楽しいな!今年も鬼は 兄ちゃんだ!(子イルカ)

「鬼はー外!」
「ちょっと待て!?毎年本気すぎるだろ!?」
「え?なにが?」
不思議そうな顔するのが腹立つっていうかなんていうか…。
指弾でめり込んだ豆を見ても本気でわかってないからな。欠片も。
「まあイルカだしな」
何を言っても無駄だ。
…そう諦めてしまうくらいには、散々な目にあわされている。後は時が解決するのを待つべきな気もするんだが、流石にそうもいかなくて一応日々の道徳教育には励んでいるんだが…。
「水垢離も済んだし、やっぱり全力で鬼退治しないと!今年はカカシが鬼がいいよな?」
一方的に宣言してキラキラした目で豆を握り締めるイルカを見ていると、もう何やっても無駄な気がしてならない。
忍の腕はそんなに悪くないんだけどな…。中身が。
なんていうかこいつの遺伝子がアレなんじゃないかという確信が俺にはある。
主に父親の方にはとんでもなく問題があるというのはもはや確定情報だ。
その上この飼育…もとい生育環境じゃなぁ…。変態老人に中途半端に手は出すが使えない保護者もどきのクマ。近隣住民の皆さんが大らか過ぎて暴走を止めてくれないのもさらに危険度を上げている。
しかもふらふら出歩いては知らない人間と友達になってきたと称して俺の心臓にダメージを与えてくれるからな…。
知り合いの尋問拷問部のエースの趣味がお菓子作りとレース編だったなんて知りたくもなかった。新作マカロンのレシピのついでに拷問の基本だの何だのまでうちのイルカに教え込んでるなんてこともな。
それに知り合いの中忍でいつも口に千本咥えてるヤツまでいつの間にか…。ソイツの趣味が釣りだったのはいいんだが、それが切っ掛けで知り合ったうちのイルカに毒千本の作り方だのなんだのまで仕込んでくれてたりな…。
油断などしていないつもりだが、恐ろしいほどの人脈を元に、訳のわからん技術を日々高めている。
そして…このイベント好き。そしてクマ弄り好き。
忍の里というものを恨んでも仕方がないんだが、どうして石を投げたら当たるくらい変なやつが多いんだと叫びだしたくもなる。
こんなチビに訳のわからん技術を身につけさせるなよ!
「俺はやらん。今から準備する鬼を倒せ」
クマの気配を探ると案の定、庭の隅で膝を抱えているのがすぐ見つかった。
今年は真っ青に染まってるが去年と寸分たがわぬ情けない姿でうずくまって、ぶつぶつと何で俺がこんな目にとか言ってやがる。しゃっきりしろこの駄熊が。お前がもっとしっかりしていれば俺の苦労はもっと少なくて済んだのに…!
「あ、アスマ兄ちゃん!今年は青鬼なんだな!かっこいいぞ!」
「これもしかしなくても爺さんの差し金…いや、まあいいけどな…」
いくらクマが女装だのなんだのになれてても、進んで自分からやろうとはしないだろうしな。
…アレだけしょっちゅう捕獲されてデコレーションされてるとこ見ると、深層心理で望んでるんじゃないかと思うこともあるが。
「元気ないぞー?ほら!ちゃんと豆まきしようぜ!」
「そうだぞクマ。俺はこんな茶番をさっさと終わらせたい」
供に行事を教えるのは良いことだろう。普通の行事なら。
コイツの経験してきた物はどれ一つとしてまともじゃないからな…主に父親のせいで。いや母親も大概か。つるすな人間を。
お陰でコイツはそれを愛情表現か何かと勘違いしてるんだぞ!
「くそ!俺だってやりたくてやってるわけじゃねぇ!」
「おーっし!やっとアスマ兄ちゃんもやる気になったか!まっけないぞー!」
「食らえクマ!そしてくたばれ!」
「おい!?てめぇら二人がかりか!?いい加減にしろよ!?」
…俺とイルカ、理由は違うが結託した俺たちは強かった。そしてクマは弱かった。哀れなほどに。
「う、ぅぅ…」
一瞬で地を這う羽目になったクマに欠片だけ同情するが、お前もほいほいあの爺さんにのせられてんじゃねぇ。反抗期こじらせて里の外でてたんじゃなかったのか!
もっと強くならないと永遠にイルカのカモにされる…。そしてその未来は俺にもまっているかもしれないのだ。
絶対にまともな忍に仕上げてみせる!今は…なんかこうトンでも兵器になりつつあるけど!
「鬼退治!完遂!だぜ!」
「そうだな。よかったな。さあ今から五大陸の歴史について勉強だ!」
集中力はないが物覚えはいい。それはもうものすごくいい。お陰で余計なことばっかり覚えて帰ってくるからな!こいつは!
「チッチッチッ!鬼退治終わったんだからえほうまき!だぜ!あとからあげもあるからアスマ兄ちゃんにも与えないと!」
あ、開放されないんだなー…哀れなヤツ。まあもう白めむいてるし、窒息しそうになったら助けてやれば良いか。
「しょうがないな。まあとりあえずクマは変化を何とかしてから…」
「安心しろって!ちゃーんと!お前の分もたっぷり用意してあるから!」
「もがっ!?だから食い物を仕込むな!」
ジューシーなから揚げをほおばりつつ、今年も暴走するばかりのイルカに頭を抱えたのだった。
「糖分確保ツアーもがんばらないとな!ドレスは情熱の赤…!」
そんな捨て台詞に恐怖を感じながら。

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子イルカちゃんは今年も元気です(`ФωФ') カッ!
ではではー!ご意見、ご感想などお気軽にどうぞー!


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