ふさふさ的ホワイトデー(肉食獣のいる生活もしも編)

もし肉食ぬこと子どものころ会ってたらどうなってたかなぁという妄想続きをさらにどんどん…(中略)…勢いあまってアップしておきます。
何度も言っちゃいますが、チョコはぬこには毒なのでご注意ー!子ぬこも母ぬこも内臓はヒトです! こそっとふさふさ的ホワイトデー編を設置ー。


任務はつつがなく終了し、ついでに注文しておいた品物を受け取って帰宅すると、イルカ君が白く小さな菓子をくれた。
にこにこと微笑みながら一生懸命話すイルカ君は可愛らしい。やはりカカシはよい伴侶を得た。
甘く小さなそれを味わいながら、そんなコトを思った。
その甘さにどこか懐かしいものを感じながら、洗濯物を畳むと言うカカシとイルカ君を手伝った。
中睦まじく互いを思いやりながら、これからもきっと寄りそって生きていくのだろう。
ずっとこれから幸せに生きて欲しい。…これから増える新たな家族にも。
だがそのために用意したモノたちは、どうやらまだ気が早すぎたようだ。彼女にも同じようにたしなめられたのを思い出した。
これからのコトを一度うみのとも相談しなければと思いながら手を動かしていると、カカシもほわいとでーだからと何かを用意していたようだ。
「父さんは甘いものが苦手だけど一応ね!」
そう言って俺にも小さな白い器に盛り付けられたムースをくれたのだ。
その照れくさそうな笑みに、そういえば今日は白い日だったのだと、改めて思い出した。
彼女が俺に白くてさくさくした何かをくれたのもこの日だった。
「サクモさんのケーキみたいに美味しくはないかもしれないけど、愛では負けませんから!」
そう言って、彼女が俺の口に放り込んでくれたそれは口の中でほろほろと溶けて、ほのかに甘いそれは今まで食べたことのあるどんな菓子よりも美味しかった。
なにより、彼女の笑顔が。
イタズラっぽく笑う彼女に胸が熱くなって、抱きしめて…それからその唇に触れる許しを貰った。
だから…与えられるぬくもりが余りに心地よくて…結局その意味を知らないのだといい損ねた。
後になって部下に、「あのケーキのお返しってなんでしたか!」と聞かれて初めて、ほわいとでーというものの存在を知った。
甘く蕩けるそれは、彼女の愛情だったのだと。
…それからどうやって任務をこなしたのかは覚えていないが、余りの慌てように後になって部下に「そりゃ嬉しいのはわかりますけど!怪我したら泣いちゃいますよ!奥さんが!」とたしなめられたのだけは覚えている。
飛ぶように家に帰って…それから俺のために夕食を作ってくれていた彼女を抱きしめた。
「きゃっ!…サクモさん!お帰りなさい!早かったんですね!でもお料理してる時は危ないから…」
「アナタが、好きだ」
「え?」
「…俺は、アナタが好きだ。アナタだけが…」
上手く動かない口がもどかしくて、言葉の代わりに彼女を抱き寄せた。強く、その華奢な壊してしまいそうなほどに。
彼女が少し苦しそうに顔をゆがめたのに、腕の力を緩めることができなかった。…手放せば消えてしまいそうに思えたから。
俺は知らないことばかり多くて、彼女から受け取った温かいものに何も返すことができないでいる。
だから、彼女がいつか…俺以外の誰かをその腕に中に入れてしまうんじゃないかと思うと恐ろしかった。
自分がどうなってしまうのか分からないほど、彼女は俺の全てだから。
「サクモさん。何があったのかわからないんですけど…私もサクモさんが好きですよ?」
明らかに正気を失っていた俺に、穏やかに微笑んだ彼女は一番欲しい言葉をくれた。
それから…。
「後ちょっとで出来ますから、ご飯、冷めちゃう前に食べましょう?それから、ゆっくり何があったのか教えてくださいね?」
頭を、撫でてくれた。いつもの様に、優しく。
それだけで胸を重くするものが消えてしまった気がした。
あとにはただ彼女が愛おしいという思いだけが強く残って…。
「え!どうしたんですか!?」
慌てたように俺の顔を拭った彼女の手が、濡れている。
その指先を飾る宝石のようなそれが、俺の流した涙なのだと気付く前に、彼女が抱きしめてくれた。
「怪我もないみたいだし、チャクラは大丈夫そうかしら…?もう!心配かけて!…ご飯食べて、それから全部話してくださいね?無理しちゃ駄目って言ったでしょう?」
怒っている彼女の瞳が心配そうに歪んでいる。
駄目だと分かっているのに、俺の手は止まってくれなかった。
「きゃ!」
抱きしめて縋りつくようにその体に覆いかぶさった。胸の鼓動が耳に心地良くて、温かくて…そこから動けない。
「…しょうがないですね?ご飯、後にしましょうか?」
それから、困ったように笑う彼女としばらく一緒に床に寝転がっていたら、彼女の方が疲れていたらしくて眠ってしまって…慌てて布団に運んでそれから食事の仕度を俺がして、彼女を起こして一緒に食べた。
彼女はずっと俺に微笑んでくれた。どうしてこうなったのか上手く言えないでいた俺が語る言葉を、その柔らかい光を宿す優しい瞳で見つめながら。
ほわいとでーというものの存在は、それ以来俺の心にしっかりと焼き付いている。

彼女からの愛を受け取った日だから。

カカシとイルカ君が、これからも共にあるために。…俺もできる限りのことをしたいと思った。
勿論、うみのと奥方と生まれてくる子どもたちのためにも。

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子ぬこイルカと母ぬこと苦労する父の番外編を出来心でアップしてみる。
ふさふさ(大)はた迷惑な愛情編?
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