あなたはそのままで2



潜められたイルカのその声を聞いたカカシは、やっと噂に気づいたのかと内心苦笑しながらも、それは表に出さずに 深刻そうな表情を作った。
「ホントに?・・・それは困ったな・・・」
噂話を広めた張本人のくせに、ガシガシと銀髪をかきながらそんな事を白々しく言うカカシに、イルカが申し訳なさそうな顔で 謝って来る。
「すみません・・・。俺なんかとそんな・・・」
「あぁ、そんな顔しないで、イルカ先生。可愛い顔が台無しですよ?」
イルカを口説くのがすっかり口癖になっているカカシの、その言葉を聞いたイルカが、ポッと可愛らしく頬を染める。
(脈はあるんだよな・・・)
最近は、カカシが言葉の端々に恋心を含めると、イルカが嬉しそうな表情を見せるようになってきていた。
以前は気づいてもいなかったのに。
徐々にカカシに惹かれはじめているらしいイルカが、いつ噂話に気づくか楽しみにしていたのだが。
「結構早かったな・・・」
呟くようにそう言ったカカシの言葉を聞きつけたイルカが、「え?」と首を傾げる。
そんなイルカに笑みを向けて誤魔化すと、カカシはイルカを手に入れる為の最後の仕上げに入った。
「ねぇ、イルカ先生。イルカ先生はオレとそんな噂になってたら困る・・・?」
言いながらイルカをじわりじわりと壁際に追い詰めていくカカシを、イルカが困ったように見つめてくる。
「それは・・・。カカシ先生の方が困るでしょう?・・・カカシ先生は凄く女性にモテるから・・・」
トンと背中を壁に預けてそう言ったイルカが少し悲しそうだと思ったのは、カカシの思い違いではないだろう。
伏せた瞳に少しだけ涙が滲んでいる。
そんなイルカを逃がさないように脇の壁に手をつくと、カカシは涙の浮かぶイルカの瞳をそっと覗き込みながら少しだけ 切なそうな表情を浮かべた。
「あの噂・・・、きっとオレの気持ちが表に出ちゃってたんですね・・・。あなたにこんなにも惹かれているオレの気持ちが・・・」
イルカをじっと見つめ、頬に手を添えてそう言ったカカシのその言葉を聞いたイルカが、目を見開いたと思ったら、その綺麗な瞳に うるうると涙を浮かべ始めた。
「それ・・・、本当ですか・・・?」
震える声で小さくそう訊ねてくるイルカに眉根を寄せると。
「オレの言葉が信じられない・・・?」
カカシは少し首を傾げてそう訊ね、イルカが何かを言おうとする前に自らの口布を素早く下げ、その唇をそっと塞いだ。
「・・・これでも。まだ信じられない・・・?」
口布を戻しながらそう訊ねたカカシを、口元を両手で押さえたイルカが驚いた表情で見つめてくる。
「噂が困るなら、ホントにすればいい。・・・オレと付き合って、イルカ先生」
少し笑みを浮かべてそう言ったカカシの言葉に、イルカはポロポロと涙を零しながら大きく頷いてくれた。


イルカとようやく正式にお付き合いする事になったその日。
それまでずっと、イルカと恋人同士のように側にいたのにお預けされていたカカシは、募りに募った劣情に耐えられず、 任務が入っていないのを幸いに、初日にイルカを頂くことにした。
イルカの仕事が終わる頃、受付所にいつものように迎えに行き、カカシを見つけて嬉しそうな笑みを浮かべたイルカに近付きながら、 カカシも笑みを向けると。
「今日、イルカ先生のおうちに遊びに行ってもいいかな。今日はイルカ先生ともっと一緒にいたい」
カカシは優しいイルカが断れないように、少し淋しそうな表情を浮かべてそう言った。
そんなちょっと狡いカカシに、イルカが嬉しそうな顔をして「はい」と頷いてくれる。
「じゃあ、帰ろ?」
そう言って手を差し出すと、イルカは恥ずかしがりながらもしっかりとその手を握ってくれた。


『いい人』で通ってきたイルカが誰かとお付き合いするのは、恐らく、カカシが初めてなのだろう。
イルカの家で夕飯をご馳走になり、酒もちょっと入ったところで。
酒に少し酔ったイルカが見せる艶やかな仕草に耐え切れなくなったカカシは、畳に置かれていたイルカの手をそっと握った。
途端にかぁと真っ赤になるイルカに笑みが浮かぶ。
「イルカ先生・・・」
名前を呼んで、可愛らしい表情を浮かべるイルカの唇にそっと口付ける。
軽いキスは既にカカシと経験済みだから、イルカは真っ赤になりながらもそれほど驚く事無く受け入れてくれた。
ただし。
初心者らしく、その潤んだ瞳を開けたまま、だ。
「・・・キスする時は目を閉じてて?そんなに見られてると恥ずかしいよ」
初心な反応を見せるイルカに、カカシが笑みを深めながらそう言うと。
「あ・・・っ。・・・すみません・・・。俺、こういう事に全然慣れてなくて・・・」
と、真っ赤になって恥ずかしそうに俯いたイルカがそう言ってきた。
そんなイルカに苦笑して見せながら、
「そんなイルカ先生が好きですよ。知らないなら、オレが教えてあげますから。覚えて?」
そう言うカカシは内心、小躍りしたい気分だった。
誰の色にも染まっていないイルカを、自分好みに染める事が出来るのが嬉しくて。
少し笑みを浮かべて頷いたイルカに、つい、にやつきそうになる頬をしっかりと引き締めると。
「じゃあ、もう一度。目を閉じて、少しだけココ開いてて?」
カカシは、イルカの酒で火照った唇をトントンと指先で突いてそう告げた。
「はい」と素直に頷いたイルカがそっと瞳を閉じたのを確認してから、盛大に頬を緩める。
(これは堪らないな・・・)
カカシの言うとおりに目を閉じて少し唇を開いたイルカが、カカシのキスを待っているのだ。
愛しいイルカが見せるその無防備な姿に、カカシはその姿を鑑賞するのもそこそこに、堪らずその柔らかい唇に口付けた。
「んん・・・っ」
唇の隙間から舌をスルリと滑り込ませると、それに驚いたのか、逃げようとするイルカの身体をしっかりその腕で拘束する。
「ん・・・っ、ぁふ・・・。んん・・・っ!んんんッ!」
イルカとのキスが心地よくて夢中になって貪っていたら、それまでうっとりとカカシの口付けを受け入れてくれていたイルカが 突然暴れだした。
さらにはドンドンと背中を叩かれて、しぶしぶ解放すると。
「っはぁッ!」
口付けを解いた途端、イルカが大きく息を吸った。
そのまま何度も深呼吸を繰り返すのを見て、カカシはつい、ぷっと吹き出してしまった。
(あぁそっか)
キスの最中は鼻で息をするという事をイルカに教えるのを、すっかり忘れていた。
「ゴメンね、イルカ先生。鼻で息してって言うの忘れてた」
少し笑みを滲ませて、苦しそうなイルカの背中を擦りながらそう言うと、すっかり涙目になったイルカが上目遣いで見上げてきた。
「・・・っ!」
イルカのその姿に、募りに募った劣情を思いっきり刺激されたカカシは、咄嗟にイルカの腕を取り、その身体を畳の上に 押し倒していた。



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相互リンクさせて頂いているyuki様からのステキ作品でございます!!!
いけーカカシ!!!がっつり頂くのだ!!!←興奮しすぎ。
はぁはぁ…yuki様のサイトにも、ステキ作品がありまくりますので、是非是非リンク部屋へ!
それと…こちらの作品のお持ち帰りは厳禁!ですので、宜しくお願いいたします!


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