主治医はいかが?



 
ご注意!!!
こんな医者いたら捕まります。フィクションなのでご注意を!
こんな医療行為は普通しません。大嘘なのでご注意を!特に、直腸検査は飲む下剤が一般的なようです。 医療機関によって違うようですが、どっちにしろこんな変態は普通医者になれません。訴えられると思います。
そして、このお話は熱血天然教師が、やや爽やか系の変態においしく頂かれる話で、隠さずに微エ○が出てきます。 苦手な方はご注意下さい!
…まとめてみるとろくでもねぇなぁ…。とつぶやきつつ、覚悟が出来た方はどうぞ…。



「あのー…予約していたうみのなんですが…。」
「ああ、2時からのご予約ですね!それでは…この問診表を記入して受付に提出してください!」
明るくにこやかな対応は好感が持てる。それに結構かわいい。…病院に来るのは正直面倒くさかったが、 少し気分が上向いた。それに、この病院は小さいながらも結構きれいで、観葉植物もあって、水槽には熱帯魚 まで泳いでいる。…なんだか思ったより居心地がいい。
ふかふかのソファに座り、渡された問診表を頭をひねりながら埋めていく。…大体いつ病気をしたかなんて 覚えているわけがない。なにせ結構丈夫なほうだったから、子どものころたまに風邪をこじらせるくらいで、 大過なく過ごしてきているのだ。それに…自分がまだ小学生だった頃に先立たれた両親の既往症など、 最初から分かるはずがない。何しろ教えてもらった覚えすらないのだから。
それでも、なんとかうろ覚えの記憶を頼りに書き込んでいった。
「検診の目的は…職場に提出、と。」
そもそもなぜわざわざこんなものを書かなければいけないのかと言うと、…いたずら小僧たちのせいなのだ。
難関を突破してやっと就くことができた念願の小学校教諭の職だったが、現実はやはり厳しかった。それでも毎日 楽しくはあったのだが…。
イルカはその日の事を思い返した。
--*--*--*--*--*--
その日は小学校教諭の検診の日だった。だが、学校から指定された病院に検査のためだとかですきっ腹を抱えて 向かう途中、よりにもよって学校をサボっている生徒を見つけたのだ。
「こらー!!!」
ナルトだ。見た目も元気そうだが、中身も結構ないたずら小僧で、仲間とつるんで授業を抜け出すことも多かった。 イルカと同じく両親に先立たれ、親戚の家で育てられているという家庭の事情もあって、いわれない差別を受けていた らしい。ソレが原因で親に習って子どもたちにもナルトに対して辛くあたり、本人のやる気もなくなるという悪循環。
入学してきてすぐに、ナルトの激しいイタズラには手を焼いたが、付き合う内に本来は優しい子だと分かってきた。 元々周囲の環境のせいで、注目されたくてやっていたのだろう。…自分にも覚えがあるだけに、それは痛々しいくらいだった。
そしてイルカが、悪いことをした時は厳しく叱り、ちゃんと努力したことは認めるという当たり前の扱いをしていただけで、 ナルトは変わった。最近ではあまりサボらなくなってきていたのだが、イルカが検診で抜ける分を代わりの先生に 頼んだのが仇となったのだろう。
学校の近くの病院はすぐそこだ。だが、まずはあのいたずら小僧を捕まえなければならない。
「やべ!ナニ見つかってんだよナルト!」
「めんどくせことになったぜ!」
「わーついてくんなってばよ!」
「お前らもか!!!」
…単独犯かと思ったが、どうやら集団脱走のようだ。いつもつるんでいるシカマルにキバまでいる。
もしかして他にも…!?
「ばらばらに逃げるぞ!」
「どうすんだってばよ!?」
「つかまったら面倒だろ!」
「そうはいくか!!!」
とにかくぎゃあぎゃあと喚く子どもたちを順番に捕まえていく。すばしっこい子ばかりだが、それはそれ。
何度も脱走している子どもたちばかりなのである程度先が読める。…すきっ腹に響くのが難だったが…。
「待て!!!」
「げっ!」
「わっ!?」
「やべーってばよ!」
まずはシカマルを押さえるのが先だ。…頭が良い子だから残しておくと最悪全員逃がしてしまう。
イルカと視線があったのに気付いたシカマルも、当然慌てて身を翻したが、逃げようとした他の子どもたちとぶつかって 団子になって転がった。
「おまえらー!何やってるんだ!」
叱りながら確認したところでは、怪我はしていないようだし、思ったより簡単に捕まったのはありがたいが、 なぜこんなことになったのか…?
疑問を解決するにしても何にしてもまずは学校に送り届けなければならない。
「お前があっち行けばよかっただろ!」
「なにー!?お前の方こそあっち行けばよかったってばよ!」
「あーあ…めんどくせぇ…。」
取っ組み合いを始めそうなキバとナルトの頭をつかんで止めた。
「学校に戻るぞ!それから…理由を話してもらうからな!」
「「「えー!!!戻るのかよ!!!」」」
…この態度は一体何なんだ…?確かに学校…というより勉強嫌いな生徒だが、ここまで嫌がるのには何か訳があるハズだ。
「…理由は…なんだ?どうして抜け出したりなんか…?」
「だってさ、だってさ、」
「あの黒眼鏡最悪だぜ!?」
「そーそー…あんな面度くせぇヤツの授業なんか聞いてられっかよ?」
普段は飄々としているシカマルでさえこの態度…。代理の先生には確か教頭のエビス先生が当たったはずだ。
…確かに嫌味っぽいというか…わりと棘のある言い方をする人だから生徒たちにもそんな態度であたったのかもしれない。 一概に子どもたちだけを責められない。それに、検診は基本的に授業の少ない土曜日に入れられるから、これから戻っても 授業は半分近く終わってしまっているだろう。それにこの状態ではとても授業どころじゃない。
「しょうがない…か。行くぞ!」
「戻るの…イヤだってばよ…。」
「俺も!」
「俺もっす。」
子どもたちが必死な顔で一斉に抗議の声を上げる。勉強の方にもこれくらい熱心になってほしいものだとため息がでるが、 とりあえずは…事実を確認しないことには何も始まらない。
「学校じゃない。」
「え!」
「ほんとかよ!」
「話わかるじゃん!」
「調子に乗るな!…ちょっと話聞かないといけないみたいだからな。」
怒ってみせても嬉しそうな生徒たちを引き連れて公園に連れて行った。
「で、何があった?」
ちょっと水を向けただけで子どもたちは口々に不満を訴えてきた。
「ひでーんだってばよ!あのむっつりスケベのおっさん!」
「そうそう!アイツすっげー感じ悪ぃんだ!」
「なんかむりっつーか。」
その顔には不審と怒りが見て取れる。子どもだからこそ残酷なまでに大人を見る目は厳しい。
…これはやはりよほどのことがあったんだろう。
「何か、言われたのか?」
「あのさ!…エリートはもう決まってるとかさ、おちこぼれは努力しても無駄だとかさ…。」
「あからさまに俺たちのこと馬鹿にしてんだぜ!」
「あれでも教師なのかって話だよなー。」
「そうか…。」
なるほど。それなら分からないでもない。以前から家柄だのなんだのを偏重しがちだったで、イルカのことも 煙たがっていたようだったが、まさか生徒にまでとは…!これは厳重に抗議しなくては!
かわいい教え子たちにとんでもない事を言ってくれたことに関してははっきりさせるつもりだ。
後は…この子達をどうするかだ。
「お前らが怒るのは良く分かる。俺もソレは間違ってると思うからな。」
そういうと、唇を尖らせて不満げにしていたナルトとキバは、ぱあっと顔を輝かせた。シカマルは一人胡散臭そうな顔を しているが…二人は早速調子に乗った。
「へへ!話わかるじゃん!」
「じゃあさ!じゃあさ!もう帰ってイイだろ!」
「あ、ばか!」
シカマルが慌てて二人の口を押さえたが、残念ながらしっかり俺の耳に届いた後だった。
「いいわけあるか!」
二人の頭を軽くこずいてやる。…拳骨じゃなかったのは情状酌量だ。
「なにすんだよイルカせんせー!」
「あんなむっつりスケベのトコ戻りたくねぇってば!!!」
「馬鹿だろお前ら…。」
顔中口にして喚き倒す二人と、その二人を冷めた口調では一応庇ったシカマル。
…やっぱり根はいい子たちばかりだ。俺の生徒にとんでもない事を言ってくれたエビス先生とはとことんまで 議論を交わさなければなるまい。
だがその前に…。
「この事はちゃんと先生が厳重に抗議する。…でもな、授業をサボってるってことはお前たちも悪いことしてるんだぞ?」
子どもたちにもちゃんとコレだけは理解させなければならない。子どもたちの心を折るような人に無理して付き合う 必要はないが、だからといってサボるのは別問題だ。相手が悪いことをしているからといって、自分もしてイイ ということにはならない。
「だってさ!あんなヤツに会うのヤダってばよ!」
「なんだよーそれ!」
「あー…まあな。」
三者三様の反応に苦笑しながら、俺は全員の頭をぐりぐりとなでてやった。自分で考える力がある子たちばかりだから、 大変だけど将来が楽しみだ!
「言い訳はなしだ!…学校に戻るぞ!」
そのまま気分よく学校に戻るつもりの俺の腕を、ナルトが引っ張った。
「でもさでもさ!イルカ先生の病院はいいのかよ?」
「あー!!!」
--*--*--*--*--*--
その後も、学校に戻りたくないと大騒ぎする子どもたちとひと悶着あったあと、何とか学校に戻り、その後もエビス教頭と ヒルゼン校長も交えて喧々諤々の議論を繰り広げ…結局病院に行くどころではなくなったのだ。
お互いにそれなりに納得はしたが、今後もあの人とは色々話し合っていく必要があると思った。
…そんなこんなで、予定が押せ押せになった結果、元々無理やり入れ込んでいるような検診の日程も どんどんずれ込み、遅くなってしまったのだ。
結局、仕事のある日に来るのは無理なことが分かり、提出期限も迫っていたので、貴重な休日である土曜日に来るしかなかった。 それだけでもがっくりきてるって言うのに、その上今度は学校の近所の病院の方で予約が取れず、こうして自宅の近くの病院に 来ることになってしまった。
空腹の時間が短くて済む分まだましかもしれないが、こんなことならあの日無理をしてでも検診を受けておけばよかったと さえ思う。
…まあ、子どもたちの事をいい加減にしたくなかったからいいんだけど。
だが、折角の土曜日。日々子どもたちにもまれている身としては…できればゆっくり休みたかった…。
何とか書き込み終わった問診表を看護師さんに手渡し、ぼんやりとしていると余計にそう思う。 特に最近はナルトたちのエビス教頭に対するイタズラ対策も加わって何かと忙しく、それでなくても疲れているのだ。
今後の対策などを考えていると、看護師さんに声を掛けられた。
「うみのさん。ご案内しますね。これから血液検査と尿検査、身体計測があります。その後レントゲンを撮って、 最後に診察です。何か分からないことがあったら、声を掛けてくださいね!」
「はい。」
テキパキと説明しながら、検診の案内を手渡してくれる看護師さんは、優しそうに微笑んでいてほんのり幸せな気分になる。
思わずちょっと緊張してしまって、変な声がでそうになったくらいだ。それに、さっきから視界に入る看護師さんが 全員美人なのにも驚いた。
…採用条件に顔も入っているんだろうか…?
ちょっと邪推してしまった。
この病院は、近所にあるわりには自分が健康なせいもあって、一度もかかったことがなかったが、 こんなにいい雰囲気なら今度から風邪を引いたらココにこようと思った。
…こういうところでも出会いがあるかもしれないし!
ずっと一人暮らしだけど、そろそろそういうことも考えたい。
だが、そんな俺の幸せな時間は、すぐに終わりを告げた。
「まず、コレに着替えてくださいね!」
「え、これ、ですか…?」
手渡されたものを広げてみると、どうやら検査衣のようだ。…だが、丈が短い。短すぎる。歩くと…色々見えてしまいそうだ。
「では、着替えはこちらで。下着だけになってくださいねー!あ、シャツも脱いで!」
驚く間もなく看護師さんに案内されるままに小さな部屋に入ると、シャッと入り口のカーテンを閉められてしまった。 しかも、看護師さんはそのままどこかへ行ってしまったようだ。
「これ、着るのか…?」
太腿がかろうじて隠れるくらいの丈。最近の若い女性のはいているミニスカート並みだ。せめてコレがズボンタイプ ならマシなのだが、浴衣の様に前を合わせてヒモで縛るだけの簡単なもの。つまり、ちょっとはだけただけで、 色々見えてしまう。
流石にすぐ着る気にもなれず、躊躇っていると、カーテンの外から声を掛けられた。
「うみのさーん?着替え終わりましたかー?着方わかります?」
「え!いえ、すぐに!」
看護師さんが心配してきてくれたらしい、とっさに答えてしまったが、ココまできたら腹を括るしかない。
「検査衣だもんな…。着る、か…。」
躊躇すると着られなくなる気がしたので、手早く着てきた服を脱ぎ、検査衣に着替えた。
…思った以上に心もとない。トランクスの裾が見えるか見えないかというギリギリの丈。
部屋の中にある鏡に映る自分は、見た目も相当に情けないことになっている。自分の生徒たちならまだしも、 イイ年した大の男が、足丸出しのこんな格好をするのは犯罪じゃないだろうか。
冷や汗をかきながらまごついていると、また看護師さんが自分を呼ぶ声が聞こえた。
「うみのさーん?」
「わ!はい!着替え終わりました!」
慌てて飛び出した俺に、にこにこ微笑んだ看護師さんが、スリッパを差し出してくれ、そのまま検査室と書いてある 部屋まで案内された。
「ここでまず、血液検査です。次はお手洗い行って尿をとってもらいますのでー!」
「はぁ…。」
通されるままに進んだが、座るにしても自分の格好が気になって気もそぞろだ。それに、微妙に内股になってしまう。 そんなことをすれば返ってみっともないのは分かっているのだが、いつもの様に足を開いて歩いたり座ってしまうと、 裾がはだけてパンツが見えてしまうのだ。
「じゃ、力抜いてくださいねー!」
落ち着かない気分のせいで、検査の人の優しげな笑顔もかすんで見えてしまう。
…とにかく早く終わらせよう!俺はそう心に誓いながら愛想笑いを返したのだった。
--*--*--*--*--*--
「あとは…診察だけかな?」
こんな格好をしてるのが嫌で、焦って回った割にはもう昼過ぎ。空腹も限界に近づいている。喉も渇いた。 できるだけ早く終わらせたい。
そう思いながら診察室へ向かった。
「うみのさん。こちらへどうぞ。」
「あ、はい!」
俺を診察室に連れて行ってくれたのは、最初に案内してくれた看護師さんだった。
…その笑顔にちょっとドキドキしながら診察室に入った。その中にとんでもないものが潜んでいるとはその時は 夢にも思っていなかった。
「はじめまして。うみのさん。はたけカカシと申します。…今日は検査でしたね?」
扉を開けるとそこには…マスクをつけた銀髪の男が白衣姿で座っていた。ここは診察室なのだから、当然彼は医者だろう。 だが、何だか酷く場違いに思った。
緩やかに弧を描く細められた瞳が、優しげなのはいいのだが、マスクをつけているというのに、容姿が整っているのが分かるし、 それに、口調も柔らかく声もいい。なによりまとう空気が違う。これならむしろ…俳優とかそういう職業といわれた ほうがしっくり来る。
こういう人ってもてるんだろうなー…。看護師さんも医者もきれいな人ばかりだから、きっと繁盛してるんだろうなー…。
そんなぶしつけなことを考えながら、思わず顔をまじまじと見つめてしまった。
「うみのさんは…ここ初めてですよね?」
じろじろ見てしまったのに、ニコッと微笑んだ医者は、こういうことにも馴れているのかもしれないと思った。
「あ、はい。」
初診だということは電話で予約したときにも伝えてあるが、改めて聞かれるとちょっと緊張する。
やはり、普通は行きつけの病院にいくものなんだろうか…?
だんだん不安になってきた。
だが、医者はそんな俺ににこっと微笑んだ。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ?」
「う、はい…。」
返事はたどたどしくなってしまったが、緊張は大分ほぐれた。
…嫌味でなく、優しい言葉。コレならきっとうちのイタズラ小僧たちも素直に治療を受けてくれそうだ。
「まず、喉を見せてもらいますね?」
「あ、はい。」
そういえば、昔風邪ひいて病院行ったときにもこんなことしたなぁ…。
遠い過去の記憶を思い出しながら開いた口に、金属製のへらみたいなものを突っ込まれた。
胸ポケットからスッと取り出したペンライトで、口の中を照らしている。相当入念に観察しているようで、 へらだけでは足りなかったのか、指まで入り込んでぬるぬると探っている。
しばらく耐えていたが、長くなってくると流石に苦しくなってきた。
ちょっと涙目になりながら、怪訝な視線を向けると、医者がさらに指示を出した。
「あーって声出してみてくださいますか?奥の方まで見たいので…」
「ふぁい…あー。」
コレで終ってくれ!
そう思いながら、口を開けっ放しにした間抜けな格好で、何とか声を出す。
医者はしばらくソレを眺めていたが、すっと金属製のへらと指を抜いてくれた。
「はい、大丈夫ですよ。キレイな喉です。」
…人を安心させる微笑みだ。
あんまり長いから不安になったが、その笑顔を見る限り、ちゃんとしっかり見てくれたのだと信じることができた。
「ありがとうございます。」
さりげなく差し出されたティッシュで口を拭った。
…いい医者に当たったな!
そう思っていたから、続く指示にもちゃんと従ったのだ。
「胸の音、聞かせて下さいね?」
そういって微笑む医者に促されるままに、検査着の前を開けた。
…要するに見た目はすっかりパンツ一丁だが、医者が動じないので俺も開き直って堂々と…は無理だったが、何とか耐えた。
医者もテキパキと聴診器をつけ、俺の身体をちゃんとチェックしているようだ。
あんまり強い視線で見られるのは落ち着かないが、この医者は本当に患者に対して真剣なんだろう。
だが、肌に触れた聴診器の冷たさに、思わず声が漏れた。
「つめたっ!」
「ああ、ごめんなさい。もうちょっとで終りますから…。」
眉をへしょっと下げて謝る医者に、返ってこっちの方が申し訳なくなった。
「大丈夫です!どんどんやっちゃって下さい!」
思わず意味もなく大声で言ってしまったが、医者は気分を害した様子ではなかったので、ホッとした。
冷たいものに刺激されるたびに背筋がぞくっとして、思わず「あっ!」だの「う…っ!」だの、変な声は出てしまったが、 しばらく腹だの胸だのを這い回る異質な感触に冷や汗やを流しながら耐え、背中もつつがなく済ませることが出来た。
…あまりにも胸ばかりたどるので、肺でも悪くしてるんだろうかと怪訝に思ったが、大丈夫だったようだ。巷では3分診療など ばかりで、ちゃんと見てくれる医者は少ないと聞いている。その点、俺はいい医者に当たったのだと思った。
…ちょっと落ち着かないけど。
「レントゲンは異常なしですね。尿検査と血液検査も大丈夫。健康的な生活を送ってるんでしょうね。それから…」
ホッとした俺に、医者が検査結果を説明してくれる。その声も柔らかくて、普通に聞いているだけでも何だか気分がいい。
それに、ちゃんと分かりやすく説明してくれたので、俺の医者に対する信頼感はいや増した。
「あの。ありがとうございました!」
自分でも健康すぎるくらい健康だから、検査に引っかかるなんてコトは無いだろうとは思っていたが、 こうして改めて確認できてホッとした。
思いのほか早く終ったし、居心地が良かったこともあって、何だか得した気分だ。
そう思って、俺がお礼を言った時だった。
「あのね…。うみのさん…。」
何故かちょっと口ごもりながら医者が、おもむろにマスクを引きおろしたのだ。
…そこにはものすごく、それはもう容姿の整った銀髪の男が柔らかく微笑んでいた。
「え!?はいっ!なんですか!?」
自分も男だと言うのに、思わずうろたえて声が裏返ってしまった位だ。
…鼻傷も地黒であることも、変わりたいと思ったコトはない。それでも…こんなにも男前な人間を生でみると、 辛いものがある。
いや、でも!俺だって捨てたもんじゃないはずだ…!…彼女いないけど!でもそれは忙しいから…!!!
聞かれてもいない言い訳が頭の中を駆け巡る。
そんなふうに…あからさまにおかしい俺の態度にも動じず、医者は心底心配そうな声で続けた。
「問診表を見たんですが…。うみのさんって、一番最近病院に掛かったのが随分昔でしょ?…ちゃんと検査しておいた方が イイと思うんです。今は早めに見つければ治せる病気の方が多いですから。」
「え、あ、そうなんですか…。」
そういえば…一番最後に病院に行ったのなんて、10代の頃だ。しかも前半。…健康だからって放っておいて、 気付かない内に変な病気になってたら確かに困る。
…問題は、金額だ。最終的には学校から出るが、それまでは立替えることになっている。つまり、今そんなに手持ちが ないのでちょっと心配だ。まさかツケにするわけにもいかないし、検査って言うのは、大抵金額が高いというし…。
そんな俺の葛藤を読んだかのように、医者はにっこりと笑った。
「コレは検診の料金に入ってるので、大丈夫ですよ?」
眉間に皺でも酔っていたんだろうか…?
見透かされたことをちょっと恥ずかしく思ったが、それならせいぜい空腹を耐えるだけで済みそうだ。
「あの、お願いします!」
その返事に目を細める医者は信頼できるように見えたし、ちゃんと患者のことを考えている医者だと感謝していた。
だから…このときは、返事をしてしまったことを、後悔するなんて思っても見なかったんだ。
--*--*--*--*--*--
「うみのさん。力抜いてくださいね…。」
「は、はい…。」
どうしてこんなことになってるんだろう。いや、正当な医療行為だって分かってはいるが、 直腸検診って…!!!こんなに…なんていうか、屈辱的なものだったなんて…!!!
狭い検査室で密室で…医者と二人っきり。検査衣は着ている。だが、下着は…!
「ジェルで汚れたら困りますから。脱いじゃってください。」
医者にさらっと軽い調子で言われて、ひるむ間もなくいとも簡単に俺のパンツは剥ぎ取られていた。
そんなものを医者に脱がせて貰ったというだけで、羞恥で死にそうになったのに、今の俺の格好は…短すぎる 検査着だけ…。かなりのきわどさだ。
これを女性もするんだとしたら、恥ずかしさは男の俺の比ではないんだろうが、俺も検査前から既に逃げ出したくなっている。
その間にもさっと手袋を嵌めた医者が、機械を操作している。
その様子はいかにも知的というか、専門職という感じがするのに…自分はベッドの上に横になっていて、 その医者に自分のしりを向けているのだ。
…これから己の身に待っていることを思うと、非常に複雑だ。
「まずはお薬入れますねー?15分位したらトイレに行きたくなるはずだから、ちょっとだけ我慢してください。」
「へ!はい!」
…ついにきた!
事前の説明によると、下剤?だかなんだかで、お腹の中身を空にしてから見るんだそうだ。
説明の中身は理解できたんだけど…そんな目に合うんなら、いいですといいたかった。
…笑顔で心配してくれる医者が、真剣に説明してくれたんじゃなかったら。
「麻酔入ってるジェル塗りますから。痛くないですよー。ちょっと冷たいですけど。」
「…んっあっ!…っ!」
ぬるっとして冷たい感触がして、自分でも触ったことがないところに、異物が入り込んでくるのをありありと感じた。 気持ち悪いというか…なんだか恐ろしい。
指が薬を押し込んでくる不快感に、息が詰まった。
「もうちょっとだけ、我慢してくださいね…?」
思わずもがきそうになったけど、医者が柔らかい声でそういって、足をさすってくれたので、必死で堪えた。
それでも呼吸のたびに指を食い閉めてしまい、塗りたくられたジェルとかいうのがくちゅくちゅと音を立てるのが 恥ずかしくてたまらない。
「くっ…ん…っ!」
「ああ、力入れないで。出てきちゃいますよ…?」
無意識に力が入っていたらしい。医者に困った声で注意されて、涙が出そうだ。
しかも…薬をぐいぐいと押し戻されて、得体の知れない感覚に背筋がぞわっとした。
もうなんでもいいから早く終って欲しい。
荒い呼吸と変な声を堪え続け、俺としてはもう1時間くらい経ったんじゃないだろうかと思った時、差し込むように 腹が痛くなってきた。
「あ…っ!」
「ああ、そろそろかな…。ここでしてもいいですけど。」
「こここ…っ!?お手洗いに行ってきます!あの、服…っ!」
トイレには行きたい。だが、下着を脱いだままだし、何よりまだ指が入ったままだ。
「ああ…検査着だけでとりあえず大丈夫ですよ?お手洗いはすぐ向かいですから。」
そういって医者は指を抜いてくれた。その時にもまたぞくっとする感覚が走ったが、それはともかくとして、 腹痛を何とかしたい!
慌てて検査着の裾を直して、トイレに駆け込んだ。
滞りなく済ませたが、殆ど何も出なかったとはいえ、今朝からなにも食べていないのでより 一層空っぽになった感じがする…。
とにかくこんな格好でいるのは精神的にきついので、急いで検査室に戻った。
「お帰りなさい。」
笑顔で待ち構えていた医者が、返って恐ろしい。
…だが、コレは立派な医療行為…!どぎまぎする方がおかしいんだ!!!
出し切ってしまってよろよろする己の身体に気合いを入れて、ベッドの上に横たわった。
すぐに医者が裾を捲り上げる。何故かしりまでなでられた気がしたが、気のせいかもしれないと思いなおした。
「あの、お願いします。」
「はい。勿論。ああそうだ。お注射打ちますね。」
「あ、はぃ…。」
そういえば、痛くないようにする注射を打つって言ってたっけ。
正直注射は嫌いだ。さっき採血された時もちょっとに気分が悪くなった。だが、こんなに真剣な医者の前で… しかもこんな年になってごねる訳にも行かない。
ちょっとだけ身体を起こすように言われて、腕を捲り上げると腕を消毒された。 ヒヤッとする感触が、もうすぐ注射されるんだという恐怖を一層煽る。それから変なバンドみたいなヤツで腕をぎゅっと 締められた。
…やっぱりちょっと怖い。
思わず視線をそらすと、医者がくすっと笑った。
「痛く、しませんから。…力抜いてくださいね…?」
するっと、何故かわき腹をなでられてびっくりしてたら、腕がちくっとして本当に一瞬の痛みだけで注射は終っていた。
「え!あ、もう終ったんですか!」
「ええ。ちょっとくらくらするかもしれませんから、横になってください。」
「はい。あ…っ?」
医者の言葉通り、急にふらっと来た。こんなに早く効くとは思わなかったからびっくりしたが、医者が俺の腰を 支えて横たわるのを手伝ってくれたので倒れずに済んだ。
「もう一度ジェルを塗りますから…。」
その言葉に、さっきの感触を思い出して身構えてしまったが、医者の手は迷いなく俺の尻に向かった。
冷たく湿った感触が、ソコに触れたかと思った時、すぐにぬるりと何かが入り込んできた。今度は薬が無いので さっきより大きさというか形というか…指が入っているのがはっきりと感じられる。
「んんっ…っ!」
息を殺して変な声が出るのを堪えた。…さっきは夢中だったから気が付かなかったが、密室でしかも二人っきりで 男が変な声だして唸ってたら、いくら医者だといっても気持ち悪いに違いない。
…自分だったら引く。間違いなく引く。
だが、下剤を入れた時は浅い所で止まっていた指が奥までずるんとはいり込んできて、思わず声が漏れた。
「ああっ!や…っ!」
自分でも驚くような鼻に掛かった声に、羞恥と動揺で顔が真っ赤に染まったのが分かる。
隠そうにもこんな格好でこんな状態。…俺には顔を押さえるくらいしか出来なかった。
「このままだと痛かったら困るので…ちょっと奥まで開かないといけないんですよ。痛かったですか…?」
戸惑ったような医者の声が、こちらを気遣ってくれるのが情けなくてたまらない。
異物感は酷いが、麻酔のせいか痛みはないのに…!
「だいじょぶ、です。あの、ごめんなさい…びっくりして…!」
言い訳じみた言葉を吐いてしまったが、医者は優しい声を掛けてくれた。
「なら良かった!じゃ、続き、しますね…?」
背後にいる医者の顔は見られないが、ことさら気を使ってくれているのが良く分かるだけに、自分も堪えなければと必死になった。
だが、医者の指はぐいぐいと中をかき混ぜ、そのたびに口から出そうになる声を押し殺すのがキツイ。苦しさを逃がす ためにはぁはぁと口で息をしていたが、それでは声がもれてしまうのだ。
ちょっとでも声を漏らしたくなくて、自分の手で口を押さえながら耐えた。
苦しさと眩暈で、何だか医者の声も遠く聞こえる。それとも、コレも薬の効果…?
「辛い?もうちょっとですからねぇ…。入れますよー…。」
医者の声も何だかかすれてるような気がしたが集中してるんだろうか。
いよいよだと怯えていたら、ぬるっと何かを突っ込まれた。
そのまま意外とすんなり進んでいく。…ちょっと前まで俺に突っ込まれていた医者の指よりもずっと楽に。
確かにちょっとは苦しかったので息をしながら、逃がした。
なんだか腹の中に小さな猫でも歩きまわってるんじゃないかっていう微妙な感触だったので、耐え切れないほどじゃなかった。
しばらく耐えていたら、そのうち医者の満足そうな声が聞こえた。
「ああ、キレイですね。大丈夫。健康そのものですね。」
その言葉の内容よりも、もう開放されるってことのほうが嬉しかった。
「あ、ありが、んっ!」
お礼を言う前に何かが引きずり出されていく感触に、息が詰まった。入れられる時よりもこっちの方がキツイ。 何か、変な感じがする。注射のせいか体が動きにくいから、まだましだったけど、普通だったらじっとして いられなかったかもしれない。
それに、何だかこう…変にもぞもぞするというか…気持ちイ…いや!気のせいだ!
「はい。終わりましたよ。」
俺が自分でうろたえるくらい相当変な声を上げてしまったのに、医者はやっぱり爽やかにそう言った。
「ありがとうございます…。」
ちょっと気が抜けた。
終わるまでが異常に長く感じたけど、これでやっと帰れる。そう思ったのに…。
「でも…この注射、ふらふらするのがしばらく抜けないんです。だから別のお部屋を 用意してありますから、休んでいってくださいね?」
「え!あっ…!」
医者の言葉に驚いて立ち上がった瞬間、ふらっときた。
…確かに足が地面についてない感じだ。このまま外に出たら危ないかもしれない。
「ほら、ね?」
俺を抱きとめてくれた医者の腕に甘えて、俺は案内されるまま別室に運ばれてしまった。
…こんな格好の男にたいして所謂姫抱っこが出来る医者の精神力に感心しながら…。
--*--*--*--*--*--
「つきましたよー。」
「うぅ…!ありがとうございます…。」
ありがたいんだがありがたくない。いい年したしかも男が、それもミニスカみたいな検査着一丁で、同じ男に姫抱っこ。
…精神的ダメージは果てしなく大きい。
だがとにかく、動けないのは事実だ。諦めて休ませて貰おう。
何だかやたら丁寧に俺をベッドに下ろしてくれた医者に、一応お礼を言った。このまま仕事に戻るんだろうと思ったのに、 医者は出て行かないどころか腰を落ち着けてしまった。
何故か俺の寝ているベッドに…。
「なんだったら泊っていってくださいね?」
にこにこと微笑むその顔は恐らく好意で言ってるんだろうが、面食らった。
「え。でも!大丈夫ですから!」
ここに泊るって!?確かに疲れてるけど、病院ってそんなに簡単に人泊めたり出来るものなんだろうか? 腹も減ったし、自分としては歩けるようになり次第早く帰りたいんだが…。
動けないので表情と声だけで戸惑いを露にする俺に、医者は今まで見せたことの無い笑顔を見せた。
「本当に、大丈夫ですか…?」
キレイな顔が確かに笑ってるのに、さっきと違ってどこか恐ろしいような…。空気が何だか違う。
「えーっと…今のところは…その、ちょっとフラフラするだけで…。」
不安を誤魔化すように、さりげなく自分の状態の良さを主張してみたけど、医者は急に眉をしかめた。
「ああ、ソレはいけない。ちゃんと良く見ないとね。それに…こっちもなんとかしないと…困りますよね?」
そういって伸ばされた手が触れたのは、検査着にかろうじて隠された俺の…!
「ちょっ!どこ触って…!」
触られて初めて気が付いた。…ちょっと勃ってる…!なんでだ!?
「大丈夫です。痛くしません。ちゃんと気持ちよくしますから。」
「いや、そういう問題じゃ!んむっ!?」
口が温かい。いやむしろ熱い。っていうか…コレ!?
「犬の散歩してるとき、よくジョギングするあなたを見てたんです。」
「へ?」
そういえば…毎日ジョギングはしている。犬も結構見るけど。…でもこの人に見覚えないし!
…いや待て…そういえば、やたら沢山犬連れたマスクつけて帽子かぶった人はよく見たな。
会釈くらいしかしたことないけど、ほぼ毎日俺のジョギングコースにいたような…?
背の高さといいひょっとして?いやでも、何でこうなるんだ!?
「その時から…ずっと気になってて…。」
「えーっと?…何が?それと、あの、触んないでください…っ!」
裾が!裾がもうちらりとかそういうレベルじゃなくなってる…!
押さえようにも医者の手がしっかりソコを掴んでいて、中途半端に隠されている分返って卑猥に見える。 何だか熱心に語っているが、この異常事態。集中できるはずがない!
というか、頼むからそんなトコ触らないでくれ!
「好きです…だから…!」
「へ?あっ!」
あっという間だった。
ベッドに腰掛けていた医者が俺に覆いかぶさってきたのだ。
「あなたは疲れた顔をしていてもジョギングを毎日欠かさないし、時々子どもたちと歩いてて面倒見も良くて、 いつも頑張りやさんだなって思ってたんです。身体壊さないといいなって。」
「えっと。ソレはそのー…俺は教師なので。それにジョギングは趣味…」
「だから…いつか俺の病院に来てくれたら、全身、余す所なく診て確かめようっと決めてたんです!予約の電話があった時は 凄く嬉しかった…!」
「へ?あの!だから!」
医者が、食らいづくように、俺の腹にキスを落とす。
さっきのジェルと違って温かいソレが這い回って、電気が走ったみたいに身体が跳ねた。
「やっ…あぁっ!」
「隅から隅まで…全部俺に診せてください…!」
何かが間違ってる!
そう思ったものの、真剣なその顔に、何だか抗うのが悪い気がしてきた。
それに、そもそも俺の手足はまだ言うことを聞いてくれないのだ。
「ああ…あなたはどこもかしこもきれいですね…!口の中も、肌も胸も…!ここも…!」
感動してるのはわかるんだけど、感動してるポイントは理解できない。
…握ったモノに熱い視線を向けながら擦るのは止めてくれ!
「お願い…だか…っ…あっ!離して、くれっ!」
「足りませんか?なら、もっと気持ちよくなってもらわないと…!」
クソ真面目な顔で、股間に口を近づけた医者は、あろうことか躊躇い俺の大事なモノを銜えてしまった。
「んあっ!」
医者は俺の上げた声に目を細めて、嬉しそうに舐め上げている。
気持ちイイ。でも、このままじゃ…!
こんなこと、誰にもされたことない。そもそも彼女すらいたことも無いのに、どうしてこんなことになってるんだ!
気を散らそうにも、個室に響き渡る水っぽい音も、欲情した医者の顔も、俺を追い詰める。
「出していいんですよ…?」
腰に響く声で医者が囁く。
…もう我慢できなかった。
「も、だめ…っ!」
散々堪えてたものが一気に放出され、快感に腰が震えた。
ほぼ同時にごくりと何かを飲み下す音が…!
「あんまりしてないみたいですね。コレはいけない。身体に毒ですよ?」
口の中に吐き出してしまっただけでも、叫びだしたいくらい恥ずかしいのに、この医者は…!!!
「の、飲んだんですか!?」
「ええ。あなたの健康管理は俺の使命ですから。」
医者はしれっとした顔で口元を指で拭い、これ見よがしに舐めて見せた。
「余計なお世話だ!」
羞恥心と情けなさとで涙が出そうだ。
それなのに、医者の動作がいちいち卑猥で、俺の体が勝手にその気になってしまう。
「俺はあなたの主治医ですから。これからは責任持って楽にしてあげますからね!」
爽やかに微笑む医者の笑顔が恐ろしくてならなかった。
--*--*--*--*--*--
「全部、見せてくださいね。」
そう言った医者に検査着の前を開かれてしまい、もはや腕に引っかかっているだけになっている。
しかも、当然のように足を開かされて、その間を凝視されているのだ。
…どうしてこんなことになってるんだろう?
「あっあっ!…も、やだぁ…!触んな…っ!」
医者はしつこく俺の尻を弄っては、俺の反応を確かめる様に中を探った。それも、さっきよりずっと執拗に。
おまけに握られた俺のモノがひくつくのさえ嬉しそうに見ている。
「さっきみたときもキレイだったけど、こうしてみると本当にキレイですね…。早くこの中に入りたい…。」
なにかぬるつくものをまとったその指を押し出すように力を入れても、嬉しそうに微笑むばかりで止めるそぶりは うかがえない。
睨んでも喚いても…。
しかも、一本だった指が増やされ、水っぽい音も激しくなっていった。
怖くて少しでもその異物感を逃がしたくて身体をよじった時、医者の指がソコに触れてしまった。
「え?…あっ!」
「ああ、もう待てないんですね…!」
出してしまったかと思った。
さっきも弄られて変な感覚はあったけど、こんなに強烈じゃなかった。
気持ちイイっていうよりも、むき出しすぎて怖いくらいの感覚。
「なに?なんで?い…っやだ!」
「大丈夫。ね?」
何が大丈夫だ!こんなにイヤだっていってるのに!
学校でも人にされて嫌なコトは自分もするなって教わるだろ!俺も教えてるし!
「ヤダって…言ってるのに!」
怖くて、気持ちよくて、腕をばたつかせる俺をなだめるように、医者は俺の腕を掴んで頬ずりして見せた。
それはもう嬉しそうに。
「注射、嫌いみたいでしたもんね?でも、痛くなかったでしょ?こっちにも自信ありますから! 絶対あなたを気持ちよくさせてみせます!」
そんな自信はいらない!…そう叫ぶ前に、熱いモノがソコに押し当てられて…。
「ああっ!なに!?やだ…っ!あ、あ、…んーっ!」
ねじ込まれたものが何なのか、考えるまでもない。白衣も脱がずに前だけくつろげた医者が、 その反り返った赤黒い凶器を俺につきこんでいるのだ。
確かにそれほど痛くない。でも、すごく苦しい。強引に腹を一杯にされる感触に、涙がこぼれた。
「キツ…っ。でも、やっぱり気持ちイイ…っ。」
「抜け!やだ!」
医者の呟きが怖い。俺は気持ちよくないし、俺にこんなことしてるのに、うっとりした瞳を向けてくるのが恐ろしい。
「ああ、大丈夫。…ほら、ここ、気持ちイイでしょう?」
怯えきった俺をあやすように、頬についばむようなキスをおとしながら、医者が腰をゆらした。
「あぁっ!…なんで!?んっ!や、あ…」
そこを擦られるたびに走る強烈な感覚に、勝手に俺の前が立ち上がっていく。
「ここ、もっと擦ったら、もっと気持ちイイですよ?」
「うぅー!ぁんっ、はっ、あ…!」
腹の中の熱い肉が暴れて、そんなもの欲しいと思ったことも無いのに、気持ちよすぎて怖くなった。
それなのに、俺の腰は勝手に動いて、新しい快楽をむさぼる。
…もうめちゃくちゃだ。
「泣かないで…?」
優しい瞳。心底心配しているみたいなソレに、驚いていると、医者はいつの間にか零れ落ちた涙をぺろりと舐めた。
恐怖から逃れるために、縋りつくみたいにそれに吸い付いたら、医者もそれに応えてくれた。苦しくなるくらい激しく。
「はっ…ぅ…あ…」
「もうずっと、一緒ですよ?」
そのまま激しくなる行為に溺れた。
…溶ける様に。
--*--*--*--*--*--
職業意識に燃えるのは結構なことだが、普通に考えてコレは犯罪じゃないだろうか?
というか、俺は…ほぼ初対面の男相手に…!
喚いて暴れようにも腰が抜けて身動きもろくにできない。
ソレをイイことに医者が包み込むように俺を抱きしめる。
「これからもあなたは俺が守ります!いつでもどこでも…」
「なんでだ…!」
すがすがしいまでにあさってな言葉はどうなんだろうと思ったんだが。
「好きです。一緒にいます。ずっと。」
そういえば、それどころじゃなくて流しちゃったけど、さっきも…!
宝物みたいに俺を抱きしめながら、真剣な声で囁かれた言葉が、ずっと一人だった俺の胸にすっと響いた。
「えーっと。その、俺は…。」
「幸せにしますね!」
この世の春といわんばかりの蕩けた顔で、俺を抱きしめる医者は、問題だらけなのに、そんなところさえかわいいと 思ってしまったので。
…いつのまにか俺には顔が良くて腕も良くてちょっと性格が天然?恋人が出来てしまったらしい。

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変態ドクターはどこまでもわが道を突き進むという話。…つまりまた変質者になってしまった…。
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