プラネタリウムの魔法


入道雲が見えました。
蒼い空に、大きな入道雲。
綿菓子のような雲を見上げながら、自動人形カカシは水族館への道のりを歩いていました。
いつもだったら、走っていくのに、今日は、ゆっくり歩いていました。
本当は走りたかったのですが、暑い日は身体のオイルが流れ出てしまうから、ゆっくり歩くのです。
走ってしまうと、服にオイルがはねてしまうからです。

カカシの通うアカデミーでは夏になると、星座の時間があるのです。
毎日、星座の伝説を一つずつ教えてもらうのです。
星座を観察する夏休みの宿題があるからです。
夏休みになる前に、星座表が配られます。
子供達は、夏休みの間に星座を観察するのです。
木の葉の国の日記帳には、お天気を書く欄の下に、その日に見た星座を書く欄があるのです。
夜、眠りにつく前につける日記にその日に見た星座を記すのです。
白鳥座、こと座、わし座の夏の大三角形を見つけたら、南の空のさそり座。
カカシは東の空に輝く、ペガサス座が大好きでした。
空を翔るペガサス、カカシは、いつも思っていました。
もし、イルカを海に連れて行けなかったら、空を案内しようと。
叶わない夢だとしても、強く願う気持ちがあれば、叶わない夢はないと信じていました。

ある日、カカシはセルロイドでできた指先から出る小さな静電気の光りを小さな丸い光りに変えられるようになりました。
この丸い光りを宙に放つことができたら・・・。
夕闇に沈む水族館の壁に小さなプラネタリウムができるかもしれない。

カカシは毎日アカデミーで習う星座の話をイルカに話します。
夜空に輝く星を繋いでできる星座、それを説明するのは難しいことでした。
でも、その星座の形を水族館の壁に記すことができたら、、きっと、イルカは星空を見上げるとき、星を繋いで星座に気がつくでしょう。

カカシはイルカのいる水槽で日が沈むまで、日が沈んでも、時間の許す限り過ごしました。
イルカに静電気で作るプラネタリウムを見せるために・・・。

「イルカ、暗くなってきたね・・・」
「カカシ、帰らなくてもいいの?おじいさんが心配しているでしょう?大丈夫?」
「大丈夫、暗くなったら、外に街灯が灯るから。おじいさんのおうちまでは、明るい街灯が灯るから大丈夫だよ」
「俺はカカシと一緒にいられるから嬉しいけど・・・」
「うん、今日はね、空を翔るペガサスのお話だったよ。ほら、イルカ、向こうの壁を見ていてくれる」
「壁?暗くて、真っ黒に見えるけど・・・?」
「いいかい、よく、見ててね」
カカシは両手を合わせて、小さな静電気を作り出します。
幾つも、幾つもの、小さな静電気は、丸い光りになって、宙へ浮かび上がるのです。
カカシは一つ一つの静電気の光りを指先で導くと、暗くなった壁に、ペガサス座の形にしていきました。
「ほら、イルカ、四角い形に四本の足があるように見える?あれが、ペガサス座って言うんだよ。空を翔る羽の生えた馬なんだよ」
イルカは馬と言う動物は知りませんでしたでしたが、カカシの話に耳を傾け、ペガサスと言う羽の生えた馬を想像してみました。
「きっと、綺麗な動物なんだろうね、羽が生えた馬って・・・。もし、カカシと一緒にペガサスに乗れたら、空の散歩へ行けるのかな?」
「そうだね、空へ行ったら、僕がイルカにたくさんの星座を案内するよ。約束だよ」
カカシは、そっと、水槽に頬を寄せました。
ガラス越しに、イルカも、そっと頬を寄せました。

その日の夜、二人は夢の中で、ペガサスに乗って、夏の夜空を旅していました。
それは、短い、夏の夜の夢。

おしまい

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kai様のコメント→こちらのお話は隊長へ捧げます。
こんなんでよかったのかな?
夏らしいssのつもりですが・・・。夏っぽい?
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相互リンクさせて頂いたkai様宅にて、77777HITを踏み抜いたお祝いに頂いてきた作品でございます!!!
でかした自分…!!!←自画自賛。
なんかこう…キラキラしてるぜ…!夏の煌き…!!!
…それなのにこんな変態サイトにおいておかせて頂きますが、後悔してたらご一報くださいってばよ…!!!
kai様のサイトには、ステキ作品がありまくりますので、是非是非リンク部屋からGO!
でもって、こちらの作品のお持ち帰りは厳禁!ですので、宜しくお願いいたします!あ、でも萌えはお気軽に叫んでいってください!

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