なにっ…してやがる!!!」
楽しそうに勝手に人の…アレを銜えてイイと思ってるのか!!!そもそもなんでこんなに上手いんだ?!上忍だと変態的な技術にも詳しくなるのか?!
「おほうひれふよ?」
「しゃべるなぁ!!!」
もごもごしゃべるたびに、予想外の所にヤツの無駄に器用に動く舌が当たり、腰が震える。
だというのに当然の様に答える変態は、上目遣いな上にいつもはナマっちろい肌が上気していて、無駄に色気を放っている。
…変態の癖に変態の癖に変態の癖に…!!!
慌てて変態の髪の毛を引っつかんで引っ張ったのが功を奏したのか、変態が俺の股間から頭を上げた。
「ふぅっ!…あ、気持ちよく無かったですか?おっかしいなぁ?…じゃ、今度はもっと気合入れてイきますね!!!」
「待て!誰も頼んでねぇ!!!」
ぬか喜びか!!!
俺が落胆する間もなく。変態の行為はどんどんエスカレートしていった…。
じゅぷじゅぷと生々しい音が部屋に響き、気合を入れても耐えられない衝撃が俺の股間に響く。
「あ、あ、あッ…もっ…やめろ!!!」
変態に…変態の手でなんて絶対にイヤだ!…でも…もう…もう…!
「んっあっ…んー!!!」
「んん。…はぁ…ごちそうさまでした!!!」
俺は…俺はもう駄目だ…!変態に変態にイかされちまうなんて…!!!
…もう、俺の人生は終わった…。
「ああ…かわいいなぁ…気持ちよかったんですねー!!!…もっともっと…いいコトして差し上げますから!!!」
俺がショックで放心している間に、変態はすっかり服を脱ぎ捨てていた。目の前にいつぞや見た無駄に立派なアレが…!!!
…絶対にこんなモンが入る訳が無い!!!
「イ…ヤダ!!!」
今にも俺にのしかかってきそうな変態に、涙目で抵抗を試みた。
「ああ…そんな顔してるとがまんできなくなっちゃいますよー!今日はイルカ先生疲れてるでしょ?だから…一緒に気持ちよくなりましょうね!!!」
変態が…変態的なことを言っている。…一緒にだと?一体何する気だ?!
「待て待て待て!!!どこ触ってやがる!!!」
俺が変態の動向に戦々恐々としていると、いつの間にか変態が、再び俺の大事なものに手を伸ばしていた。止めろ!!!大体俺のことを慮ってるなら、 ココですっぱりやめるべきだろ!!!
「え、イルカ先生の…」
だが、本気で不思議そうな顔をした変態の返そうとした返事は、恐ろしいものだった。
…そういう意味じゃねぇ!!!
「わー!わー!!!言わんでいい!!!分かったから!!!」
慌てて変態の口を手でふさぎ、ついでに腹に蹴りを入れたが、当然だが全く効果が無かった。
「じゃ、早速ヤリましょう!!!」
「何をだー!!!」
ヤルって…俺はそんなコト望んでねぇ!!!結局全然我慢してねぇじゃねぇか!!!
「え?ああ、ナニを。」
「なに満足そうに笑ってんだお前は!!!」
にっこりと笑う顔は、凶悪なまでに美しい。これなら誰しも虜になるだろう。
…女性ならな!!!もっと言うと俺以外なら!だ!!!
そんな顔されても、俺にとっては何の魅力にもならない!!!その前に、股間の危険物が全てを打ち消す恐怖を俺に与えている…!
「ああ…イルカ先生の…!」
「大体なんでだ?!どうしてこうなったんだ!!!って…ああッ!」
変態の絶妙な手技が、俺の股間を勝手に好き勝手弄り回す。そのたびに走るのは、認めたくないが確かに快感だ。
「あ、やっぱり元気!まだまだいけそうですね!!!」
くそっ!何でコイツこんなに上手いんだ?!そして俺!どうしてこんなヤツの手でそんなに元気になってるんだ?!
俺がうろたえている間に、いつの間にやら変態のモノまで俺のモノと一緒に擦り上げられていた。
抗おうにも身体に力が入らないし、思考がまとまらない。
「あ、あ、あぁっ!」
「イルカ先生…キモチイイですか?あ、…腰揺れてる…。かわい…。」
気持ちイイ…だんだん頭が真っ白くなっていく。変態が何を言ってるかも分からない。…無駄にエロい顔が視界一杯に広がっていくのが見える。
「ん!んんん…はっ…あ…」
「は、ぁ…あー…最高でしたよ!!!イ・ル・カ・せ・ん・せ!!!」
気がつけば、とんでもないことになっていた。
ヤツは満足そうな顔で、腹には白い体液が付着している。そして…俺は度重なる放出ですっかり身体から力が抜けていて…腹には…白い体液が…。
考えたくない。考えたくないがコレはもしかしなくてもヤツの…?!
「出て行けー!!!」
俺は脱力した身体に鞭打って急いで股間を隠し、変態を怒鳴りつけた。
「あ、そうですか!今は一人でしばし余韻に浸りたいんですね!!!イイ顔してましたもんねぇ…ふふ…!!!じゃ、また眠った頃にお邪魔しまーす!!!」
変態は俺の悲鳴にも似た怒号にも動じず、いつもの様に勝手な解釈に基づき、姿を消した。
「二度と…来るな…!!!こないでくれ…!!!」
その後、変態の影に怯えながら、全身くまなくシャワーを浴びてヤツの痕跡を洗い流した。その間もヤツがどこかから覗いているのではという恐怖が 頭から離れず、結局タオルで身体を隠しながら皮膚が真っ赤になるまで洗った。…どこの思春期女子生徒だ…俺は…。
何とか身体を洗い終えると、いつもの様に寝室の扉に、かぎ(また5個増やした)と、強固な結界(バージョンアップ済み)と、魔よけのお守り (木の葉神社と火の国大社の2つ)と、更に新たに入手した悪魔封じのろざりおと、聖なる水と塩と、魔よけのお守り(全部、外の任務から帰ってきた知り合いから貰った) を設置し、部屋の外と家の中にトラップを隅から隅まで設置し、ベッドにも結界を張った。
だが勿論眠れるわけが無い。あんなことをされて疲れきっているはずなのに、ヤツがいつ再襲撃を仕掛けてくるか分からないので、全く眠気が起こらない。
…どうすべきか?
「あ、せんせ?まだ寝てなかったんですか?」
「帰れ!俺は一人で寝たいんだ!!!」
俺は…ゆっくり平穏な眠りをむさぼりたいだけなのに…!!!悩んでる暇さえこの変態は与えてくれない…。
「ちょっと気持ちよすぎました…?でもまだまだ凄いコトする予定なのに…」
「いいから、失せろ!!!駄犬が!!!」
勝手に納得して勝手にとんでもない真似しでかしやがって!!!
「イルカ先生の足元で寝ようかなー…それともいっそお布団の中で…!!!」
…ヤバイ!またコイツ興奮してやがる!!!
「いいか!俺は!一人で!寝たいんだよ!!!」
「大丈夫です!優しくします!!!」
そんな話はしてねぇだろが!!!大体優しく何する気なんだ?!
…そうだ!こうなったら…。
「オイ変態!この間の写真…欲しくないか?」
「え!!!欲しい!欲しいです!!!すっごく!!!」
よしよし…この手はまだ有効だな!!!
「…駄犬。今からヒントをやろう。いいか、まずこの家の中のトラップの内、俺がヒントを隠したものがある。但し…ソレは作動させないと発見できん。」
全て設置するのは骨が折れたが、これはまだまだ序の口だ!
「わぁーい!!!ついにご褒美ですね!!!さっき頑張ったから!!!」
「違うに決まってるだろうがこの変態が!!!写真は…いらないんだな…!!!」
勝手に能天気に喜びやがって!!!…だが…喜んでいられるのも今の内だけだ!!!
「いりますいります!トラップ全部ですね!!!」
「まて、それだけじゃないぞ?トラップの中にはフェイクも入ってるし、ヒントが指す目印も里中に散らばっている。しかもその目印もトラップだ!で、 その中の一つに、写真の真のありかが隠されているってわけだ…!!!どうだ?まだやるか?」
「イってきまーす!!!」
…変態ガすごい勢いで飛び出していった。
里の中のトラップは、ヤツがチャクラ切れを起こしている間にセットしたから大丈夫だと思うが…。変態は俺の匂いに敏感に反応するから、 トラップの設置とかはちゃんと同僚とかに頼んだ(同僚はもとより、主任まで協力してくれた…)し、トラップの中には結構えげつないの(コレも同僚&主任特製含む) が多いし、中には特殊な術(コレも同僚と主任の知り合いにも手伝ってもらった)で結界を張ったものもあるから、チャクラの消耗も半端無いはず…。
それに…本物の写真は…実は今俺が持ってるしな。
とにかく!これ以上俺の何かを失うわけには行かない!!!…っていうかまさに今日…!!!!!
うううううううぅ…!!!…いや!思い出すな俺!今は!今後の対策を考えるべきだ!!!
「まずは…コレを何とかしないと…。」
変態と俺のが付着した…いや!考えるな!!!とにかく片付ければいいんだ!
「あ!みっけ!!!」
「ぎゃあああああ!!!!!」
背後から俺の腹に変態の腕が伸びた。慌てて振り払ったが…。
何で…?何でなんだ…?!
「イルカ先生が持ってたんですねー!!!もう!お・ちゃ・め・さん!!!」
「貴様!どうやって…?!」
「あ、ソノ写真に俺の匂いとチャクラが染み付いてるので!!!」
いつの間に?!写真ずっと持って歩いてたけどそんな気持ち悪いものが染み込んでたなんて!!!ってそうじゃないだろ!!!
コレはつまり…もはやこれまでなのか?!
「イルカ先生…続き…しましょう?」
変態はさっきよりも興奮している!!!絶対にヤル気だ…!!!
濡れた瞳とかすれた声と荒い呼吸…全てが、ソレを物語っている…!…何か手は?!
「しゃ、写真はいらないのか?」
とっさに振り払ったから、まだ写真は俺の懐にある…今は無駄かもしれなくても最後まで抗ってやる!!!
「欲しいです!!!でも…俺の最終目標が…!!!どうしよう…?」
「いいか!写真はくれてやる!!!俺は貴様の顔を見たくない!!!俺の前に姿を見せるな!!!」
とんでもない科白を吐く変態に、もはや懐かしい思い出よりも、恐ろしい何かが感じられる写真を投げ捨ててやった。
…もう今日は何も考えたくない。
「あ、写真!!!ありがとうございます!!!そうですか!…次はコスプレ希望なんですね!!!じゃ、イルカ先生好みのコスプレを調査しておきますね!!!」
「…何だか分からんが…いいか!俺はお前の姿はもう見たくないんだよ!!!」
何を勘違いしてるか知らんが、何で今コスプレが出てくるんだ?姿って言っても別に忍服がいやなわけじゃなくて、変態と同じ空間にいたくないだけだ!!!
「じゃ!ニューカカシの凄いところをお見せしますから!!!しばらくお待ちください!!!さ、用意しなきゃ!!!」
そういうと、写真に嬉しそうに頬ずりした変態は、一瞬にして姿を消した。
「…助かった…のか…?」
まだヤツがその辺に潜んでいたりはしないだろうな…?
しばらく辺りをうかがったが、どうやら一応大丈夫なようだ。現れるならもうとっくに俺に張り付いているはずだ。
油断は出来ないが、今日は色々ありすぎた。
安全を確認した後、変態行為の痕跡があからさまに残るベッドを部屋の外に出し、すっかり力を使い果たした俺は客用布団を敷いて潜り込んだ。
もう…どうでもいい。もう知らん。もう何も考えない。…今日は寝る!!!
…性も根も使い果たした俺は、酷使した心と身体を休ませるために、思考を停止させたのだった。

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まだまだ続きます…。
猛攻がまだまだ続きますが、どうなるやら…。
8000HIT記念につき、変態成分大目に配合です。

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