肉食獣のいる生活―ねこでもひとでも―

今日はうちの下忍たちが何かコソコソやってるからこっそり聞いてみたら、どうやらナルトの発案でイルカの誕生日プレゼントを考えているらしい。
「あのさあのさ!やっぱラーメンがイイと思うってばよ!」
やっぱりナルトはそうなるか。
もしかして…イルカのことラーメンだと思ってるんじゃないだろうな?…猫モードでもナルトとは仲いいみたいだし…。
この間もナルトとラーメン食べたっていってたし、猫のイルカと一緒にいるところ見たらお互い勝手なこと話して、全然かみ合ってないみたいに見えるのに、最後はちゃんとそれなりに会話が成立してて驚いたんだよなー…。
思い出すとちょっと…いやかなりナルトにメラメラするものを感じたが、とりあえず参考になりそうだからしばらく我慢することにした。
「ラーメンー?確かにイルカ先生がラーメン好きなのは知ってるけど、あんまり誕生日っぽくないわよね?」
力いっぱい自信満々に提案というか…主張を叫んだナルトに、サクラがにべもなく突っ込んだ。
そうなんだよなー。喜ぶのは確実なんだけど、誕生日プレゼントとしては微妙だよな。俺の場合。
子どもたちならそれでも言いような気がするけど。
「…。」
あ、サスケが黙った。…ナルトと同じ意見だったんだな。
…コイツらの微妙なライバル関係は見てるとむずがゆくなる。
意識しすぎてるのがあからさまでこっちが恥ずかしくなりそうなくらいだが、お互いにその辺は自覚してないらしい。
…双方とも素直じゃないからなおさらだ。
まあソレはともかくとして、コイツらがナニを送るのかちゃんと確認しとかないと。
…被るなんて最悪だし。
「でもさ!俺ってばイルカ先生の好きなモノって他に知らないってばよ…。鼻血ぶーになる本とかじゃだめなんだろ?じいちゃんとか黒目がねのおっさんとかカカシ先生は大好きみたいだけどさ。」
おいおいナルト!ナニ送る気だ!?
…まあ今のイルカなら興味ないだろうから、お礼は言うけど匂いかいで確かめたら、その辺に適当にしまって終わりになるだろうけど。
ナルトは年齢にしても中身がお子様だから流石に注意すべきか…?
「アンタよくわかってないんだから、そういうのに手出しちゃ駄目よ!」
あ、サクラがちゃんと軌道修正したな。
…こういうところ見ると、この班は結構バランス取れてるな。
さて、サスケは…。
「中忍になると忍具にもこだわりがあるだろうしな…。」
あー悩んでるなぁ。
忍具ねぇ…?…一番の忍具はあのしなやかな体っていうか…爪とかも含めて全身武器だけどね今は。
…肉じゃ駄目だろうしなぁ?
「だからやっぱりラーメンだってばよ!一楽スペシャル!」
「そうね…でもせめてメッセージカードくらいつけないと!」
「そうだな…無難だ。」
…やっぱりラーメンに落ち着いたか。
そうだよなー。無難だよな。…でもなー?俺はどうするか…?
「よっしゃぁ!じゃ、イルカ先生にえっと…サクラちゃんが言ってたのつけるってばよ!…でもソレ食えるの?」
「馬鹿ね!おめでとうございますって書いた手紙みたいなものなの!食べ物じゃないわよ!」
「物知らずだな。相変わらず。」
サクラ…ツッコミ早いな。尻馬に乗るサスケが、馬鹿に出来る点を見つけてちょっとほっとしてる。分かりやすいな、意外と。
「うっせえってばよ!…いいからそのなんちゃらカード?作ろうぜ!」
業を煮やしたらしいナルトが大声で宣言してるが、多分なんだかわかってないよなー?
…ちゃんと教えてもらえよナルト。
「解散したんだし、今から買いに行くわよ!ね!サスケくん!」
「…そうだな。」
「へへ!すっげぇのにしような!な!」
「イルカ先生らしいのがあるといいけど。」
「…イルカのならあるだろ。多分。」
「きゃー!ソレステキね!さすがサスケ君!」
「なぁなぁサクラちゃん!ラーメンはあるのかってばよ?」
「そうねぇ?あるかもしれないけど。…って言うかうるさいからちょっと黙って。」
ぎゃあぎゃあ騒ぎながら下忍たちが遠ざかっていく。
「誕生日か…。」
何とか喜んでもらいたい。…ナニがいいんだろう?
そろそろ俺を探して奇襲して来るだろうイルカが喜ぶ顔を見たい。
…俺はそれから深く頭を悩ませるコトになった。
*****
結局色々考えてもイイ物が思いつかなかった。
いちゃいちゃは毎日してるし、追いかけっこもしょっちゅうだし。…またたびとかじゃだめだろうし。
それに、そろそろ春が終わる。
その辺のことも考えるとプレゼントはちゃんと考えないといけないだろう。猫用のものだけじゃ、イルカが人に戻った時に困る。
「ねぇねぇ!カカシさん!ちゃんと遊んで!」
最近何とか中級レベルまで進んだねこじゃらしスキルも、よそ事を考えていたせいでいまいちだったらしい。
カジカジと俺の手を齧るイルカが不満そうに俺を見上げている。
キラキラと輝くその瞳が、今日もかわいい。
折角イルカといるのに、ちゃんと相手ができないなんてもったいないよな。
こうなったら…。
「あのさ、イルカのお誕生日がもうすぐだよね。」
「う?おたんじょうび…あ!そうだ!26日だからもうすぐです!」
答えながら口から俺の指を齧って、にこにこ笑ってるイルカはまだ猫だ。
でも、本人なんだから根本は変わらないはず。
「あのね。お誕生日のお祝いナニがいーい?」
ちょっと卑怯な気がしなくもないが、直接聞くのが一番だろう。
…でもこれだと俺って言い出しそうな気がするんだけどね。
「お祝い!三代目が毎年お肉くれる!後、本とか色々…!」
意外と有用な情報が得られた。だが…相変わらずだなジジ馬鹿め!
でも、そうだよね。両方が喜ぶ物がいいよね。別に一個だけじゃなくてもイイんだ。
「なら俺も一杯用意しようか?お肉は…でもいっつも食べてるしねぇ?」
本当にイルカが喜ぶことってなんだろう?噛み放題とか?…まあソレはいつものことだからなぁ?
「あの!一緒にお出かけがいい!俺の縄張り!」
「縄張り?そんなことでいいの?」
そういえば、いつもふらっとどこかへ消えて、イノシシとかクマとか…後暗部とか狩って帰って来るもんな。最近じゃ暗部のトレーニングも請け負い始めたみたいだし。
…どうもあの爺に上手い事使われてる気がしてならない。ま、楽しそうだからいいけど。
それにしても…俺についてきちゃうことも多いけど、いつもイルカが何してるのかは知らない。普段どこで遊んでるか知っとくのはいいことかもしれない。
「ねぇねぇ!もういい?もっと遊んで?」
「ああごめんね!えい!」
「ふさふさ!」
会話よりも猫じゃらしの方が楽しいらしいイルカに合わせて、今度こそ気合を入れてじゃらした。
…猫のイルカにはコレでいいよな。
ちょっと肩の荷が下りた分、イルカと遊ぶのがより一層楽しくなってきた。
それに、多分これから…。
「んにゃ!にゃ!」
今はじゃれるのに夢中になってるけど、まだまだ春が抜けないイルカは俺を欲しがるだろう。
その時を思ってついつい頬を緩ませながら、じゃれるイルカを堪能した。
*****
そんなこんなで、イルカ縄張り探検ツアーが決行されるコトになった。
お弁当は準備してる最中にイルカがちょっとずつおねだりするから減ってしまったが、いざとなれば縄張りで狩ればいいだろう。
それにしても、木の葉の中とはいえ、この辺は演習でも来たことがないくらい山深い。
張り切って駆け回り道案内をしてくれるイルカが、時々チラッと視線をよこしてきて可愛いんだが、そのすばやさがあまりにもすさまじいので流石に不安になってきた。
まるで任務並みだ。もしかすると今日中に終わらないかもしれない。
一応早めに家は出てきたが、どうなることやら?
自分の思考にかまけて一瞬視線をそらしたら、前を走っていたイルカが消えた。
「え!ちょっと!イルカ…!?」
マズイ。見失った。
慌ててあたりの気配をたどろうとしたら、目の前にイルカが舞い降りた。
「カカシさん!これ!」
相変わらず凄く嬉しそうに口の端を吊り上げて誇らしげに笑うイルカの手には…トラが抱きしめ…いや、ぶら下げられている。
…それも結構デカイのが。
嫌そう…にみえるが、抵抗はしていない。ちらちらと俺を見て警戒してるようではあるが。
「えーっと。これ、ナニ?」
色々と聞きたいコトはあったが、とりあえず一番気になることを聞いてみたら、イルカが嬉しそうに報告してくれた。
「俺の縄張りに住んでる!えーっと…仲間かな?喧嘩して勝ったから置いてやってるんです!」
「あー…なるほど。」
確かにこのトラは完全にイルカを恐れ、従っているのが良く分かる。
野生の獣はその辺シビアだから、実力差の大きい相手には絶対に逆らわない。
つまり、イルカはこのトラにとって絶対にかなわない相手ということだ。
苦しそうなその表情からして相当な力で抑えられてるんだろう。
相手は凶暴な肉食獣だが、イルカはその上を行くってことか。
…今更ながら俺を噛みまくるイルカが本気になったら俺も危ないんだというコトが良く分かった。相当痛いが愛ゆえに一応加減してくれてるのかもしれない。
…なんかそう考えるとイルカを抱きしめたくなる…!
「お腹なでる?柔わらかい!でも、俺よりかわいがっちゃ駄目!」
見せびらかしたいけど、俺にはあんまり構わせたくないんだろう。嫉妬してちょっとだけ尖らせた唇に思わず喉が鳴った。
…だが、苦しそうなトラが必死でイルカの許しを待ってるのが気になった。
相手はペットなんかじゃなく野生の獣だ。急所を強制的に晒されて撫で回されるなんて溜まったもんじゃないだろう。
「ああ、いいから。離してあげて。イルカなでる方が楽しいからもういいよ?」
硬直したように身動きを止めたトラが哀れだったので、とりあえず開放させた。
「いいの?じゃ、後で撫でさせてあげるから一杯撫でて!」
俺の言葉に意識がそれたようだ。
イルカが無造作にトラを放すと警戒したように様子を伺ってたが、いつまでもそばいるのがいやだったのか、イルカが面倒くさそうな視線をちらりと向けた後は一目散に逃げて行った。
哀れなヤツ…。
「えへへ!すごい?すごい?」
誇らしげに胸を張ってみせるイルカがものすごーく可愛らしかったが、今後の展開が予想できた。
…多分、イルカの縄張りツアーは主にイルカの下僕自慢大会になるにちがいない。
つまりその分イルカの下僕たちは非常な迷惑をこうむるわけで…。誕生日祝いとはいえ、それはどうだろう…?
もしかするとソレで苛立った下僕たちがうっかり迷い込んだ人でも襲うかもしれないし…まあ人里離れてるから、一般人がってことはなさそうだけど。せいぜい暗部くらいか?
でも、もしイルカがそれに気付いて乱入でもしようものなら大事になる。
「うん。すごいね?でも…」
頭を撫でながら何とか思いとどまってもらおうとしたんだが…。
「もっと見せてあげる!」
褒められたイルカは嬉しそうににっこり笑ってくれた。
そして…ものすごい速さで駆け出していった。
「諦めるしかないか…。」
誕生日を満喫してくれているようなのがせめてもの救いだと思うコトにして、俺も視界から消えそうなくらい遠くに行ってしまったイルカを追いかけた。
いざとなったら止める覚悟を決めて。
*****
…今日一日でイルカの交友関係が良く分かった。
トラから始まったイルカの仲間という名の下僕紹介は、狼の群れにまで及び、獲物じゃないクマとやらまで紹介された。
…普段狩ってくるクマとの違いが良く分からないが、とりあえず見た感じは従順なクマが今でもイルカをやるチャンスを狙ってるんじゃないかと気が気じゃない。
「あ!アレは俺に負けたけど縄張りにおいてやってるクマです!」
なんていってたけど、身の丈はイルカの2倍はありそうな強面で、クマって言うより山の主だった。
…でも、イルカは勝ったんだよなー…。ソレも多分忍術抜きで。
「ねぇねぇ!俺強い?強い?」
「うん。強いねぇ!」
あー…でもかわいい!
キラキラした目で俺を見て、すりすりと頭を寄せてくるのがたまらない。
こんなにかわいいのに強いなんて、ソコもすごいって気になる。
…実はさっきからちょっとその気になってる。だってイルカが可愛すぎるから!
そろそろ春が終わることを思うと、どうせなら季節の終わりまで猫なイルカを堪能したい。
人には人の魅力があるけどね!
これからどうやってその気にさせよう?
そう思いながら走りすぎてちょっと荒くなったイルカの吐息や嬉しそうに上気した顔を見つめていたら、イルカがいきなり俺に飛びついてぎゅっと抱きしめてきた。
「え?なに?どうしたの?」
「えへへ!俺強いから、カカシさん守れます!だから…安心して俺と一緒にいてね!」
…そうか、そういうコトか。
一瞬獲物ごっこかと思ったが、イルカは鼻傷を掻きながら力いっぱい俺に愛を叫んでくれた。つまり、イルカは自分は強いオスだから、俺となら番になっても大丈夫!というアピールをしたかったってことらしい。
本能的に縄張りを誇示して…多分俺に求愛してくれたんだろう。
そう思うとなおさらイルカが愛おしくなった。…俺は、結局祝いをろくに出来ていない。肉多め弁当と途中でイルカが獲って来てくれた魚を焼いたのを喜んでくれた位だ。
「俺のほうこそ、ずっと一緒にいて?…俺はイルカにできることってあんまりないけど…。」
「う?カカシさんは俺のだから一緒にいないと駄目ですよ?」
「…うん!」
ああもう、やっぱり大好きだ!
その可愛らしさも、真っ直ぐに俺だけを見てくれるところも…!
たまらなくなってイルカを抱きしめると、くすくす笑う声がした。
「カカシさん。しよう?」
にんまりと笑ったイルカに誘われるように、気が付いたらその場にイルカを押し倒していた。
服を脱ぎ散らかして、イルカからも剥ぎ取って、欲望の赴くままに。
*****
獣たちさえ近づかないくらい甲高い声と荒い呼吸が響いている。
「んっあ…っ!ねぇ、もっと…っ!」
「ん。俺も…!」
イルカに春が来てからずーっと、こうやってしょっちゅうイチャイチャしてきた。
…イルカにあの瞳と声で誘われると俺はいつだって我慢できないから。
イルカは甘えるように…でも支配者の微笑で俺を誘い、その身体と心で俺を縛る。
いつだって、イルカはわがままで最高のご主人様だ。
それに…今回は特別だしね?
イルカからイルカなりの最上級の愛を告白されたんだから、俺もソレに応えないと!
プレゼントは俺なんて月並みだけど…俺も全身で愛し返したい。
イルカの愛に応えるために。
絡みつく足は誘うように俺を捕らえ、猛りきった欲望を飲み込んだ中も、引き絞るように蠢く。甘えたように上がる声が木々の間に響いて、外だと言うのに興奮が治まらない。
何度吐き出しても吐き出させても去らない熱にあぶられて溶けてしまいそうだ。
…まあここはイルカの縄張り…城みたいなものだから、めったなことはないだろうけど。
「余所見は…駄目!」
「いってぇ!」
一瞬気をそらしたのに気付いたらしい。
思いっきりイルカに噛みつかれた。
イルカはそれでもまだ満足していないらしい。不満げにふーふー息を吐き、咎めるように俺の唇をむさぼる。
歯形はついているが、コレもイルカの愛と思えばソレすらも愛おしい。俺を見ろとばかりに挑発的な視線も蠢く舌も、噛み付いたのだって…全部俺のためだ。
「ねぇ。もっとちゃんとシテ?」
「うん。勿論!」
腹にこすり付けられているイルカのソレも、イルカに食まれている俺のモノもそろそろまた限界が近づいている。
いつだってイルカとならこうしてつながっていたい。
もしかすると春が来ているのは俺なのかもしれない。
取り留めの無い思考がよぎったが、こみ上げる熱にすぐに押し流された。
「んっ…ぅ…っ!」
「イルカ…!」
激しくなる突き上げにあわせる様にあがるイルカの甘い鳴き声が、締め付けが、蠱惑的な微笑みが…しびれるような快感を呼び起こす。
「あ、あ、…カカシさぁん…っ!」
「ん、俺、も…っ!」
俺が注ぎ込んだ物を溢れさせながら、イルカもまた白濁を撒き散らして、はぁはぁと喘いでいる。
その赤い口に、散々吐き出したのにまだ収まらない欲望が鎌首をもたげる。
それに反応したようにイルカの焦点を失っていた瞳も徐々にまた欲望に染まっていって…。
「んぁ…ん。もっと…。」
「イルカ…!」
このまま食われてもイイと思いながら、こみ上げる激しい欲望にただ溺れた。
*****
「で、こうなるのね。」
「カカシさん。ココで泊まってもいいですよ?俺、その、歩けないし…。」
やりすぎて失神したように寝て。…起きたらイルカは人になっていた。
ぐちゃぐちゃの身体に慌てて脱ぎ散らかした服をかき集め涙目になるイルカに、まださっきまでの情交にくすぶっていた欲望が暴走しそうになった。
でも、今日はイルカの誕生日。
そんなわけで何とか堪えてイルカを背負って帰宅中だ。
ま、その。…後始末と称してちょっと色々やっちゃったのはご愛嬌で。
猫のイルカに合わせて駆け回ったから、イルカを担いでいれば俺の足でもちょっと時間が掛かる。日の暮れかけた森の中でイルカと二人っきりってのも悪くないけど、こんな状態のイルカにはきついだろう。
「腰、痛いでしょ?もうちょっと我慢してね?」
誕生日だって言うのに無理をさせてしまった。猫のときと違って、人のイルカに無理をさせれば弱ってしまう。
早く帰りたいが、あまり速度を上げるとイルカの腰に響くから限界がある。
「大丈夫です!」
気丈にもそういってくれているけど、多分相当辛いはずだ。
結局…俺はどっちのイルカの誕生日もちゃんと祝って上げられなかった気がする。
「ごめんね。折角誕生日なのに…。」
慎重に衝撃を抑え、できるだけ早く足を運びながらイルカに謝ってはみたけど、心は晴れない。
人のイルカへのお祝いは、人になってから聞こうと思って、まだ用意していなかったから。
それなのにイルカはそんな俺に…!
「そんなの!…一緒にいられたからいいんです…!」
ぎゅっとしがみ付いて、一生懸命に俺に愛を訴えてくれる。
猫でも人でも、イルカはイルカだ。
「うん。でも、ソレは俺も嬉しいから。…何か送らせてね?」
いつでもイルカには喜んでもらいたい。だから俺なりに考えた物を送ろう。
肉は無駄になっちゃったけど、今日はイルカが好きなラーメンでも食べて、それから明日ちゃんといい店につれていこう。
イルカのお祝い計画で一杯になりかけた俺に、イルカがぽろっと言葉をこぼした。
「カカシさんがいればなにもいらないのに…。」
耳元でとても小さく囁かれたその言葉に、湧き上がるような幸福を感じた。
振り返ってみたイルカは、照れたのか顔を伏せて見せてはくれなかったけど、耳まで真っ赤になっていて伝わってくる体温も心なしか熱い。
きっと、俺も。
ああもう!我慢だ!
ちょっとした拷問並みにその気になった身体は辛かったけど、イルカへの愛を感じられて幸せすぎるほど幸せだ。
「ねぇイルカ。」
「う…っ!なんですか…?」
もごもごと言いよどむ美味しそうに赤く染まったイルカに、俺もお返しのように囁いた。
「お誕生日おめでとう。来年もその先もずっと、俺に祝わせてね?」
どんなことがあっても、イルカが生まれてきたコトに感謝したいから。
猫と人の間で移ろう稀有な存在が俺を選んでくれたことが何よりも嬉しいから。
だから絶対にイルカを放さない。
「俺、今日凄く幸せです…!」
背中にこぼれたイルカの涙が、俺の心にまでしみこんだ気がした。
「俺も…俺も凄く幸せ…!」
イルカの誕生日なのに俺の方が幸せになった気がしたけど。
「誕生日は祝ってくれる人も幸せになるのが嬉しいんです!」
そう言ってくれたから…。これからもイルカをもっともっと幸せにしたいと思った。


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肉食ぬこお誕生日編!
ぬこでもひとでもカカチはめろめろってことで! ご意見ご感想ご要望などございましたら、お気軽に拍手などからどうぞ…。

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