それは、うだるような(適当)

うだるような暑さにあぶられながら、その扉を開くなり部屋に引きずり込まれた。
「好きとかいうなら、怪我とかするな!」
そういって怒鳴ってくれた人がせっせと手当てをしてくれているのに、その器用に包帯を巻いていく手に欲情した。
日に焼けた手はいかにも温かそうなのに、今はひんやりと冷たい。
…きっと、緊張のせいで。
驚かせてしまったし、心配なんてもちろんさせただろうし、それにきっと…今だって不安なはずだ。
俺に組み敷かれても男前なこの人は、ソレを顔に出すなんて事はしないだろうけど。
「ん。ごめんなさい」
口先だけでそう謝りながら、これからのことへの期待ばかりが俺の脳を一杯にしていた。
巻き終わりまでが酷く長い。
こんな白い布切れで放っておいても死にもしない傷を覆うより、交じり合う方がずっと気持ちいいし、痛みも忘れられるなんてことまで考えてしまう。
これも全部この人のせいだ。
「謝るくらいなら最初からするな。…大体悪いなんて思ってないだろう?」
見透かされていたらしい。
低い声は子どもたちにする説教の時よりずっと冷たい。
だがそのつれない言葉に傷つくよりも征服欲がむくむくと頭をもたげた。
丁度いいコトに、この人は巻き終わった包帯を止めようとしている。
うずくまって腹の辺りに顔を寄せる姿は、別の行為を思い出させて頭と…それから別の部分にも集中しだした血液を止める気にもならなかった。
捕らえるなら、今。
「ねぇ。したい」
強引に引き倒しても、やっぱり驚いてもくれなかった。
「はぁ…」
呆れたような顔で溜息なんてついて、振り払うでもなく俺を見返してくる。
「アンタその怪我で良く発情できるな?」
その言葉で俺を諌めるくせに、その瞳に宿しているのは…かすかでも確かな欲望。
「欲しいのは、アンタも一緒でしょ?」
隠し通しているつもりのそれを引きずり出して高みまで追い詰めて一緒に落ちてもらおう。
もっともっとその中に後生大事に仕舞いこんだものを見たい。
全部、そうきっと全部欲しい。
期待してるくせに、絶対に言おうとしないのは、見透かされているからだろうか?
…羞恥心とプライドが意外と強い人だから。
懐はこっちの腹が立つくらい広いくせに、俺にはこうやって子どもっぽい所も見せてくれる。
ま、だからって一筋縄じゃいかないのがこの人なんだけど。
「さぁな?」
もうしっかり煽られてるくせに、その手のコントロールに長けた俺よりずっと涼しい顔で挑発的な笑みを浮かべている。
ぐっと腰の辺りにわだかまる熱の勢いが増した気がした。
伸ばされた手が俺の頬を一撫でして去っていく。
これが不器用で俺様なこの人なりの誘い方だ。
あっさりそれに乗ってしまう自分も馬鹿だと思うが、我慢するよりも早くこの体に己の猛る楔を埋めたいという欲のほうが強かった。
「も、いいや」
「ん…ッ」
湧き上がる熱をかみ殺すように堪えた吐息が、却って卑猥だ。
頬は隠しようがないほど赤くそまり、手を滑らせた性器は張り詰めて疾うに後戻りできない所まで来ている。
こんなに感じてるくせに、それでもその瞳は揺らぎもしない。
「ねぇ。好き」
男に組み敷かれても折れないのは、この人の心が強いからっていうのもあるが、なにより…俺がこの人の手のひらの上で転がされてるっていうのが一番ってことか。
「なんでもいいから…無茶するな」
そっと抱き寄せるその声が震えているのは、欲情してるからってことにしておいた。
俺が側にいたら傷つけるだけかもしれないなんて…思っても仕方がない事は考えない。
どうあっても俺はこの人を手放すことなんてできやしないから。
「さぁ?…無茶苦茶にしちゃいたいから、明日歩けなかったらゴメンね?」
何かを堪えていびつに歪んだ唇に口づけて、さっさと湧き上がる欲望に身を任せた。
嗚咽交じりに悶えるこの人と、快楽の海に飛び込むために。


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適当ー!
何故って眠いからです。←だめじゃん。
ではではー!なにかしら突っ込みやらご感想などございましたら、御気軽にどうぞ!!!

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