思いつきで増やしちゃった中身の無い話をこの辺に置いてっちゃいます…。隠さずにエロ(あくまで当サイト比)なので苦手な方はご注意を…。

「は?」
「だから伽。あとでおいで。」
いきなり現れた銀髪の暗部は、ソレだけをイルカに伝えるとスッと姿を消した。
何が起こったのかわからず、呆然としていたら、深くため息をついた部隊長からみたことのない丸薬を渡された。
「お前、初めてか?これを飲んでおけ。」
「え?コレは…?」
「知らないのか?…媚薬だ。相手は暗部だ。…苦しむよりマシだからな。朦朧としてる内に終わる。…終わったら忘れろ。 薬が切れれば後遺症も無い。」
「そんな…!」
「…諦めろ。隠れてもすぐに見つけ出されて返ってお前が酷い目に会う。」
「…はい…。」
中忍としての任務になってから、初めての大きな任務。といっても、なりたての自分には部隊を任されるわけもなく、 見習いらしく雑用を中心に、それでも一生懸命頑張ってきたのに…。そりゃあ…全然戦力になってないって言う自覚はあったけど…。
伽なんて…。
若いうちに一度は通る道だと怪談めいた口調で話されたことはあるが、そんなものは与太話か、そうでなくても もっさりした自分には無関係だと思っていた。
だが、手のひらに載せられた丸薬が、これを現実だと知らしめてくる。
痛みよりも恐怖よりも…未だになぜこうなったのか理解が出来ない。だからといって、部隊長の言葉から言って、 あの暗部が諦めない可能性が高い。その場合被害が及ぶのは自分の部隊の人間だ。
「…そう深く考えるな。一応上と掛け合ってみるが…」
「い、いえ!そんな!」
眉間に皺を寄せた隊長は、自分などよりずっと苦しげな顔をしている。
隊長にとってもコレは本意じゃないんだろう。だからって暗部に文句いえるヤツなんていないんだろうし。
「仕事は…早めに上がれ。」
それだけ言うと、隊長も仕事に戻るために去っていった。
「…飲むしか、ないのか…?」
手のひらの小さな丸薬が、やけに重く感じた。
*****
結局、まだ夕方だったし、まずは今やってる仕事…つまり物資の整理に戻ったんだけど…。
「相手暗部なのか…。…ガタガタになるまでやられることもあるっていうからな…。逆らうと…消されるとか。」
一緒に作業してる同じ部隊の仲間に様子がおかしいのを心配されて、ついボソッと言っちゃったのが失敗だった。 なにせ伽っていわれても、相手は男だし、いや、くのいちだったら大歓迎って言うわけでもないけど! だってやったことないし!…初めてがこんな…。どうしてな目に…。
でも、言わなきゃよかったと思った。暗い表情でぼそぼそと話す同僚は、脅かしてるわけじゃないようだ。
でも…真剣な表情でそんな事言われても…!
…信じたくない…。
「そ、そんな戦力減らすような真似…っ」
というか、何だってそんなコトがまかり通るんだ!?
戦闘で怪我をする覚悟ならとっくに出来ている。でも、何だって仲間相手にそんな目に合わされないといけないんだ…!
イルカの怒りと戸惑いを見て取ってか、深くため息をついた仲間は、イルカに哀れむような視線を向けた。
「…あいつらにとったらイルカ達なんかその程度ってことだろ。戦ってるのみたら分かる。」
確かにまだ前線に出たことが無いから分からないが、きっと暗部の強さに比べたら、イルカの実力なんか毛ほどもないんだろう。
「俺…。」
どうしたら、いいんだろう。
髪の毛が銀色だったってコトぐらいで、後は姿形すらちゃんと確認していない暗部…でもどう見ても男だった。
そんな相手のところに行かなくてはいけないのだ。何をされるか…!
恐ろしい想像だけが脳内に溢れた。不幸なことに、その手のコトは一応知識としてだけならある。…あんなところにあんなモノ 入れるなんて信じられない…。
そもそも、何だってわざわざイルカ相手にそんなことをやらせようなんて考えたんだろう…?他にもイルカより キレイな人とか、くのいちのだっているのに。
すっかり自分の思考に沈んでいたら、一緒に手を止めて考え込んでくれていた仲間が言いにくそうに聞いてきた。
「…その薬ってさ、副作用とかなさそうなんだよな?」
「あ、うん。そんなこと言ってたような…」
朦朧としてる内にって…その間に何されちゃうんだか…。だからって正気のままなら絶対殴ってでも抵抗しちゃうだろうし…。 そうすると自分もヤバイけど仲間に迷惑がかかる可能性が高い。報復とか、見せしめとか言われて仲間にまで被害が及んだら…。 さっきから明るい要素が一個も思い浮かばないのが悲しい…。
「なら飲んだ方がましかもな…。少なくとも記憶がしっかり残るってことはなくなるだろ。」
「う…。」
そういわれてみれば確かにそうだ。そんな目に合ったってだけでもダメージがでかいのに、更にソレがしっかり記憶に残ったら きっともっと…。
「逃げるのは、無理だと思う…。」
心配ですって顔に描いてある仲間が、ボソッとつぶやいた。
…確かにそうだ、中忍としても下っ端の方なのに、精鋭しかいない暗部に敵うはずがない。
「しょうが、ないのか…。」
イルカは諦めとともに、薬を飲む覚悟を決めた。
降って沸いた不幸に納得できないものを感じながら…。
*****
薬は、さっき飲んだ。こんなことで自分の仕事をおろそかにしたくなかったから、最後まで仕事はこなしたけど、 悲しみと哀れみの篭った仲間の視線が痛くて、いたたまれなかった。
目の前には隊長に指示された天幕だ。ここに入れば恐ろしい目に会うことが分かっているのに、イルカは自分からココに 入らなければならないのだ。
深く、息を吸って、吐いて。
少しでも緊張を和らげようとしたのだが…。
「入って。」
当然のように掛けられた声のおかげで無駄に終わった。
当たり前といえば当たり前だ。緊張した気配を垂れ流しにしながらうろうろしてて、暗部が気付かないはずがない。
だが、掛けられた声のせいで心臓がばくばくと激しく暴れ始めた。
緊張して白くなった手で、そっと入り口に手をかけた。
これからの事を思うと手がこわばる。だが、ここにいても結局は何も変わらない。思い切って一気に中に入った。
「し、失礼します!先ほどお、イルカをご、ご指名とのことでっ…」
裏返る声で必死に挨拶した。
…入ってすぐに目に入ったのは、床に座ってこっちを見上げる暗部の姿だった。
銀髪は記憶通りだったけど、背格好は良く見ればイルカと同じくらいなんじゃないかと思うくらいで、結構細い。 想像の中でどんどんごつい男がイメージされていってたので、少しだけほっとした。
「ん。来てくれたの?いらっしゃい。そんな所立ってないでこっちおいで。」
暗部にひょいひょいと鉤爪のついたままの手で手招きされたが、そんな勇気はさっき天幕に入った時点で使い果たした。
暗部の機嫌を損ねるかもしれないというのに、硬直した身体は中々動いてくれない。焦れば焦るほど体は思うようにならなかった。 薬を飲んだのに全然効いてこない。
早く効いてくれ…!
「…ま。いいや。」
イルカの行動に業を煮やしたのか、暗部がスッと立ち上がった。
気配もなく少しずつ近づいてくるのが恐ろしくてならない。
早く効いてくれ…!
焦るイルカに、暗部の手が伸ばされる。やっぱり細い。
関係ないことに思考がそれている間にも、暗部の手は近づいてくる。
そのままそっと頬に触れたその指先に大袈裟に体が震えた。
「はじめて?」
くすくす面の中で笑いながら、暗部が手を滑らせる。うなじに伸びた手は、その気になればイルカの首など一瞬で 掻き切れるんだろう。恐怖も飽和したのか、どこか他人事のようにそう思った。
「あ、…」
冷たい感触。ソコから広がってくる皮膚を内側から引っかかれている様なじりじりする感触が広がった。
「ふーん?そんなもの飲んできたんだ。積極的…。」
何も言えずに、暗部がイルカの額宛を取るのを見ていた。暗部は手の中でイルカの額宛を弄びながら、ついでのように 髪紐を外した。バサッと落ちた髪が自分の首筋に触れ、それだけのことなのにビクッと体が反応した。
「…っ!?」
おかしい。…コレが薬の効果なんだろうか?訳が分からなくなるというより、皮膚が薄皮一枚はがれたみたいに刺激を鋭く拾う。
その大げさな反応を楽しむように、暗部がイルカの背中をゆっくりとなでる。
「こんなもののまなくても気持ちよくしてあげたのに…怖かったの?」
ふふっと笑いながら耳元に吹き込まれるその声にさえ、感電したみたいに体が跳ねる。呼吸も苦しくなってきた。
「うっ…くっ…っ!」
暗部はことさらゆっくりイルカの身体をたどり、そのたびに息を呑むのを楽しんでいるようだ。
絶対わざとだ!
それにしても全然意識が遠くならない…!感覚だけ鋭くなっていくのは分かるのに…!
「このままじゃ、辛いでしょ?いっぱいして上げる。」
そういって、暗部はイルカを抱きしめた。まるで捕らえた獲物を逃がさないとでも言うように強く。
*****
熱い。苦しい。
イルカを荷物みたいに寝台に放った後、暗部はこともなげにさっさと面と鉤爪を外した。
暗部の顔なんて見たら…!?と慌てて目を閉じたが、忍の動体視力はしっかりその姿を捉えていた。
やっぱり同い年か少し年上くらいに見えるその男は、透き通る様に白い肌をしていた。少年のはずなのに、 むしろ少女のように美しい顔。だが、その顔には左の目蓋を縦に裂く様に大きな傷がついていて、それが返って美しさに 凄みを持たせている。
右の瞳が青くて左の瞳が赤い。まるで宝石みたいだ。
顔に傷がある忍はめずらしくもないが、その傷は深く抉れていた。瞳の色が変わっているのもそのせいなのかもしれない。
そんな事を考えていられたのも極僅かな間だった。
ぐらりと視界が回るのを不思議に思いながら、身体を起こそうとしたのにソレさえもままならない。
はぁはぁとうるさい呼吸音が耳障りだ。男が涼しい顔をしているから、これは自分からしているんだろう。
「しっかり回っちゃってるねぇ…薬。かわいいからいいけど。」
笑いながら男はイルカのベストを脱がせていく。前を開けただけで、触れられたわけではないのにひくひくと腹が波打った。
「あ…?え、…。」
それが自分でも奇妙に見えて間抜けな声がこぼれた。
男の手はズボンにまでのびて、躊躇い無く前をくつろげた。
「やっ!なに…?」
「もう、ここもとろとろ…。」
男が嬉しそうにすっかり勃ちあがっているぬちぬちと音を立てながらそれを弄る。
普通同性の性器を触りたいなどと思わないはずだが、嬉々としてそれを嬲っている。
「はぁっあ、や、…ぁ…っ!」
そのたびに身体が跳ね上がり、鼻にかかってかすれた声がでた。
熱い。もう開放してほしい。
「じゃ、こっちも触るよ。ちょっと冷たいけど我慢してね。」
「ひゃうっ!」
触るといいながら、男はいきなり指を後ろに突っ込んできた。何か冷たい感触と共にぐいぐいと中をかき回されて、 違和感に眩暈がする。それでも、さっき飲んだ薬のせいかそれとも男の指をぬらしている何かのせいなのか、痛みが無い。
「痛くないでしょ?」
したり顔でそう言う男には腹が立つ。どうせやるならさっさと終わらせてくれればいいのに。
荒くなっていく呼吸とともに、だんだん遠くなる理性の中でそう思った。
*****
「あっあっぁあぁっ!」
耳障りな甲高い声がする。
熱い。気持ちイイ。もっと。
…俺は何をしてるんだっけ?思考がまとまらない。
ただ欲しいものが与えられるに任せて、しがみ付いているだけだ。
「中忍だからかな?良く効くね。もう飛んじゃった?」
良く分からない。背中に触れる、汗に湿った布の感触が冷たいと思うけど、ソレより中の熱の方がもっとずっと強く、 イルカを支配する。
「どうしようかな?結構出しちゃったしねぇ?一旦止めとく?」
からかうように笑い声が言った。
やめる?それはいやだ。やめないで欲しい。折角気持ちイイのに。身体に篭った熱を早く出してしまいたい。
腹の中の熱が暴れるのをやめたのがイヤで、強請るように腰を動かした。
「ふふ…足りない?いいよ。もっとしてあげる。」
欲しがっていたものはすぐに与えられた。
「ふっ…っあ、あ、ん…っ!」
熱い杭に揺さぶられて熱くて湿ったものに口内を嬲られた。
熱くて苦しくて気持ちよくて…中から溶けてしまいそうだ。
…でも、足りない。
出したいのに、触ってくれない。
堪えられなくて自分でソコに触れた。
おぼつかない手を動かして、ソレに合わせる様に腰をくねらせた。
もうちょっとで楽になれると思ったのに。
「自分でしちゃうの?」
ちょっと拗ねたような声で誰かがいって、イルカの手を掴んだ。
あともうちょっとなのに!
「でも…俺がした方が気持ちイイでしょ?」
そういって、自分の手じゃないものが、イルカの動きよりもずっと激しくソコを擦り上げた。ぐっと突きこまれた熱にも 追い立てられて…しびれるような感覚と共に頭がまっしろになったのを感じた。
*****
「う…」
「おはよう。」
自分の顔を覗き込みながら笑っている男は昨日の…。
羞恥のあまり大声で叫びだしそうになったが、喉の痛みがそれを阻んだ。
「っ…!」
「昨日は沢山かわいい声聞かせてくれたもんねぇ。はい、お水。」
差し出した相手が昨日ナニをしたのかとか、暗部をこんなことに使ってもいいのかと、一瞬頭をよぎったが、 喉のひりつきを何とかするほうを優先した。
一気に飲み干し、一息つく。
「じゃ。行ってくるから。」
男はイルカが水を飲み干下のを見届けると、きっちり暗部装束を身に着けて天幕を出て行こうとした。
「へ?はい。あ、俺も行かないと…」
そういえば俺にも仕事があったんだった!あわてて飛び起きようとしたら、ものすごい痛みが走った。
「いってぇっ…!!!」
「ん?無理でしょ?寝てなよ。」
身体を二つに折って苦しむイルカを慰めるようになでて、そっと布団をかけなおしてくれた。良く見ればイルカも ちゃんと服を着てて、この痛みさえなければ何も無かったと思えるくらい、痕跡が無い。
「あ、う。」
頭に血が上ったのが自分でも分かった。身体を支えるために触れた手が、昨日の脳のどこかがはじける様な快感を 思い出させておかしくなりそうだ。
「またね。」
焦るイルカを他所に、男はさっさと天幕を出て行った。
それをぼーっとしながら見送ってから、自分の状況にあらためてパニックになった。
腰がしびれている。それに本来の用途以外に酷使された部分も。
…あの薬は確かに最中の痛みは無くしてくれるんだろうが、切れた後はしっかりダメージが残っていた。
「コレで終わりだよな…。」
男にも言うかどうかは知らないが、状況から言ったら、コレは所謂ヤリ逃げだ。
…伽なんてそんなものかもしれない。むしろ寝床を追い出されなかった分まだマシなのかもしれない。怒りも湧いてこない。
そんなことより、自分の醜態を抹消したい…!自分の記憶からも勿論相手の記憶からも…。
そんな事を思いながら痛む腰をさすった。骨でもずれてるんじゃないかと思うくらい重くてだるくて痛む腰は、 なれない酷使に悲鳴をあげている。
男が言っていた様に、このまま動かずにじっとしていたい。なにせ全身が痛いしだるい。
…でも、ココにいたくない。
確かに朦朧としていたが、しっかり自分の記憶には昨夜の行為の残滓がこびりついている。
たちの悪いことに最中の理性が飛んだ己をはっきりと。
春の猫のように癇症な声を上げて喘ぎ、腰を振って行為をねだった。
しかも…自分から。
薬のせいとはいえ、憤死しそうだ。とにかく早く忘れたい。こんなこと。
「顔、みちゃったけど…いいんだよな…。」
それだけは気になったが、それよりもとにかくこの場から逃げだしたい。
…痛みと混乱を引きずったまま、イルカは自分の天幕に帰った。
*****
「…大丈夫か…大丈夫じゃないよな…。」
「寝てろよ…。」
「隊長も今日は休めって言ってたからさ。」
同情の視線が痛い。むしろ何も無かったようにして欲しい。
今まで使ったことの無い筋肉を酷使したせいで、変なところが痛いし、…まあ、そのとある部分も痛いのだが、 それでもこんなに皆に暗い顔で見られるのも辛い。
あんなことをするはめになって…むしろ冷たい目で見られる事を覚悟していたが、何だか皆優しいというか哀れみをこめたというか …予想外の展開だ。
こんなことされると、返って昨夜の事を思い出すからやめて欲しい…。
…身体が痛いのも、こんないたたまれない思いをするのも、全部、暗部の相手なんかさせられたからだ。
「大丈夫だ。でも今日だけ寝かせてもらって、明日からちゃんと働く。」
仲間から降り注ぐ心配と同情の視線を振り切るように、それだけ宣言して、疲労しきった身体を横たえた。
「でも、…あの暗部の相手だったんだろ…」
イルカの様子を痛ましそうに見つめて、仲間の一人がつぶやいた。
「え?」
仲間たちの反応が理解できず、思わず半開きの口から怪訝そうな声が漏れてしまった。
あの暗部というからには…もしかして昨日の相手は有名な男好きとかだったりするんだろうか。 毎回毎回酷い目に合う犠牲者が…!?
戸惑うイルカにぶつけられたのは、呆れたような声だった。
「お前…誰の相手だったかも知らないのか?」
「だって、暗部だろ?知るわけねぇし。」
顔は…見ちゃったけど、おおっぴらにそういうこと言っていいのかどうか分からないので黙っていることにした。
思わず拗ねたような口調になっちゃったのは、情けないと思ったけど。
「…あー。お前ってそういうヤツだよな…。」
「いいじゃん。寝かしといてやろうよ。」
「ちゃんと寝てろよ?な、イルカ。」
仲間たちは好き勝手な事を言いながら、まるで子どもにするような心配をして、名残惜しそうに去っていった。
三々五々仕事に散っていく仲間を見送りながら思わず毒づいた。
「俺は…ガキじゃないっつーの!」
すぐに怒りを疲労が凌駕して眠りに落ちてしまったのだが…。
*****
「あ、駄目じゃない。勝手にうろついたら。」
「へ?」
布団の上で目を覚ましたら、またあの男がいた。
というより、ここは…。昨日の天幕だ!
「ちゃんとここにいなさいっていったじゃない?」
「え?あ?う?」
仲間たちよりも子ども扱いする男は、腕組みしながらため息をひとつつくと、頭をゴリゴリとなでてきた。
「任務中のアンタの居場所はココ。で、もうアンタ俺のね。」
なんていいながら…。
「は!?」
今、こいつなんて言ったんだ!?
「え、だって。断らなかったし、身体の相性最高だし、かわいいし、気に入ったし。」
「ちょっと待て!…なんだそりゃ!?」
どんどん変な方向に話が言ってる気がする…!?なんでだ!どうしてだ!あ、相性とかもそうだけど…断らなかったって どういう意味なんだ!?
「えー?今更焦らすの?いいじゃん。照れなくても。」
男は戸惑うイルカにのしかかるようにして、ちょっと拗ねたように唇を尖らせている。
…すっかりこっちが悪いみたいな言い方だ。
「よくねぇよ!何の話だ!」
「だから、俺がアンタをナンパして、アンタが答えてくれたって話でしょ?しかも熱烈に。」
「なんぱ…アレ、ナンパだったのか…!?」
「え?だって好きでもないのに寝ようって言わないでしょ?」
「伽って…任務だったんじゃ…」
「断らなかったじゃん。」
「断れるのかよ!聞いてねぇ!」
納得できない。全然欠片も。それ以上に理解できない。伽って…任務扱いになるんだろ!確か!
隊長の様子から言っても、コイツの軽い態度から言っても、絶対確信犯だと思ったのに…!
イルカは…それはもう悲壮な覚悟を決めたってのに…。
お陰で今日一日は使い物にならなかったし、明日も多分きついだろう。ソレより何より男相手にあんなこと…!
それになんかこの言い方だと、こいつが俺のこと好きだって言ってるように聞こえるんだけど!?しかも熱烈にって…!?
あまりにもショックが強すぎて、口から魂が抜け出てしまったように力も気力も湧いてこない。
布団に沈み込むように脱力したイルカに向かって、男が話しかけてきた。
「でもさ、ちょっと考えてみてよ?気持ち悪かった?」
「…なにが?」
質問の意味が分からなくて聞き返したら、男はあっけらかんと答えた。
「えっち。」
「わーっ!?なんてこと聞きやがる!?」
気持ち悪いと言うか…たしかに強烈に気持ちよかった記憶だけがあるがそんなコトはなせるか!とっさに自分の耳を 押さえた手を、男がそっと掴んで舌を滑らせた。
「あっ!馬鹿!さわんな!」
もうとっくに薬は切れたはずなのに、ぞくっとする。いちいちねっとりした視線を向けてきて、それにも衝撃的な記憶が呼び戻されて…。
とっさに引き抜こうとした手は、強く握り締められていて、びくともしない。
慌てるイルカに、男は更に続けた。
「気持ちよかったよねぇ?だってすっごくかわいい声出してたし、他のも一杯出してたし。」
男はあからさまに誘うような甘い口調で微笑むと、毛布の上から身体を触ってきた。その触り方も明らかに今後の行為を 匂わせるもので…。
「わー!?黙れ!アレは薬が…っ!」
油の切れた機械のように身体がきしんだがそれに構わず、大声で喚いて暴れた。
この空気を壊したかったのに、男は僅かに不機嫌そうに鼻を鳴らして、イルカに顔を近づけてきた。
「薬なんかなくても気持ちよくしてあげるっていったでしょ。今から証明して見せようか?」
畳み掛けるようにイルカを追い詰める男は、すっかりその気だ。というか、イルカの反応に業を煮やしているのかもしれない。
このままじゃ有無を言わさず…!
「分かった!分かったからやめろ!」
情けないがここは全面降伏するしかない。この場は引いて様子を見ないと、またなし崩しになってしまう。
「ってことで、一応。…恋人になって?」
案の定イルカが引いたとたんに、男はにんまりとわらって、言質を取ろうとしてきた。
さすが暗部ってコトなんだろうか…?だが…。
「…その前にアンタの名前は…?」
「へー?知らないんだ。ま、いいけど。あんたらしくて。暗部に名前聞いちゃうトコもね。」
男はそんな事を言いながら、にやにや笑っている。
…あったま来た!
「顔とかあっさり晒しといて、名前だけ文句いうな!!」
「あはは!…カカシ。はたけカカシっていうの。末永く宜しくね?えーっと?」
噛み付くように怒鳴りつけたら、嬉しそうに笑った男は一応名乗った。…結局言っていいんじゃないか!でも、 名前聞いといて答えないのはイルカの流儀に反する。
「イルカは、イルカ。うみのイルカ。…おまえ、変だって言われないのか…?」
しぶしぶ答えてやったけど、やっぱり納得できない。不審な目でみちゃったのは当たり前だと思う。
「イルカの方が変わってると思うけど。」
カカシの方も首をかしげながらそんな事を言ってきたけど。
「お前に言われたくねぇよ…」
お互い名前も知らない相手とあんなことしちゃったのか…。しかも任務をおろそかにして…。
落ち込むイルカの背をなでるご機嫌な男…カカシに、絶対責任取らせてやろうと思った。
*****
任務が終わって受付所にいったら、久しぶりに例の任務のときの仲間に会った。心配そうにイルカの 状況を効かれたからしぶしぶ説明したんだけど…。
「で、現在に至るわけか。」
全部言い終わったとたん、ため息交じりでそういわれた。
…心配かけたから、何か言われるだろうなーって思ってたけど…。
「…しょうがないだろ!何か…見棄てられないっていうか…変だからほっとくと何かしでかすかもしれないし…。」
あいつは常識がない。今までだって色々やらかしてくれた。
責任取れっていったら、任務さっさと終わらせやがったんだ!そんなことができるんなら最初からやっとけっつーの!!!
その上恋人の勤めだからとか言い出して、いきなり家だの何だのを買おうとしだしたんだアイツは!
というか、いきなり何件か物件案内されて、カカシの質問に良く分からないながらも答えてたら、何だか分からない内に 「ここ気に入った?じゃ、ここでいいよね!」とか言い出して気軽に買おうとしようとしやがった…。
イルカが止めなかったらあのまま…二人で住むにしたって無駄に広い家を買っちゃうところだった。
カカシはどう考えてもおかしい。任務に行っても変な術使って連絡してくるし…。
それに…何かぼやっとしてるし…。
放っておけないんだよな…気がついたら世話させられてるっていうか…。
あんなに無駄遣いするくせに、ほっとくと飯ちゃんと食わないし、イルカが言わないと寝ないし…。
でも寝ろって言ったら襲ってくるし…!殴って止めてるけど…時々…いや!それはもういいとして!
まあ、色々と説得…というか任務終わって勝手にイルカん家に入り込んでたから、思いっきり説教してやって、 そしたら、疲れてるっていうから…一回だけならって泊めてやったらなんでかそのままイルカん家に帰ってくる様に なっちゃったのは大失敗だったと思うけど…。
「お前、やっぱ変わってるよ。」
シミジミといわれると、何だか腹が立つ。カカシにもおんなじこと言われるから余計に。
「なんだよ!」
地面の石ころ蹴りながら怒ってみたけど、生ぬるい笑みを返された。
「まあ、幸せそうだし、良かったんじゃね?」
それだけ言うと、さっさと去っていったかつての仲間に、イルカは挨拶すら出来なかった。
「幸せ…なのか?」
釈然としない。なんかこう…好き勝手されてるし、ちゃんと飯食えって言えば食うけど言わないと食わないし、 カカシの相手するの大変なのに…。
…だが、まあ、とにかく…。イルカは今日帰って来るはずの自称恋人に飯を食わせないといけない。
今の目標はカカシの自立だからだ。
「今日こそ…ちゃんとした生活をおくらせてやるからな!」
気合を入れて、イルカは自分の家に急いだのだった。


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とりあえず微妙にイチャパラ劇場???
中身がいつも通り適当でございます…。
ご意見ご感想などございましたらお気軽にどうぞ…。

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