理性と風邪と本能と(適当)

「襲いたい」
「えーっと」
「あのね、今すぐぐちゃぐちゃにしたいんだけど、だめ?」
「ダメも何も!?そもそもここ受付ですよ!?」
正気かアンタって言わなかっただけ許して欲しいもんだ。
なんかこう…むだにかわいいポーズとかとる意味も分からん。
机に頭くっつけてるいい年した上忍ってだけでもアレなのに、小首傾げてじーっと上目遣いで見られたって、言ってる中身が酷すぎる。
「受付だっていいじゃない!愛はいつでもノンストップ!」
「脳の病気ですか…!?」
ダメだ。この人。
この間まで一応は普通だった気がするのに、一体なにがあったんだ。
まさか本当に任務かなんかで頭どうかしちまったんじゃ…!?
だが今の所この人には怪我はないって聞いてる。
…なんで知ってるかって辺りは突っ込まないで欲しい。
この人が今はあの子たちの上司だってわかってても、心配なもんは心配なんだ!
多少の職権濫用は…よくないよなぁ…わかってるんだ。この人にだって今は自分の部下だとかなんとか…くっそう!思い出したら腹が立ってきた!
「あーその口卑猥ですね」
「黙れ」
受付の基本は心が落ち着くような穏やかな笑顔だ。
にっこり笑って…まあ多少の殺気は許容範囲ってことにしてもらおう。
受付の平和を守るためにも…いい加減このおかしな上忍締め上げてどっかに捨ててこなくちゃな?
立ち上がり、座りっぱなしで強張った体をほぐすために首を回した途端、男がいきなり飛びついてきた。
「イルカせんせ、こわーい!お詫びに抱きしめてください!」
うるうると瞳を潤ませてちらっとこっちを見る姿は…確実に常軌を逸していた。
「本当にどうかしちゃったんですか…!?」
怒りもこうなると持続しない。
里の誉れとはつまり里の貴重な財源でもある。
それがこの奇行っぷり。…どう考えてもマズイ。
任務中にこんなことされてみろ?
依頼が減るだけですめばいいが、この男を狙う連中は山ほどいて、そんな連中が里の中まで入り込んできたら…。
結果は火を見るよりも明らかだ。
「どうもしないですよー?」
「はいはい。わかりましたから。帰りましょうね?」
「わーい!イルカ先生のおうちですね!」
「…まあ、この際なんでもいいです。アンタちょっと黙れ」
「はぁい!」
とりあえず受け付けは交代がすぐ来るから何とかなる。
それよりこいつを撤去する方が先決だ。
あまりのことに口を半開きにして呆けていた同僚に後を頼み、俺は上忍をもって帰ることにしたんだが…。
「お風呂が先ですか?ヤりなら入りますか?」
「やるってなにをだ!?いいからアンタ寝てなさい!」
家に上がりこむなり明後日なことばかり口にする辺り、なにがあったのか知らないが異常事態だ。
とりあえず布団に放り込もうとしたまではよかったと思う。
「イルカせんせ暖かい」
「アンタなんですかこの高熱!?」
「へ?えー?別に平気ですよ?」
「そんなわけあるか!?」
どうりでなんか普段より赤いと思った。
はぁはぁしてるのも興奮してるせいじゃなくて、この熱のせいだろう。
「あれ、なんか眠い…?」
「寝なさい寝なさい寝てください!」
「イルカ先生がいないとねむれないー」
「ああ離せって!あ、うそだろ!おい!寝ちまいやがった!」
こんなに具合悪いくせに力だけは上忍だ。力いっぱいへばりついて、はがれてくれそうにない。
「…しょうがねぇか…」
寝て起きたらそこそこ治ってるだろう。上忍だし。
…正気に返ったら妙なことも忘れるだろうし。
暖房を入れる前に布団へひっぱりこまれたせいで、暖房もつけていない。
室温は大分低いがやたらあったかい熱源がいるからなんとかなるだろう。
「とっとと治してくださいよ…?」
抱き枕からの脱出は諦めて、とりあえず布団に潜り込んだ。
息は多少短いがそう苦しそうでもないし、酷そうなら明日にでも医療班を呼べばいいだろう。
朝起きて、自分のしでかしたことを覚えているかどうかも怪しいが。
睡眠を取る事を優先した俺は、その後本音が駄々漏れになっただけだったケダモノ相手にすさまじい攻防戦を繰り広げる羽目になったのだが。 とりあえず正気に戻った上忍のほうがタチが悪かったってことだけは付け加えておく。


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適当。
ねむい…。
ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ!

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