溺れてよ(適当)


「だーから。何言っちゃってんの?」
気難しい…というか、頭が固い恋人は時々こうして俺を困らせる。
そーんなどうでもいいこと拘ってるより、その時間たっぷりいちゃいちゃした方がイイに決まってるのにね?
「そ、そっちこそ!俺は、しばらく距離をおきたいって…」
語尾が小さくなるのは、俺の呆れた表情のせいだけじゃない。
…自分ではなれたくないくせに、どうしてこうも簡単にそんなこと言い出すんだかね?
「ねぇ。今度は誰に何言われたの?」
この間は同僚だかなんだか知らないけど、この人に懸想してる馬鹿と、俺に見当違いの羨望を抱いた馬鹿が手を組んで、俺といることが里のためにならないだのなんだのって吹き込んでくれた。
おかげで素直で真面目で、自分のことを二の次にしがちな恋人は、あっさりと俺と距離を置くことを選んだ。
様子を見ていれば泣きそうな顔で俺を見ているくせに、近寄ってすらこないのだ。
しかも一人で泣くし、やつれるし、ものは食わなくなるし…そのくせ意地を張ってるのか自覚がないのか、真っ青な顔で受付に立ったりしちゃうんだもん。
今にも倒れそうな顔ではかなげな笑顔なんか浮かべられたら…また俺の敵が増えちゃうじゃない?
しょうがないからさっさと引っさらって俺の部屋で三日三晩濃厚に俺の愛をたっぷりと注ぎ込んでぐちゃぐちゃにしてあげたんだけど。
その時も、俺のせいだなんだって騒いで、俺の側にアンタがいないなら、里抜けするよって教えてあげて何とか思いとどまらせることができた。
潔いっていうかなんていうか…長期任務だのなんだの色々たくらんでたみたいだし、あんな状態で外に出ようものなら獣みたいな連中におもちゃにされるか、敵にあっさり消されるかのどっちかだ。
それを阻止できたんだから結果的にはよかったはずだ。多分ね?
俺のを欲しいって強請らせて加えさせて突っ込んでそれから…あんまり頑固に俺のせいだなんていうから、影分身まで使ってその体に徹底的に俺という存在を叩き込んだ。
あの時はまだ体はそんなに慣れてなかった。心の方はすっかり依存させてたけど。
でももう体の方だって、俺がいなきゃ生きていけないくらい溺れているはずだ。
それなのに、どうしてこうもこの人はかたくなに俺の側にあることを恐れるのか。
「ご意見番様からも、言われているはずだ。…俺じゃ駄目なんだよ…」
一人で勝手に苦しんで、血反吐吐きそうな顔して、ホントもう何でこの人こんなに馬鹿なんだろう。
「何が駄目なのよ?」
「そんなの…それをアンタが聞くのか…!」
知ってるくせに。そう音もなく言葉を紡いだ唇を塞いでやった。
「んっふぅ…んぅ!」
「ほーら。もう前もぐちゃぐちゃだし、後ろだって疼いてるでしょ?」
服越しに指先で先端を弄ると、体を撓らせて艶っぽく喘いでくれた。もうとっくにそこが湿っているのが分かる。
こらえ性のない体は味わう度にうまみを増す極上品だ。素質もあったんだろうし、俺がそうした自信もある。
余計なことなんか考えなきゃいいのに。
「だから…だからなんなんだよ!…もう止めてくれ…!」
子供がだの、上忍の側にあるには弱すぎるだの…よくもまあコレだけ並べたれられるもんだ。全部くだらない言い訳なのに。
「子供?そんなに欲しけりゃ作ってあげるよ?あんたの体作り変えてもいいし、俺がやってもいいけどそうすると任務出られないからまたあんたの大好きなご意見番の言葉とやらがうるさいだろうけどね」
できなくはない。負担はそれなりにあるが、この人を傷つける全てを消してもいいと思ったときから、とっくにできる手は打ってある。
ま、正直するつもりはなかったよ?だって…俺が好きなのは、愛してるのは…俺の全てなのはこの人だけで、多分子供なんかできても俺は愛せないから。
でもそんな下らないことで惑わされるくらいなら…俺からこの人を取り上げようとするゴミを排除するために、茶番を演じてやってもいい。
もし本当に子供ができても、そんな里にいてやる義理はない。
大切な人はもういない。…腕の中で震えているこの人以外には。
「…そんなこと、できる訳が…」
否定的な言葉を吐くくせに、その瞳には期待ってやつが見え隠れしてる。
あーあ。馬鹿な人だねぇ?そんなに俺を取り上げられたくないくせに、どうして諦めようなんて無茶をするのか。
そんなこと、どうせできないくせに。
「できるよー?それにアンタが弱いから側にいちゃ駄目ってのも変でしょ?アンタ一人守れない位、俺が弱いと思うの?」
強さに関してもこの人のレベルなら上忍でもおかしくない。
心理戦になったら敵に弱み見せられたらほだされたりしそうだから、問題はそこくらいだろう。
現にそこを今突かれている訳だし。
「なら、それなら…」
縋ろうとする震える手を捕まえて、押し倒してやった。
「でもねぇ?ちょっと酷いんじゃない?」
「え…?」
きょとんとした顔が無防備でかわいい。
…この人にはきっと一生理解できないんだろう。俺がどんなにこの人を…。
「そんなこと全部どうでもよくなるくらい、早くもっと俺のこと愛してよ」
届かない言葉を、聞いちゃいない言葉を、それでも嬉しそうな顔で泣きそうな顔で聞いているから。
とりあえずまたぐちゃぐちゃにして縋らせて喘がせて歩き方を忘れてしまうほど抱いて、余計なことなんか考えられなくしてしまおうと決めた。


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適当。
ちょいとまもたせ。
ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ!

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