さぷらいず(適当)



「おたんじょうびおめでとうございます…」
息も絶え絶えのイルカせんせをにまにましながら腕の中に閉じ込めていたら、唐突にそう告げられた。
あれ?えーっと。今日はそういえば九月で…あーすっかり忘れてた。
だからか。こんなにも協力的だったのは。
普段なら恥じらいという名目の下、激しい…時には拳骨を振り回したりするような抵抗があるのに、今日に限って言えば積極的とさえ言えるほどだった。
…ま、抵抗する余裕すら与えなかったって自覚もあるから、どこまでその気だったのかは分からないけど。
任務が長かったんだよねぇ。
チャクラは幸い切れてなかったけど、玄関空けたらイルカせんせがいて、俺の好物ばっかりが並ぶ湯気を漂わせた飯より、照れくさそうに笑うイルカせんせの方にまっしぐらだった。
疲れ切って飢え切って帰ってみたら、ご馳走がたっぷり並べられてたようなもんじゃない?
いやほんとに。だっていつもおかえりなさいって一応言ってくれるけど、書類見てるかテスト採点してるかなんだもん!
…ま、そこをね。ふいをついてただいまのちゅーしたり、仕事が急ぎじゃなさそうなら隙見てそのまま押し倒したりするのも楽しいんだけど!
じわじわ高まる熱に抗いきれなくなった瞬間の、熱い吐息が好きだ。潤んでいく瞳に俺を映して、一瞬だけ目を合わせた後は硬く瞑ってしまって、でも興奮してくると逆に射る様な視線をくれる。
そういうとこも大好きなのよ。もちろん。
だって意地っ張りだって知ってて、やせ我慢と無茶ばっかりしてたら早死にするじゃないって心配で付回してたせいで、惚れたようなもんだもの。
付回してた時点で普通じゃないし、一目惚れっていうんじゃないですか?とか本人には言われちゃったけどね?
ああ本題からそれた。…まあ要するに照れ隠しだって分かってても寂しいこともある訳だ。
それがあのときだけは、硬い壁みたいなものがまるでなくて、恥ずかしそうにはしてたけど、すごく一生懸命になって俺に触れてくれた。
もう頭の中沸騰するかと!
夢中にならなきゃシーツばっかり握ってる手が、最初から背に回る。
普段なら…何回かイかせて、理性を飛ばさないと俺の名前なんて呼んでくれない。声だって殺そうとする。
密かにそういうのに傷ついていたのかもしれない。
ひょっとしたら俺なんかと付き合ってるのは嫌なんじゃないかって。
分かってるつもりで降り積もった寂しさに負けそうになってたことにすら、こうして惜しげもなく愛情を見せ付けられるまでさっぱり気付いちゃいなかった。
「ん。ありがとうございます」
背を向けてモソモソと顔を隠されてしまったけど、うなじにキスしてどきどきしてる鼓動を肌で感じてそれだけでもう最高に幸せで。
「たんじょうびだから!と、特別です!」
なんて言った後、あんなのやっぱり俺じゃねぇっていいながらのた打ち回っているのがかわいすぎて、ちゅーしてもう一戦交えちゃったのは俺のせいだけじゃないと思う。
男なのに男心が分かってなさすぎるでしょ!もう!
やってる間中ありがとうとかすごく嬉しいとかほぼ無意識に言いまくってたら、それ以降ちょーっとだけ待遇が良くなった気がするから、これからもがんばろうと思います!ええ!

ちょっとなによ?最近ご機嫌だなぁなんていってきたのそっちでしょ?もっとちゃんと聞きなさいよ?え?僕今から任務です?ふぅん?へー?ほー?
…ん。よろしい。ま、あとちょっとだからちゃんと聞きなさい。お前の色白黒髪ちゃんとの後学のためにもねー?


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適当。
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