恋する人魚は夢を見る



LINKさせて頂いております貴琉様のサイトのBlog5万打記念のフリーssを引っ攫ってまいりました!!! 貴琉さまのサイトの「恋する人魚」の番外編だそうです! しかも…こちらのお話は、今後アップされる別のお話とシンクロする予定だそうで…!今から楽しみです! ではではステキなお話をどうぞ!!!


昔、人間の王子様に恋した人魚姫がおりました。
人魚姫は魔女と取引をし、自分の声を引き換えに人間の足を手に入れて王子のところへやってきました。
人魚姫は、王子のそばに置いてもらえて幸せでした。
けれども人魚姫は、王子様に愛してもらわないと海の泡となって消えていく運命だったのです。
王子様は別のお姫様と結婚を決めてしまいました。
そして、人魚姫は儚くも海の泡となり消えてしまいました。

―――恋する人魚は夢を見る―――

「今日の月はきれいだな」
イルカはいつものお気に入りの岩から、夜空に輝く月を眺めていた。
人魚のイルカは、月夜のきれいな晩には、このように大海原にぽかりと浮かぶ岩まで上がってきては、 一人月光を浴びながら、遠く離れた木の葉の里を想った。
「あの人はどうしているのだろう」
一度だけ。
イルカは、人間に触れたことがある。
あれはちょうど嵐がやってきた夜のことだった。木の葉の忍を乗せた船がここを通りかかった時に、 船から落ちた忍を助けたことがあったのだ。その男は、まるで月光を彷彿させる銀髪の持ち主だった。 意識のない男をこの岩に引き上げて息があることを確認すると、その場に男を置いたまま人魚の世界に戻ったのだが、 それ以来、その男のことを忘れることが出来なくなってしまった。
「あの時は、まさかこの想いが恋だなんて思いもしなかったのに」
無理もない。
相手は、人間。
しかも男。
人魚の世界では、同性との恋は認められていない。それが本能というものであり、自然の理とでもいうべきだろう。 特に人魚は、繁殖能力の低さにもよるのだが、数が昔に比べて少なくなっている。だからこそ、子孫を守るために、 人魚達は短い繁殖期を逃すまいと必死で異性を求めるのだった。
だが、イルカは人間の男に恋をしてしまったのだ。
(やっぱり、俺はあの人のところに行きたい)
報われなくてもいい。
あの人のところに行けるなら。
たとえ、愛を得ることが出来ず、その結果として泡となって消えようとも後悔はしない。
自分の気持ちを信じて、貫きたい。
それが、自分が初めて知った愛の形だから。
そして、母にもその決意を告げた。その時に母から聞かされた昔話を、ついさっきまで聞いていたイルカは、 そのまま海上に浮上して、母が思い出の岩だという、イルカにとっても同様にお気に入りの岩で、真っ白い月を 眺めていたのだった。
母が実は「人魚姫」だったという事実に、イルカは驚きを隠せなかった。母は、当然イルカと人間との恋も許さなかった。 だが、だからこそ、イルカの気持ちを痛いほど理解しているのは、イルカの母に違いない。
(母さんなら、きっと分かってくれる)
イルカの周りには穏やかな風がそよそよと吹いている。心地よい海風と、頭上の光がイルカの心を癒し穏やかにさせる。 月を愛でながら、木の葉の忍の面影を想いつつ、今日こそあの人が夢に出てくれますようにと心の中で強く念じながら、 岩の上でゆっくり目を閉じた。



ほかほかと感じたことのない温かさにどうやら覆われていることに気が付いて、イルカはゆっくり目を開けた。
「ん?」
確か、自分は岩の上にいたはず。
それなのに。
見慣れない光景が、目に飛び込んできた。
気がつけば。
イルカはどこかの部屋にいた。しかも見たこともない部屋。そして温かい布団がかけられている。
「これは?」
人魚の世界に布団というものは存在しない。ならば、ここはどこなのだ?
恐る恐る起き上がり、部屋の鏡を覗いて仰天した。
そこに写った姿は。
自分であって、自分ではない。
同じ黒髪で顔はそっくりだが、鼻の上に派手な傷が横一文字に入っていた。自分にはそんな傷はない。そしてよく見れば、 実際の自分よりも少しばかり大人びた顔をしている。
(な、な、俺、いつの間に!)
動揺しながら、ふらふらと後ずさると、どんと壁に突き当たった。ガシャンという音にびくりと振り返れば、 どうやら窓にぶつかっていたようだ。外からの光がイルカの瞳に飛び込んできた。それは、先程まで眺めていた月と 全く一緒の月の形だった。窓から見える風景にも、初めて目にする建物ばかり。
(もしかして、これが、人間の世界?)
どうやら、自分は夢を見ているようだ。見たこともない人間の世界に憧れ、あの忍に逢うことを夢見ていたばかりに。 だが、見るもの、触れるものすべてがリアルではっきりとしている。
「不思議だ…」
では、ここは誰の部屋なのだろう?イルカは、再び月を見上げた。
「ねえ、教えて下さい。これは夢ですよね?」
答えるはずのない月は、海の上から見た光と遜色ない輝きを放ち、その美しさにため息を漏らさずにはいられない。
「今日の月は、本当にきれいだなー」
その時。
「イルカ先生?」
(イルカ?)
自分の名を呼ぶ声に、ゆっくり振り返った。よく見えなくてパチパチと瞬きをしたが、その視線の先には信じられない 人間が立っていた。イルカがまさに夢にまで見た木の葉の忍の男が、イルカのことを見つめている。
「目が覚めたの…?」
(俺に話しかけてくれている!あの人が!)
まるで愛しい恋人を見るような視線を一身に受けて、イルカは胸が一杯になった。
ああ、夢でもいい。この人が自分の名前を呼んで、こんな風に熱い視線を向けてくれることを、どれほど願ったことか。
「こっちに来て」
男が、呼んでいる。
イルカは一歩一歩、男に向っていった。
ずっと、逢いたかった。夢にまで見た銀髪の忍の男。
恋して、焦がれて、報われない想いに苦しんでいた。
それなのに。
こんな、息が止まりそうなくらいの夢を見ることが出来るなんて。
イルカは引き寄せられるように、男に駆け寄った。
「あなたに、逢いたかった!」
思いの丈を声に出して、愛しい男の胸に飛び込んだ。
(夢でもいい。神様ありがとう)
男の腕がイルカの背中にぎゅっと回されて、髪の毛に顔を埋めながら、くぐもった声で「俺も…」という声を確かに聞いた。
あまりの幸せに、声を上げて泣きたくなった。



「え?イルカ先生じゃないの?」
「俺は、先生ではないです。ただの人魚のイルカです」
「人魚の…イルカ…?」
冷静に男と話をしてみると、さすがは夢なだけに、いろいろとちぐはぐしていることが分かった。
イルカは初めて男の名を知った。「はたけカカシ」と名乗った男は、やはり木の葉の忍だと言う。そして、 カカシはイルカという先生と恋人同士だという。その「イルカ先生」はどうやら怪我をして寝込んでいたらしい。 やっと目が覚めた「イルカ先生」に今回の異変が生じたらしい。それは、イルカがカカシの恋人の「イルカ先生」の 中に入り込んでしまったということ。外見は「イルカ先生」なのに、中身は人魚のイルカなのだ。
「とにかく、後遺症かもしれないから、このまま俺の家にいてね。えっと…イルカ?」
ぱあっとイルカの顔が輝いた。初めて自分の名前を呼んでくれた。恋人のイルカ先生ではない、人魚のイルカとして。
「はい!」
屈託のない笑みで返事をすれば、なぜかカカシは複雑な顔をした。



その後、イルカはカカシに連れられて任務に同行することになった。
道中、カカシに自分の生い立ちや銀髪の男に恋したことを打ち明けると、カカシは困惑しながらも、真剣に耳を傾けてくれた。
「そっか、イルカは俺に似た男に恋をしたんだね」
「似ているどころか、あなたそのものだったんです。顔も木の葉の忍であることも。でもこれが夢だとは分かっているんです」 きっと、実際はこんな風にうまくいくはずがないに決まっている。もしかしたら、現実のあの人には、恋人だっているのかも しれない。それだけでなく、イルカのことなど、けんもほろろに追い返すかもしれない。意気消沈するイルカに 「イルカ先生」の恋人のカカシは、ことさら優しくイルカに語り掛けた。
「イルカがどこから来たのかは、正直俺にも分からない。でもね、イルカが助けた男が俺に似ていると言うのなら、 多分それは「俺」なんじゃないかな?だって、「イルカ」が好きになる男だったら、「カカシ」に違いないよ。そして、 その男もきっとイルカのことを好きになる。俺はそう信じているよ。俺達二人以外に、伴侶は考えられないから」
「カカシさん…」
「俺なら、イルカが人魚でも恋をする」
「!!」
カカシの真っ直ぐで真剣な熱の篭った視線は、イルカには眩しすぎた。こんな風に想われてるカカシの恋人の 「イルカ先生」が心底羨ましいと思うが、こんな風にいつも見つめられていたら、きっと自分は正気ではいられなく なるだろう。夢とも現実とも付かない中に、ずっと漂い続けてしまうだろう。
そんな想いでカカシを見つめていると、
(あれ、俺…なんか変だ…)
体の奥から湧き上がるこの感覚は、今まで感じたことのない未知のもの。経験をしたことのないくらい熱いものが、 体中を包み込んでいった。
「あっ……あっ……ああっ!」
「…イルカ?イルカっ!」
カカシが悲痛な声でイルカを揺さぶるが、その声も今の状態ではほとんど耳に入ってこない。
イルカは潤む瞳で、カカシに手を差し伸べた。
(ああ、そうか…俺は…)
イルカは、この期に及んで発情してしまった。



その後のことは、イルカはあまり覚えていない。夢の中のことなのだから、当たり前なのかもしれないが、気付けば いつもの岩の上に横たわっていた。
「あれ?カカシさん…?」
周りを見ても広い海原が広がるばかり。イルカは現実の世界にいるはずもない男の名を呟いた。
しかも泣いていたようで、目尻に涙が溜まっていた。その涙がつつっと流れると、涙は小さな白い珠となって、 ころころと転がっていった。
やはり、あのことは夢だったのだ。イルカはふっと微笑んだ。だけど、意識は朦朧としているものの、夢の中とはいえ、 カカシと愛を交わしたことは覚えている。カカシの触れた手や、口付け、カカシが辿った愛の軌跡と、身体に入ってきた 時の痛みと苦しみをも優るくらいの、愉悦と充足感。これはあの夢の中のカカシが、イルカにくれたもの。
そして、最後に「愛している」という言葉をはっきりと聞いた。
「それだけで、俺は生きていける」
これから人魚の世界を出て、カカシ似の木の葉の忍に逢いに行く。カカシが大丈夫だと、イルカを後押ししてくれたのだ。 そう信じてくれているのなら、自分もその言葉に賭けてみよう。その言葉を勇気に変えて、自分の選んだ道を進んで いくことにしようと。
イルカは、岩の上でそう誓った。



それは。
真っ白な月がイルカを見守る、明るい夜のことだった。



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相互リンクさせて頂いた貴琉様のブログの強奪品でございます!
人魚なイルカさんが…切ない思いが…!胸がきゅんきゅんしちゃいますなぁ…!!!
…もう、自分たかりキングダムでいい気がしてきました…!←黒。
貴琉様のサイトにも、ステキ作品がありまくりますので、是非是非リンク部屋へ!
それと…こちらの作品のお持ち帰りは厳禁!ですので、宜しくお願いいたします!
ああでも…貴琉さまのブログでフリー配布されておりますので皆様今すぐレッツゴー!!!

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