湯治6(変態さん)

「…一応離れた、か?」
「ふん。見えておらんだけじゃ。その温泉とやらも近いようじゃな?」
「流石忍犬の鼻はすごいなぁ。もうちょっとしたら見えてくるはずだ」
「ついたらどうするつもりだったのか教えてくれ」
「いやそりゃ温泉だろ?近くに一応小屋はあるんだ。着替えも寝泊りもそこでできるし、駄犬が襲ってきたらそれなりの対応も…」
「ふむ。そうか。…ご主人はな。耳も鼻も利く。さすがにわしらと比べればどうかわからんが、おそらくお主が考えるより相当かすかなものでも反応するじゃろう」
「まあそうだな…なんか常にすばやいしな。ろくでもないことしかしないが」
「今もおそらくこっちの会話を聞いとるぞ」
「…そうだろうなー…アカデミーで子供たちと会話した内容とか全部知ってたりするもんな…」
「というわけで、わしから説明はできん」
「そうか…やっぱり機密だったりするのか?」
「いやそうではなくてじゃな。お主と会話をするということ事態がすでに、その」
「そうだよなぁ…。なんで自分の契約した忍獣にまであんなに反応するんだ?第一犬だぞ犬。犬相手になにしろってんだ!」
「ご主人もおまえの犬じゃろうが」
「そういやそうだった…」
「落ち込むな。…そうじゃな。わしも温泉に入りたい。小屋とやらに案内してくれ」
「そりゃかまわないけどな。…まさか駄犬に仕込みとか…!?」
「せんわ!そもそもそんなことをすればわしにも嫉妬するぞ?」
「そう、だな。まず率先して自ら先頭に立つもんな。戦場では立派な心がけだが、変態行為にまでそんなに血道を上げなくてもいいだろ!?」
「落ち着かんか!またご主人が出てきたらどうするんじゃ!」
「あ。すまん!」
「…あれか?」
「あ!そうそう!これだ!久しぶりだなぁ!雪はまあ適当に…ってなんでこんな不自然に雪が…!?」
「ご主人じゃろ?」
「…くそ!」
「そう警戒せんでも、トラップなんぞないぞ。正攻法でお主をどうこうするくらい朝飯前じゃ」
「無駄に上忍め!…まあいい。温泉だ温泉!落ち葉掬いも…たぶんおわってんだろうなー…姿みせるなと、一緒にはいらねぇって言ってあるけど無駄だろうし」
「ふむ。…戸締りはしたな?」
「あ、ああ」
「ではわしのマントをとってくれんか?」
「あ、そうだったな!…えーっと?これか?よいしょっと。よし!とれたぞ!」
「お主も入るんじゃろ?」
「え、ああそうだけど」
「ではすまんが急いでくれ」
「へ?まあいいけどな。どうせ勿体つけたって駄犬が興奮するだけだし…うー…っ流石に寒いな」
「今じゃ!走れ!」
「え!?あ、俺のパンツ!」
「パックン…それは俺のモノでしょ…?いくらパックンでも…!」
「てぇい!」
「あ!まってぇえええ!俺の大切な大切なイルカせんせのお尻を包み込んでたパンツが…!」
「ふむ。これでよしと。ちょっとした術をかけておいた。しばらくは撒けるじゃろう」
「すごいな!今度教えて欲しいくらいだ!」
「それはまたでよかろう。何のために危ない橋を渡ったとおもっとるんじゃ!」
「そ、そうだった!じゃ、じゃあ教えてくれるのか!」
「温泉にはいれるならの?手短にせんと戻ってきてしまえば…」
「わかった!急いでくれ!」
「耳の穴かっぽじってよくきいておけよ?」
「あ、ああ」
「アレの父親はの…」

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変態さん。
もうちょっと。
ではではー!ご意見、ご感想などお気軽にどうぞー!


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