あけまして変態

変態さんでございますよ!途中の☆印からイチャパラ的オマケ(あくまで当サイト比)にいけます!…苦手な方はご注意を…。
「イルカ先生−!!!もうすぐ…もうすぐ新しい年を迎えますね!!!」
起き抜けに抱きついてきた変態は、いつも通りおかしかったんだが、まずそのテンションが異常だった。
「駄犬…まず服を着ろ。」
基本的にこの変態は朝起きれば俺の上に乗っているか布団の中に入り込んでいるかむしろ…俺の…いや、その…まあ。
とにかくだ!昨日はコイツ任務でいなかったはずなのになんだって裸なんだ!
「年越しそば食べて…イルカ先生も食べて…年が開けたらもう一回イルカ先生を食べて…!!!」
「何の話だ!?大体まだ1週間は先だぞ!!!」
大体の話は読めた。コイツは…年中行事が大好きで、すきあらば変なものを使おうとしたり変な格好をしたりと俺を疲労させてきた。
しかも…コイツはイベントの直前どころかかなり前からこそこそと妙な準備を…!
「イルカ先生に似会うステキな着物沢山用意しましたから!何回汚しても初詣にちゃんといけますよー!!! それにぃ…もちろん美味しいおそばと美味しいおせちと美味しい俺の…」
「さっさと降りろ!!!そして服を着ろ!!!」
目の前で見る見るうちに元気になっていく変態の一部分など見たくもない!
俺は変態の頭目掛けて拳を振るった。当然ソレはよけられるはずだった。…いつもなら。
「ああ…イルカ先生の拳納めももうすぐ…!!!」
変態はと俺の拳を握り締め熱い視線を向けながら…ぺろぺろと…!!!
「ぎゃああああああああ!!!!!!!」
こうして、俺の年越しに向けての戦いは幕を開けた。
*****
あれからずっと…変態はこそこそと不審な行動を取り続けている。
受付の仕事納めは基本的に無い。任務は途切れることが無いからだ。変態から逃れるためにソレを利用して年末年始はシフトを 入れてしまおうと思っていたが、シフト調整担当から怯えた目で謝られてしまった…。
確認したら年末年始はきっちり休みが取られていた。
教職と兼任している身としては休みが取れるのは嬉しいのだが…コレも変態のヤル気の賜物かと思うと素直に喜べない。
だが、どうやら相当な目にあってしまったらしい同僚をこれ以上追い詰めることも出来ず…諦めて家の用事を片付けようと したんだが…。
まず大掃除をしようとしたが、すでに部屋は大方きれいに片付けられていた。…これもおそらく…いや、確実に変態の仕業だ。
なんとか、最終確認に託けて部屋のそこここを確認したら、案の定酷いことになっていた。後から後から出てくる変態の道具。 もちろん発見し次第廃棄したのだが、毎日毎日捨てても捨てても…片っ端から危険そうなものが出てくるのだ。
まず、怪しい薬品チューブ。…コレは以前から結構頻繁に見つかるのである程度は諦めているのだが、その数が尋常じゃない。 しかも発見されるのが風呂場だの玄関だの台所だの…果ては冷蔵庫に入っていたものすらあり、変態の底知れぬヤル気に恐怖を覚えた。
そして、撤去しても撤去しても出てくるあからさまに不審な道具には、紐だの何だの…変態がどんな用途に使うのか想像できるものが 目白押しなのだ…。今まで一応道具の使用は免れてきている。変態はソレを大層不満に思っているというのは薄々気付いていたが、 やはりココへ来て限界を迎えたのかもしれない。
ヤツはやる。きっとヤル…!
それに…ヤツの懐にも常に妙なふくらみがあるのが気にかかる…。確か最初にうっかりしてやられたときもこんな感じだった。
一度ひっ捕まえてひん剥こうとしたが、「お誘いありがとうございます!!!…イルカ先生から誘ってくれるなんて… やっぱりイルカ先生も待ちきれないんですね!!!」などと言われて散々な目に合った…。「イルカ先生との年末から 年始にかけての熱い愛の交歓のために…ここら辺でやめておきますね!!!」などといわれた時には、すでに俺の体力と精神力 は底をついていたので、それ以上の捜索は諦めざるを得なかった…。
変態が明らかにウキウキしているのを尻目に、俺の疲労は蓄積するばかり…。
今日も…。
「イルカ先生!…お正月にはやっぱりお香を焚かないと!ほーら!ステキな香炉でしょう?お正月になったらこれで雅やかな時を 過ごしましょうね!!!」
いきなり大掃除(という名の捜索活動)中の俺の部屋に沸いて出た変態が、興奮を隠し切れずに言ってたが、その香と やらが明らかに危険な甘い匂いを放っていたのでさっさと普通の香に交換しておいた。
…当日もチェックしないと危険だろう。香炉自体は…おそらくまた異常に高価なモノらしかったので、壊すのはやめておいたが、 ヤツは確実に俺に何か仕掛けてくるはずだ。
それに、年越しそばだのおせちだのに一服盛られたらアウトなので、すかさず7班の子どもたちも誘ってある。
問題は幻術だのなんだのまで使われたら、子どもたちすら抑止力にならない所だ…。
クリスマスには結構使えた手だが、ヤツは変態だが一応里切っての上忍…同じ手は二度と食わないだろう。
「はぁ…」
思わずため息が出る。
大掃除自体は一応変態が勝手に済ませてあるが、その後に更に俺が不審物の捜索に入らなければならないので、 結局自分のやるコトは減らなかった…。むしろいつ何が設置されるか分からない分気が抜けないので、負担は逆に増えた。
「ああん!イルカ先生!そんな声で…誘わないで?」
こうしてちょっとでも手を止めると湧いて出てくるし…。俺の平穏な生活はコイツと知り合ったせいで乱されっぱなしだ。
「駄犬。俺は腹が減った。何か食い物。」
「はぁい!!!精が付くものたっくさん作りますからね〜!!!」
とりあえず飯を作らせることで駄犬を追払った…。
そういえば、食事もだ。すっぽん鍋だのうなぎだのにんにく料理だの…やたらコッテリしたものが増えた。
ソレでなくても変態の飯のせいで太るのを心配しているのに、こんな飯ばかりでは困る。美味いんだがなんていうか… やたら濃い料理に困った俺が、ヘラヘラと笑っている駄犬を注意したら、「大丈夫!たっくさん…運動しますからね…!!!」と 輝かんばかりの笑顔で返された。
その運動の中身の想像が付いて、俺の気力はごっそり奪われた。
もうあきらめた方が楽になれるんだろうか…。というか、このままでは…俺はやりころされてしまうんじゃないだろうか…?
変態が我慢したとか言っているにもかかわらず、終わった後の俺の体はいつもガタガタだ。
変な薬を飲まされて一瞬で治っちゃうのがまた恐ろしい…!!!それに今回の変態のヤル気はいつにも増して異常だ。
「イルカ先生!お待たせしました!愛情たっぷり!ふかひれご飯ですよー!元気になる特製スープつき!」
今日も…妙にコッテリした料理を差し出された。
匂いには異常がなさそうだが、やはりどう考えてもおかしい。
「妙なモノは…入ってないだろうな…?」
手渡されたスプーンでつやつやと輝く美味そうなふかひれを持ち上げてみたが、美味そうだということしか分からなかった。
「えへへ!愛情とー…後は健康にいい薬草がたっぷりですよー!!!」
「効果は…?」
「疲労回復です!」
「…食う。」
「一杯食べてくださいね!来るべき日に備えて!!!」
いつも通りイイ返事で怪しい食い物を差し出した変態から視線をそらし、やけになって飯かきこんだ。
美味い。美味いのが恐ろしい…。
俺は目前に迫った年越しに、言い知れぬ恐怖を感じていた。
*****
なんだかんだといいつつ…今日は大晦日。この夜が明ければ新しい年を迎えることなる。
そんな…今年一年を振り返り、色々と思いを馳せるにふさわしい日であるにもかかわらず何故か俺はせっせと武器を用意している。 …対変態用の…。普段ならいくばくかの寂しさを感じながら一人ゆっくりとすごしていたのに…。
今年は寂しさを感じる余裕すらない。
今のところ当の変態はまだ帰還していない。年末には大名が祝いの会を開くことが多いので、変態にもやたらと任務がふられていた。 今日も例外ではなく、ヤツの帰宅は確実に遅くなると分かっていた。その事実に狂喜しながら、その隙に俺はヤツの仕込んだ怪しげな モノと、怪しげな仕掛けと思しき物をせっせと除去した。そして…ヤツにふさわしい武器の数々も今きっちり装備した所だ。
「これで…ヤツも…!!!」
達成感から笑みが漏れたが…ヤツは俺が足止め用に準備したトラップなどものともしなかったようだ。
「イルカ先生…!!!もうすぐ…もうすぐですね!!!一杯一杯…」
等と大声で叫びながら飛びついてきた変態は、すでに俺の膝になついてふんふんと匂いをかいでいた。
いつのまに…!?
「黙れ!離れろ!むしろココから出て行け!!!」
蹴り飛ばそうとしてもするっとよけられた。…まあ、いつものことだ。
「ええー?駄目ですよ?だってコレからイルカ先生とおそばたべて、それからいちゃいちゃして、またイチャイチャして いちゃいちゃしていちゃいちゃして…ずーっといちゃいちゃするんです!正に寝正月!お腹がすいたら俺がおせちを 食べさせてあげます!!!勿論口移しで!!!」
テンション高く宣言した変態の手には、何故かすでに箸が握られている。
何だか分からんがこのままでは…!
「まず貴様は風呂に入って来い!任務だったんだろ!」
少しでも時間を稼ごうととっさに風呂を勧めたが…。
「イルカ先生ったら…っ!積極的ですね…!勿論全身きれいに磨き上げてから…」
俺に抱きついて尻を揉みながら頭をこすり付けてくる変態から、力いっぱい余計な宣言が返ってきた。
「黙れ!!!とっとといって来い!!!」
「はぁい!!!」
いい返事をして微笑んだ変態はソレこそ一瞬にして風呂場に突入したようだ。
とりあえず、時間はそれほど無い。だが、もうそろそろ子どもたちが…。
「イルカ先生!おそばできましたよー!!!伸びちゃう前に早く食べましょう?」
「なにぃ!?」
予想外の早さだ。さっき風呂場に消えたばかりなのに…アイツはちゃんと風呂で体洗ってるんだろうか…!?
余計なことまで気になったが、とにかく急いで居間に向かった。
そこには…。
「出来立てのおそばですよー!運動前に食べ過ぎちゃうとお腹痛くなっちゃうから大事な大事な…イルカ先生のお腹に やさしい山芋たっぷりです!薬味にはねぎとしょうがと…あとゴマと!それにぃ…もちろん俺の愛情がたっぷり!!! あと、ちょっとしたおつまみにお酒もありますよ〜!」
ホカホカと美味そうな湯気を立てるそば。そういえば準備に忙しくて昼飯もろくに食っていない。一応子どもたちに悪いから 風呂にだけは入っておいたが…。思わず手を伸ばしそうになったが、その前に確認すべきことがある。
「子どもたちも来るといっただろう!今茹でたら伸びて…。」
「あ、それなら大丈夫ですよ?三代目が快く子どもたちを招待してくださいましたから!なんていうかぁ…年の瀬くらい 二人っきりがいいなーっていったら…ね?」
「なんだと!?」
しまった!昨日まであいつらあんなに嬉しそうにしてたのに…!ナルトなんて見たい番組のリクエストまでしてたんだぞ!!! いつのまに…!?
「こういう行事に参加して礼儀作法を学ぶのも修行になるんだぞー!っていったら、ナルトもサスケも大喜びでした!」
「確かに…確かにそうなんだが…。」
めったに無い機会だ。確かに子どもたちのためにはなるだろう。サスケが大喜びって言うのはウソだと思うが。
…だが!このままでは俺は…!?
「さあ、伸びる前に食べちゃいましょう?」
「あ。」
現状は最悪といっていい。ヤツが任務に出ているからと油断しすぎた。だが、そばに罪はない。
…ずいっと差し出された美味そうなそばに、俺の理性は白旗を上げた。
ずるずるとそばをすする。出汁の香りが食欲をそそったが、口にするとその美味さに驚いた。空腹が満たされる心地よさに、 思わず我を忘れて無心にそばをすすった。
…気が付いたら、そばどころか一緒に出されていた焼き物だのなんだのもすっかり胃の中に消えていた。
なんとなくばつが悪い。
「美味かった。」
それだけ言って、食後のお茶でも出させている隙に今後の対策を練ろうとしたんだが…。
「白いものをすするイルカ先生って…ステキですね!!!」
すっかりそばにばかり意識を集中していたが、そういえばコイツの前で食い物食ったらこういう目に合うんだった…!
俺がとろろをすする姿にすっかり興奮した変態は、はぁはぁと鼻息も荒く俺の口元を凝視している。
一緒に暮らすようになってから、いちいち気にしていたら身が持たないくらいうっとおしい視線を向けられているせいで、 視線に鈍くなっていたのかもしれない。
自覚していなかった自分の変化に気付き、俺は激しく落ち込んだ。…コレはつまり変態に馴らされていっているということだ…。 今年を振り返ってみると、じわじわと変態に押し切られてどんどん後戻りの出来ない所まで追い詰められていっている気がする。 焦燥感と共にぞくっとするものが背筋を走った。
「黙れ…!!!」
不安と苛立ちをぶつけるように低い声で怒鳴り、変態を睨み付けると、変態は蕩ける様な視線を改めて向けてきた。
「ああ…イルカ先生…!今年は最高の年でした…!!!」
「は?」
「愛するヒトとめぐり合えて、いちゃいちゃな日々を送って、紆余曲折の後に永遠を誓いましたもんね…!!!」
「まてこら!それにはびた一文同意してねぇ!」
変態の脳内では恐ろしいくらいの記憶の改ざんが行われているらしい。まず愛とかからしておかしい。それに俺はそもそも… 色々同意してない!永遠って…そういえばこの呪いの指輪も…!こんなもんしたまま年越しを迎えるのか…!
「そんなイルカ先生と…一年の感謝の分だけ愛し合いたいと思います!!!」
「なんだそれ!?」
言葉の不穏さに思わず身構えたが、変態はいつものように飛び掛ってきたりはしなかった。代わりに…なぜか急に憂いを帯びた表情で、 ポツリポツリと話し始めた。
「親父にも先生にも親友にも置いていかれて…今まで俺って運があんまりよくなかったと思うんです。」
「それは…。」
言葉が出てこない。確かにコイツは激しくちゃらんぽらんな性格をしているが、漏れ聞こえてくる経歴はすさまじいものだ。
俺なら絶対どこかおかしくなっているだろう。それなのに、コイツはトラウマがあるものの、逆にソレを強さに変えている。 絶対に仲間を守るといい、そしてソレを守り通している。
まあ、俺の前だと泣き出して引っ付いてはがれなくなって困るんだが…。
…もしかして過酷な環境が変態性を…!?
俺が変態の境遇にしんみりしていると、変態が俺の手をそっと握り締めてきた。
「だけど…イルカ先生に出会うために運を貯金してたんですね!!!今は…まさにばら色の人生を送ってます!!! イルカ先生は俺の人生の全て…!!!」
熱っぽい口調も、握り締めてくる手の強さもコイツの心を表現していたが、何より…その瞳を見ていれば分かった。
コイツは本気で言っているのだ。今までの過酷な境遇も環境もすべて…俺なんかに出会うためだったと心底喜んで…。
「あ、その…。うぅ…。」
言葉がそれ以上でない。何をまかり間違ってか俺に異常な執着を見せる変態は、今まで本当に…大変な境遇で生きてきている。
俺もあのときに両親を失ったし、任務中に仲間が傷つき倒れるのを何度も見てきた。そのたびに苦しくて悔しくて強くなろうと誓った。
だが、コイツは…コイツはソレを本当に子どものころからやってきている。
ゆがみが出ても仕方が無いのかもしれない。
「イルカ先生…アナタは俺の全て…!!!だから…ずっとずっと一緒にいてください…!!!」
「あ…。」
そっと俺の手に口づけて、捨てられた子犬のように不安にゆれる瞳を向けられたら、俺にはソレに抵抗することが出来なかった。
*****
うっかり悲しげな話に同情したことを、今俺は激しく後悔している。
神聖な誓いのように俺に愛を乞うた変態は、俺がその口づけを受け入れたとたん豹変した。
「イルカせんせぇ…!!!」
俺の名前を感極まったように呼んだかと思うと、すでに俺の身体は寝室に運び込まれていた。
…なぜか着物姿になって。
「おわ!?なんだこの格好!?」
さっきまで俺は忍服を着ていたはず…というか、その中に今回の計画の肝である武器やなんかも入っていたのに…!!!
俺はいつの間にか濃紺の着物に着替えさせられた上に帯までしっかり締められていて、ついでに変態も何故かそろいの着物に 衣装替えしていた。
「最初は渋めの着物から…あ、でも年が明けたらもっと華やかなのにしましょうね!緋縮緬の腰巻もちゃーんと用意してあります!!!」
「それ女装だろ!?なんでそんな…!」
「だって姫初めですから!ああ…やっぱり似会う…!!!イルカ先生は何を着ても似会うから着物選びきれなくって…! 思わず沢山買っちゃいましたから一杯汚しましょう!!!」
「なんでだー!?」
叫びながら覆いかぶさってきた変態を押し返していると、何だか布団の感触がいつもと違う。
…良く見れば寝室の布団も…いつのまにやら目にも鮮やかな紅色に…!!!
変態のイチャパラシチュエーションへのこだわりに怯えながら俺は変態から逃れる道を探した。
だが、思考がまとまらない内に、変態は甘くかすれたともに悩ましげな息を吐いた。
「ああもう…!イルカ先生が魅力的で…俺、我慢できません!!!」
「うわぁあぁぁあぁ!!!」
飛びついてきた変態がわざわざ着つけした帯をほどいていく。だがいつもならこの段階ですでに全裸になっているはずの変態は 着物を脱ぎ捨てる気配が無い。俺の着物も中途半端に裾をはだけさせただけだ。
「イルカ先生のなまめかしい肢体が着物の裾からチラッと見えて…それがまたたまりません…!!!」
はだけた裾から手を突っ込んで俺の足を撫で回しては、変態がはあはあと興奮の度合いを強めていっているのが分かる。
布団までやられると思っていなかったから、変態に唯一有効な武器である鞭も、更に変態が喜んで動きを封じられてくれる だろう拘束具(その手のものを同僚に探して貰った)すら用意できていない。俺の写真も忍服に仕込んでおいたからすでに ヤツの手に渡ってしまったんだろう…。
もしかしなくてもコレは…絶体絶命…!?
しかも何で服脱がさないんだ!わざわざ汚すとか何とか言ってたが…どうしてこんな変なことばかり思いつくんだ!? いつもいつもどうして…!!!
変態の動きを封じる手立ては…他に無いのか…!?
とにかく時間稼ぎだけでもと、俺は変態の耳を引っ張りながら言聞かせてみた。
「おい!駄犬!…そば食ったばっかりで食休みもまだだ!こういうのはあとで…」
「あ、大丈夫ですよー!ゆっくりやりますから!」
そういう問題じゃない!と叫ぶ前に、変態はその白くて無駄に起用に動く指をゆっくりと胸元に滑り込ませてきた。
確かにいつものように異常な手早さで服をひん剥かれたり気付いたらすでに…いや、まあその、つまりだ!何でかやたらコイツの 手つきはゆっくりだ。だからといってヤル気が無いわけじゃないのは、変態に立てさせられた膝にこすり付けられているもので 良く分かる。
「ひっ…!」
とっさに腰が引けたが変態はその反応にすら瞳を輝かせた。
「さあ…今年最後そして来年の初めまで…ずっとくっついていましょうね!!!」
「むぐ…っんあっ!」
噛み付くように人の口をふさいでうっとりと目を細めている。
「今年最後の大事な行事!一緒にやり遂げましょう!!!」
にっこりと笑った変態に、俺は今日の戦いが敗色濃厚であることを感じざるを得なかった。
*****


*****
あまりにも長く、そして激しい変態との行為のために、途中何度か気を失ったが、そのたびに例の良く分からないが効果の高い 怪しい薬を口移しで投与され、効き始める前に始められてしまい…まあとにかく。生きてて良かったと思う。
折角の元旦…初詣にも行きたいし、尋ねてくる生徒たちに渡すお年玉の準備も出来ていないのに、目蓋を開けていられない。 肉体疲労は例の妙な薬のせいでそれほどでもないのだが、それよりも精神的に…変態にどこまでも侵食されてしまったような気が してならない。
「一年の計は元旦にアリって言いますもんね!コレで今年もイルカ先生とずーっと一緒にいられます!!!」
すでに声を出す気力もない俺を抱きしめてねっとりと撫で回しながら、変態はご機嫌だ。薬も使わずにこれだけ元気なんて… やっぱりコイツは人間じゃないんじゃないかと思う。
もう動くことすら億劫で、そのまま寝てしまおうと思った俺に何か嫌な感触のものが当たった。
「…っ!?」
「目覚めかけのイルカ先生…っ!最高です!やっぱり念には念を入れて…もう一回やりましょうか!」
無駄に爽やかに笑う変態は、あからさまにその気だ。
「ふざけんなー!!!」
変態に向かって拳を繰り出しながら、俺はコイツとの戦いが今年も終わらず、むしろ激しさを増すであろう事を思い、 心の中でひっそり涙したのだった。
「幸せです!!!イルカ先生…!!!」
ことさら大きな声で叫んだ変態の声を聞きながら…。

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変態さんの年越しと姫初め(殿初め?)。
年末年始には変態さんがふさわしいと思ったので!
イチャパラ的な部分を追加してしまいました!本文中の☆印からいけます…。苦手な方はご注意を…!!!
旧年中は大変お世話になりました!今年もよろしくお願いします…!!!
あ、勿論何か増やせとか、ご意見ご感想などございましたらお気軽にどうぞ…。

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