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「ここは…？」 気がついたとき、僕は平原に立っていた。霧が深くて辺りが見渡しにくいけど…ココはどこなんだろう？ 事態を把握するべく僕はあたりを見回した。…それにしても何だかいつもより視界が高い。しかも、何だか自分の身体がいつもと違う感じがする。 僕が慌てて自分の手を見たら、何だか手が大きい。クナイダコとかはそのままだけど…大人の手…！？ びっくりする僕の耳に、すまなそうな声が届いた。急いで声のした方に振り返った。 「…今まで悪かった。」 この声…大きいし、声もちょっと低い大人のものだけど、この顔、この髪型…間違いなく先輩だ！！！ ってことは、先輩が…謝ってる！？天変地異の前ぶれじゃ！？ 慌てふためく僕は、先輩に向かって何が起こっているのか問いただそうとした。 「先輩…！」 だが、先輩は先輩らしく、僕の話など聞こえていないかのように一方的に話し続けている。 「お前は…役に立つけど、イルカが気に入ってたし、それに、お前もイルカに惚れてるから見てると腹立ってな。」 腕組みして、ちょっとイライラしながら不本意そうにしている先輩は、今何か…変なことを言った。 僕がイルカさんに惚れてる…ええ！？そ、そんな…確かにイルカさんは優しいし、守って上げたくなるけど…！！！ …僕がイルカさんのことが…好き！？ 激しく動揺して、頭からつる草でも生えてきそうな僕に向かって、先輩はつぶやくように言った。 「でも、もういいよな。その子がいるから…」 それだけ言うと、先輩は僕に背を向けた。 「その子？」 先輩のわけの分からない発言にポカンとしている間にも、先輩はどんどん先に行ってしまう。その先にうっすら見えるシルエットは… もしかしてイルカさんなんだろうか？トレードマークの頭の尻尾がみえる。でも、なんだか男の人みたいに見えるんだけど…？ 「待って下さい先輩！」 とにかく追いかけるために駆け出そうとする僕の腕を、背後から誰かが掴んだ。 「ヤマト隊長…。」 「誰？」 そこに立っていたのは透き通るような真っ白顔の少年だった。…顔色が悪いっていうより、もともとの肌の色が信じられないくらい白いみたいだ。 年は僕よりもちょっと年上かな？先輩と同じくらいかもしれない。 でも、何でだか今の僕は大人になってるから、視線を合わせると、自然と下の方を向くことになる。 それに…今、僕のこと呼んだみたいだけど、ヤマトって…？ その少年の不思議な、作り物めいた笑みが、僕にはちょっと怖く見えた。 掴まれた腕も放してもらえない。いつもの僕だと、体格差が結構あるから難しいかもしれないけど、今の僕は大人だから簡単に振り払えるはずなのに…。 この子もひょっとして暗部とかなのかな？ 素性の分からない相手に、動きを封じ込められているのがいやで、僕は少年を警戒するような目で見た。 すると、少年はにっこり笑った。 「アナタが好きです。突っ込ませて下さい。」 「え！？」 何言ってるんだろう、この子？突っ込む？ボケとか突っ込みとかそういう話かな？部隊の仲間にも落語とか漫才とか好きなのがいて、 余興に誘われたことあったけど、僕ってそんなにボケに向いてるのかなぁ？ 存在そのものがボケだって言われたけど、大分失礼な言いようだよね…。大体この子とは初対面だし…。 僕が良く分からない内容にうろたえていると、やたら真っ白い顔をしたその子が、首をかしげている。表情が変わらないから不気味なことこの上ない。 なんで…この子うっすら笑ったまんまなんだろう…！？ 「おかしいなぁこの本には告白するときは、率直に自分の思いを伝えましょうって…あ、そうか。実力行使も有効だって書いてあったか。」 「え、え！？」 そうしてその少年の顔がアップになって…僕の唇にその少年の唇が…。 ***** 「うわあああ！！！」 「うるさいテンゾウ。死ね。」 吐き捨てる様に言って、僕にクナイを容赦なく投げつけてきたのは… い、いつもの先輩だ！！！ それにしても怖い夢だった…疲れてるのかな…？ 僕はばくばくとうるさい胸を押さえながら、気を落ち着かせるために深呼吸した。 「テンゾウさん！大丈夫？」 「あ、大丈夫です。ありがとうございます。」 先輩と一緒に寝ていたイルカさんも、僕の大声で目が覚めちゃったみたいだ。とてとて近づいてきて、僕の頭をなでてくれる。 遠巻きに見てる仲間も、僕が対先輩用の盾になる事を知ってるから、さっさと寝直しちゃってるみたいだ。だから最近先輩がおよめさんを連れてくると、 いつも僕が近くで寝かされるんだよね…。 あー…先輩睨んでるなー。殺気もすごい。 …いつもは怖くて仕方ないんだけど、今は何だか凄くホッとする。 「テンゾウ…明日特別訓練をしてやる…。」 「えー！いいなぁ！カカシ！一緒に言ったら駄目？」 「ん？イルカはいいの。テンゾウはちょっとやらかしたから、特訓が必要なだけだから。ね？」 「ちぇー！でも、頑張ってね！カカシ！」 いちゃいちゃしてるけど…明日、僕任務中なんだけどなぁ…。覚悟、しとこう…。 僕は恐ろしい夢よりも、今の怖い現実と戦うために、今日の所はしっかり休むことにしたのだった。 ********************************************************************************* 幼馴染で夫夫扱いになってる（イルカはおそらく良く分かってない。）カカイルと、 少年なテンゾウ（チョイ馬鹿）続き！です！！！ サイヤマフラグをたててみた！という…。 ご意見ご感想大歓迎！！！ 微妙すぎですが多分勝手に続きます…。 |