とある上忍のけいかく33(適当)


これの続き。



「うー…んぅ?」
だるい。眠い。それになんか、動けない?
おいおいどうしちまったんだ俺は。
ピクリとも動けないのはまぶたも同じで、凄まじい疲労感とそれから全身がしびれるような眠気まで襲ってくる。ふらつく頭とも戦いつつ、やっと目を開けてみれば、そこには銀色のふわふわした塊が。
「ん…」
ああ、寝ぼけてんだな。そんなにしがみつかなくたって、俺はどこにもいかないのに。
っつーか。
ええと?で、これは。あれか。昨日俺が散々しがみ付いて散々な目に合わされてそれから。
「カカ、シ…?」
いやでもあからさまにでっかい。下手したら俺よりもデカイ。育ったにしてもおかしすぎる。抱き包む腕は長さを持て余していて、狭いオンボロベッドからは足もはみ出しかかっている。
昨夜姿を消した子が、一瞬でそんなに育つなんてある訳がない、よな?いや、そういう血継限界なのかもしかして。
いやいやいや。ないだろ。さすがに。そんなの聞いたことねぇぞ?
アカデミーには血統的に忍であることを義務付けられたような子も山ほど送り込まれてくるから、その辺の引継ぎはきっちりしてる。そうじゃないと本人もだが、周りに及ぼす影響も計り知れないからだ。
なにせ子どもはチャクラコントロールがへたくそだ。どんなに才能があったって、成長期はどうしたって体と心のバランスだって崩れやすいし、その上血継限界や秘術使いの一族は、より微細なコントロールを必要とするその特殊な能力を持て余しがちだ。
それに戦術的にもその手の知識を身につける必要があるから、木の葉に存在するモノだけじゃなく、他国のモノに関しても学んでいる。
だから知らないなんてありえない。はずだ。
でも、こんな風に唐突に成長するならアカデミーにも通わせられないとか、そういう判断でなのかもしかして。
推測だけはいくらでもできたが、多分それは現実逃避ってヤツで、規則正しい鼓動がぴったりとくっついた素肌から伝わってきて、それが妙に生々しく感じて慌てて体を起こそうとした。
「ぐえ!」
「駄目」
いきなり腕を引かれて、駄目ってなにがだって腰とか股関節とかその他諸々人に言えないようなところにまで走った痛みに耐えながらきっと睨みつけてみたんだが、そこにいたのはやっと親をみつけた迷子みたいな顔したカカシだった。
「なに、すんだ。イテェ」
「だって、ヤダ。もう離れたくない」
ぎゅうぎゅう抱き締められると、チビだったときと違って呼吸が止まりそうなほど苦しい。
でも同じだ。この必死さも、この我慢しようとして我慢できなかったときの瞳も。
「風呂に入る。飯も。あとは、ええと?」
「だって明日お休みでしょ?お願い。一緒にいて」
懇願にあっさりとぐらついたのは、コイツが恐かったとかじゃない。
…カカシが始めて素直に我侭を言ってくれたからだ。
「風呂が、先だ。飯も食え。事情は後で聞く」
叱りつける言葉が我ながら弱々しい。
でも、だって、しょうがないだろ!だってコイツはカカシなんだから。たまりきっていた欲を放出しきったせいか妙にスッキリした腰の辺りがどこか落ち着かないが、おかげで冷静になれた。…なれている気になっているだけかもしれないが。
「うん!でももうちょっと寝よう?」
「だ、だから!風呂に!」
「洗わなくちゃだけど、まだ立てないでしょ?」
当たり前のように腰の辺りを手が撫でる。ついでとばかりに尻まで触ろうとしてきて、だがそれを振り払おうとした手は中空で止まった。
「ぐっ!うぅ!」
「痛い?ごめんなさい。加減できなかった」
あー…なんか、俺の方が悪いことしてるみたいじゃないか。こんなにしょぼくれた顔なんかされたら。
「…寝る。寝てから考えるけど、お前はちゃんと飯食って…」
「さっきいっぱい食べたから大丈夫。すっごくおいしかったし」
「あ?」
なんか食わせたか?寝てる間に食ってたんならそれはそれでいいんだけどな?成長期…なのかどうかわからんが、飯はちゃんと食わないとな。
だがとりあえず…限界だ。
「ねる。おやすみ」
「…おやすみ」
あまりの事態にとっちらかった思考が、こんな状況で戻ってくれるはずもなく。
この思わず呻きたくなるような痛みは側にいるぬくもりが原因のはずなのに、鼻をくすぐるカカシの匂いに何故か安心できて、目を閉じた瞬間失神したみたいに眠りに落ちていった。

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適当。
中忍びっくり。上忍やる気。
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