熱源(適当)



寒くて溜まらなくてどうしようもなくて。
だからふらふら歩いている中忍を天幕に引っ張り込んでみた。
「え!わあ!出た!暗部!?え!?」
反応がなんかこう…大丈夫なのって感じだけど、この中忍はあたたかい。
そういう意味では当たりだった。
「寒いの」
それだけ口にするのが精一杯で、さっさと服をひん剥き、寝床に引っ張り込んでぴったりくっついてやった。
うん。やっぱりあったかい。体温高いけど…毒くらったわけじゃなさそうだ。俺と違って。
「この匂い…!解毒剤は!」
「飲んだ。寒いだけ」
ありがたいことに匂いにも症状にも特徴がありすぎるからこれが何の毒かはすぐ分かった。そもそも耐性もある。
ただその自分でさえ致死量ギリギリまで食らったのが問題ってだけだ。
「馬鹿言ってねぇで寝ててください!お茶くらいなら…!」
ああ、あったかいモノが逃げる。
そのときはそうとしか考えられなかった。
「逃げるな」
「…ッ!」
抱き寄せたイキモノの体が一瞬こわばった。
殺気だちすぎたかもしれない。これでコレが冷えちゃったら困る。
「寒い」
頬をすりよせると緊張していたらしい体は、思ったより早くゆるんでくれた。
「俺、体温高いんです。あー…まあその。女性じゃないので硬いですが、その辺は諦めてくださいね?」
ぎゅっと抱きしめられると震えている自分がしがみつくよりずっと、暖かさが染みこんでくる気がした。
背に回る手が優しく撫でてくれる。止まりかけた鼓動をせかすように、力強い別の鼓動が追いかけてきて、気を抜くとこのまま眠ってしまいそうだ。
「ん。あったかい」
体温を奪うことに夢中になった。
男が寒いかもなんて当たり前のことも考えずに、手の届く範囲でせっせと毛布をかき寄せて抱きしめてくれるイキモノに縋る。
「そりゃよかった」
痛みはまだしもこの手の寒さは気が狂いそうになる。
照れくさそうに微笑む男を見ていると、その寒さも痛みも少しずつ溶けていく。
「アンタ、すごいね」
やっぱり当たりだ。あったかいしそれに…とても優しい。多分お人よしってヤツだ。ほっといたら危なそう。
「昔っから体温高いんです。風邪も引きにくいし怪我も早く治るし。…あ!指先あったまってきましたね。よかった…!」
あんまり嬉しそうに笑うから、すっかり元の動きを取り戻した心臓が煩い。
…うん。決めた。これ、貰っちゃおう。
だって捕まえたのは俺だし、この人ぼやぼやしてると誰かに持ってかれそう。
俺が捕まえたみたいに簡単に。
「まだ、寒い」
「はい」
慌てたように腕に力を込める男は、どうやら俺の唯一らしい。
昔言われた言葉を思い出した。
…大切な物はしまっておきなさい。誰にも見つからない所に。
「ちょっと寝るけど…あっためてね?」
体温が下がりきったままじゃ危ないけど、この男がいれば大丈夫。きっとよく眠れるだろうし。
「はい!…おやすみなさい」
ふわふわと頭を撫でる男にすりよりながら、毒が消えたら実行しようと独り決めして瞳を閉じた。


そういや顔見ちまったと一人で大騒ぎする男に起こされて土下座されて、それから名前を聞き出す所までは上手く行ったんだけど。
「何でアンタ火影邸に住んでるの…?」
「あー…その。この間、ちょっとした事情で家が燃えちまいまして。あはは!」
どうやらこの男をしまいこんで隠すには色々と障害が多そうだ。
しかたない。取られないように見張ればいいだけだもんね?
「ま、いいや。またね」
「え!あ、はい!」
うーん。やっぱり不安。こんな胡散臭いのにまた来るって言われて笑顔でいちゃだめでしょうに。
ま、俺には好都合だけど。
やたらと心配する男が作ってくれたいびつな握り飯は、まだ温かい。こんなもの持って任務に行くのは初めてだけど、帰ってきたらまた会いに行こう。できれば浚えたらいいんだけど、その辺も考えなきゃね。
俺の明るい未来のために。

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適当。
長くなりそうなのでこの辺で。テンゾウたんとかも参戦してえらいことになればいいと思います(`ФωФ') カッ!
ではではー!ご意見、ご感想などお気軽にどうぞー!


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