とある遊園地狂のちょっとした不幸について(いじめっ子)

「えーっと?ここ、なのか?ホントに。それらしき人は…」
「…」
「どうしたんだ?…まさかもう敵に…!?」
「なにあれ、ありえないんだけど」
「え?」
「あ!せんぱーい!」
「うわ!?え!?…この人なのか…!?」
「ウザイキモイ。なにその格好!?」
「え?ああ、だって顔隠さなきゃいけませんから!」
「ウソつくんじゃないよ!絶対趣味でしょ!変な耳に変なマスクに人形に土産物袋もでかいし…!?その猫だのウサギだのの風船は何なのよ…」
「え?買ったんですよ?定番ですよね!」
「ウソでしょ…?」
「でもこれ持ってると乗り物に乗れないんですよ。かわいいんだけどなぁ!ロッカーでちょっと留守番しててもらおうと思います!」
「るすばん…!?」
「え、えーっとだな。ここのイメージキャラクターたちだから!マスクも!ほらこの紙袋に書いてあるのにそっくりに見えるだろ?口が書いてあるから!だから、その、きっと、溶け込もうと…!」
「そうなんですよ!これ!いいでしょう!先輩みたいに顔布使うわけにもいかないですし!かわいいし!これで僕も完璧な…」
「ちょっと!?よく見たらTシャツまで…!?お前、頭おかしいんじゃないの?」
「あ、先輩たちにもおそろいで買いましたから!色違いですよ!」
「そんなのいるわけないでしょ!」
「ま、まあまあ!お土産としては楽しい…はずだから!」
「まだまだお土産ありますよ!先輩!…えーっと、ほら!このお菓子も!ちゃんと細かい所まで良く出来てるんですよね!」
「なんでこんなめんどくさい任務率先して引き受けたんだと思ったら…!だからあんなに熱心に準備してたってこと!?」
「え!あ、あはは!気のせいですって!ここに来たらみんなこんな感じですよ!」
「えーっと。全力で遊園地を楽しんでるように見えるから、その…多分潜入としては正しいっていうか…!」
「これ背中もかわいいんですよ!ほら!見て下さい!」
「もういい。…近寄んないで。仲間と思われたくないから」
「ははは!ここにいたらみんな仲間です!ここは夢の国ですから…!」
「本当にお好きなんですね…」
「あ。お噂はかねがね!僕は先輩の部下で…」
「いいから、さっさと教えなさいよ」
「あ、その話なんですけど、もう終わらせました」
「はぁ?」
「だって、遊んでるときに邪魔されるの不愉快じゃないですか」
「まあ、そうですよね!折角その、そこまで楽しんで…」
「ちょっと、どういうこと?」
「先輩の恋人さんが巻き込まれないようにさっさと片付けるっておっしゃらってたので、一応探りいれてみたんですよ。…で、まあ、もう別口の仲間が有休取って混じり込んでまして」
「はぁ?」
「何かあったんですか…!?」
「あ、いつの間にか混ざっていたのって夢の国仲間なんですけどね?俺たちの世界を汚すクズ野郎は排除するとか言い出したので手伝って貰ったんです。まあここでの商売自体あんまり上手くいってなかったみたいですけどね?」
「…とりあえず係わり合いになりたくない…」
「子どもたちの夢を守ってくれたんですよ。きっと。…ありがとうございます」
「あ、いえ!当然の事をしただけで…!このお土産、お勧めなんです!先輩とご一緒に召し上がってください!それから効率のイイ回り方とお楽しみスポット…」
「テンゾウ。来い!」
「わー!?先輩!名前!ちょっと待ってくださいよ!これからここを全力で楽しんでいただくために色々…」
「黙れ」
「く…っ!先輩…!落ち着いてください…!」
「おいっ!?こんなところでなにやってんだ!?」
「イルカに触れるなと言っておいたはずだけど。…そんなに消されたい?」
「い、いえいえいえ!えーっと!ガイドブックです!あ、それから先輩が恋人さんと楽しく過すのに使えそうなポイントもマーカーで…」
「受け取ったからもういいでしょ?…失せろ」
「えーっと!?その!」
「落ち着け!この人は親切で…!」
「だからなに?俺のモノに勝手に触るなんて許せるわけないでしょ?」
「…先輩、本当に恋人さんのことを…!邪魔者は、消えますね!夢の国、たっぷり楽しんでください!」
「え?あ!」
「ダメ。…アレは勝手に遊びまわりたいだけでしょ?アンタは俺と一緒にいればいい」
「でも任務終了だろ!?実質!帰らないと…」
「そんなのどうでもいい」
「なっ!?…あ、でも…任務なら、ゆっくりしてても許されるんだよな…?」
「何?ゆっくりって。ま、アレみたいなことするつもりはないけど」
「遊園地、ちょっと回ったら宿で寝ろ。急いでも今日中には帰れないし、最近任務続きだから、少しくらいなら…」
「ふぅん?どういう風の吹き回し?…ま、いいけど」
「ほ、ほら行くぞ!それ折角だし使わせてもらえばいいだろ?」
「そうね。…アイツにしちゃやるじゃない。使ってやってもいいけど」
「後輩さんにもし会えたら謝っとかないとな…。まず何か乗り物でものるか?」
「…そうね。じゃ、アレ乗るよ」
「おう!なんだかんだって楽しそうだからいいってことにするか…」
「このいいムードになる特集って馬鹿っぽいタイトルは置いといて…一応礼でもしてやるか。…イルカに勝手に触った分のほうもね…?」


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いじめっ子。
という訳でアホの子木遁忍者は一応逃走しました。後が恐ろしいという話ー!
ニーズあって嬉しいな…!

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