おあずけ(適当)

今日も今日とて勝手についてきた上忍暗部が、俺の髪とか服のすそとかにちょっかいをかけてきた。
かまっちゃだめだ。
そう思ってしばらくは放っておいたんだけど、どうもコイツは抵抗しないことに却って調子に乗ったようだ。
当然のように腰に手を回して密着してきたから、とりあえず頭突きをかましてみた。
「任務中だぞ!」
さっとよけるのに腹が立つ。どうせ勝てないのはわかってるけど!
「えー?いいじゃん。別に」
「よくねーよ!お前毎回いい加減にしろよ!?」
こうやってしれっとした顔で、コイツが何をしたか、俺は絶対に忘れない。
へらへらした態度をとったって、コイツの本性は変わらないからな。
「だって…イルカがかまってくれないんだもん」
しょぼんとした顔したからって、油断なんかしてやるわけがないのに、どうしてこう毎回毎回…!
…一回しょうがねぇなぁって許してやったら、いきなり茂みに連れ込まれそうになったからな。
なんでかしらないけど、スリーマンセルの仲間がいない任務とか、じいちゃんに時々頼まれるお使いとか、1人で任務にでてると、必ずこいつが湧いて出る。
俺が1人でいるのがどっからかばれてるんだろうな…。
じいちゃんには言ってないし、仲間にも先生にも言ってない。
言っても多分こいつには勝てないしな。
だってすごく強いんだ。
そもそも最初に会ったときも、確かいきなり襲ってきた敵を一瞬でなぎ払って、ついでに俺までさらって逃げたんだっけ。
おかげで先生に言い訳するのも苦労したんだよなぁ…。
いきなりだったし、敵なのか味方なのかもわかんないし、しかもお面とかつけてたら普通驚くだろ!
わめいて暴れてちょっと泣きが入っても、カカシは俺を放してくれなかった。
ふわふわしたところに投げ落とされるまでは。
「へ?あれ?え?」
「かわいー!じゃ、早速!」
「何が早速だよ!なにすんだ馬鹿!」
「なにって、…ナニでしょ?ホントにわかんないの?」
「ナニってなんだよ…!
「えー?だってかわいいんだもん!頂戴?」
「だから…何をだー!?」
…で、そのときは一応俺の頭突きがきまったんだよなー。
おかげで貞操的なものは一応守られた。そのときは何がそんなに欲しいのかわかんなくて夢中だっただけだけどな。
そこがコイツの隠れ家で、ついでに敵襲もコイツを狙ったモノだってわかったときは腹が立つより脱力した。
その上、誰かに盗られちゃうってやたらわめく馬鹿が、何を欲しがってるのか聞き出すのにも相当苦労したし、先生の下へ送ってもらうときにも、あの男がいいの!?浮気モノ!とかなんとかわめく馬鹿を叱り付けて、なだめてすかしてやっとのことで開放されたんだ。
流石の先生もちゃんと俺を探しててくれたから、合流は楽だったけど、どうしてこうなったんだって説明することはできなかった。
…俺のせいでみんなに迷惑をかけました。今後も変態に狙われ続けちゃいそうです。なんていえる訳ないし。
悪いやつじゃない…ような気はするけど、一人暮らしの憩いの我が家まで、最近コイツに侵略されつつあるからなー…。
まあ、その前にとにかく任務だ。
さっきから隣ではぁはぁ言ってるこいつをなんとかしないとな。
「カカシ」
「ん?なぁに?」
…目がぎらぎらしてる。正直言って怖い。っていうか引く。
怖気づいてなんてられないけどな。
「家に帰ったら、カカシスペシャルしてやるから、もう帰れ」
まあスペシャルなんていってるけど、これか母ちゃんが父ちゃんにやってたことで、お風呂で背中流してあげるだけなんだけど、スペシャルの場合は髪の毛も洗って、乾かして、ついでに仕上げのぎゅーまでセットだ。
「えー!?うっでもカカシスペシャル…!」
よし!いけそうだ!
あからさまにぐらついたカカシに、さらに追い討ちをかけてやる。
「…風呂上りにちょっとだけなら耳掃除もつけてやる」
なんだかしらないけど、膝枕が好きなんだよな。カカシ。
やたらすりよってきてくすぐったいから普段はやらないけど…そういえばコイツちょっと長めの任務にでてたから、ほんの少しだけならサービスしてやってもいい。
「くっ!」
…うーん?まだだめか。それなら。
「かえんないなら、ご飯抜き」
「も、もうもう!酷い!足元みるなんて!」
「いーから帰れ。すぐ終わる」
「絶対だからね!あとお帰りなさいちゅーは絶対するから!」
「…行っちゃった」
捨て台詞を残して走り去っていったカカシを驚かせるために、帰りは飴玉でも舐めておこう。甘いものきらいだもんな。
そのためにもさっさとこの任務を片付けて帰らないと。
ちょっとだけ足取りが軽くなったのは、カカシが甘さにめげずにキスしてくるのを知っているからだ。
きっと、とんでもなく辛そうな顔をするくせに、意地になってキスしてくるだろう。
想像だけでちょっとだけ楽しくなってきた。いっつも自分勝手で、いっつも自分ばっかり好きだと思ってるあいつには、きっとちょうどいい。
「ざまーみろ」
もうちょっと落ち着いたらいいのになー?そしたら、きっと俺だって。まだ覚悟なんて全然できてないけど!
大体そういうのはもっとでっかくなってからだよな…。
「さって、がんばるか!…やっぱりもうちょっとおあずけさせないとだしな!」
もやもやした思いを振り切るように、俺は全力で走り出したのだった。


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子カカイル祭り継続中。
いちゃいちゃ?
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