真夏、汗、ラーメン(適当)


「いらっしゃい!」
今日もテウチさんは気風のいい返事と笑顔で俺を出迎えてくれた。
「チャーシュー麺と…あとビール!おねがいします!」
「はいよ!いやしっかし今日も暑いねぇ!こう暑いとどうにも人の入りが悪いんだが…イルカ先生は良く来てくれるねぇ!」
確かにこの所暑い。正に夏!って感じだ。現に今も俺の汗は止めどなく流れ、忍服も額宛も、身に着けているもの一切合財をじっとりと湿らせている。
でも。
「一楽のはラーメンは格別だから!」
美味いもん食うのに暑さなんかに負けてられない。
「へへっ!ありがたいねぇ!」
テウチさんが照れくさそうに笑って、今日も美味いラーメンを出してくれた。熱いらーめんをすすり込むと、確かに暑いんだがその美味さに溜息が出た。
「ふぅ!やっぱり美味い!」
「そうね」
「わっ!?あ、カカシ先生!」
「どーも」
いつの間にか俺の背後に立っていたカカシ先生が、俺が食べているラーメンを見ている。
「カカシさんもラーメン好きだったなんて…奇遇ですねぇ!」
意外だったけど、この美味さなら舌の肥えた上忍だって虜にするのは不思議じゃない。
「いや、…でもそうね。飯食ってないし」
あれ?ちょっとしり込みした?…ああそうか。暑いのにラーメン食ってるのが照れくさいのかな?それなら…。
「俺、おごりますよ!いつもお世話になってるんだし!」
この人もラーメン好きなんだと思ったら嬉しくて、思わずそういっていた。
「んー?大丈夫。自分で払うから。ソレより伸びちゃうよ?…あ、俺もこの人と同じの、下さい」
「あ!そうだった!」
慌てて自分のラーメンをすすっていると、テウチさんがすぐにラーメンを出してくれていた。で、いつの間にかラーメンが減っていくのに、汗もかかない。
…うらやましいなー?美味いんだけど、流石に汗びっしょりのまま仕事するのは厳しいから、今日みたいに宿直明けか、早めに仕事が終わったときくらいにしかこれないんだよな…。
ああ、それにしても美味い!
「ふぅ!美味かった!」
最後の一口を胃に収め、そのなんとも言えない幸福感に浸っていたら、上忍に笑われた。
「ホントに好きなんですね。ラーメン」
「え!ああはい!」
くすくす笑われたけど、それが全然嫌味じゃなくて凄く楽しそうだったから、俺は思わずうなずいていた。
「こんなに暑いのにラーメンやにいたから驚いちゃった」
定番のセリフだ。俺がしょっちゅうラーメン食いに言ってるから、同僚だの知り合いだのにいつもこう言われている。
俺の返事もいつも一緒なんだけどな?
「…一楽のラーメンは暑さに負けない位うまいんです!」
だからカカシ先生も恥ずかしくないと言おうとして、言えなかった。
「…そうね。ホントに好きならそうだよね」
何か考え込むような奇妙な間を持たせた言葉。
思わず手が止まった。
「えーっと」
仕上げに取っておいたビールまで汗をかいて水溜りを作っているのに、ソレを飲むのが躊躇われた。…なんとなく、真剣すぎる顔に気圧された。
そうこうしてる内に、いつの間にかカカシ先生は手早く会計を済ませ、軽く会釈したと思ったら姿を消してしまったんだけど。
「なんだったんだろう?」
呟きさえ溶けそうな気温は、応えてはくれなかった。
*****
翌日、どこかぴりぴりした空気を纏った上忍に声を掛けられたときは、高ランク任務にでも就くんだろうかと思ったのに。
「暑い中、任務帰りで疲れてても会いたい位、イルカ先生が好きなんですけど」
「えぇ!?」
握られた手が熱い。それから…胸の中のどこかが、真夏の太陽なんかよりずっと、燃えるように熱くなった。
「好きです」
真摯な瞳が不安げに揺れている。俺の心臓もばくばくとうるさいくらいで、それでも捕まれた手を離したくないってことだけは分かったから。
「俺、も…んっ!」
全部言う前にふさがれた唇は、やっぱり気温よりずっとずっと熱くて。
…なれそめは?なんていう定番の質問には、その熱にやられちゃったんだというコトにしている。

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適当!
暑いのでー…。←他にいうコトがない。
ではではー!なにかしらつっこみだのご感想だの御気軽にどうぞー!

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