とある上忍のけいかく31(適当)


これの続き。



キス、された。
頭は理解することを拒否しても、体は与えられる快感に正直すぎて、勝手にその気になってくれた。抜いてなかったせいといわれればそれまでだが、風呂場もトイレもましてや職場ででもひっついてくるのがいて、それでどうにかできたかって言われれば無理に決まってる。
でも、カカシが大変なのに。
どうも錯乱してるみたいだし、痛いって言ったし、腹減ってるのかどうかも確認できちゃいない。怪我はしてないみたいだけど、我慢強くて辛くても隠す癖があるから心配なんだよ。
でっかいけど、本当にカカシなのかわからないけど、でも、だってコイツはカカシだと思うんだ。
見た目だけじゃなくて縋るような目とか、しがみ付いてくる仕草とか、声は、大分低くなっていて、聞き覚えのある高く澄んだ声じゃないけど、低くて落ち着いた声でも、俺を呼ぶときの甘さが同じだ。
母ちゃんとか、父ちゃんとか、そういう大切な誰かを呼ぶときの声。
いつだってこっちが泣きそうになるほど一生懸命で、おかえりって言った時の表情で確信した。
カカシだ。帰ってきた。俺のカカシじゃないけど、なにがあったかなんて俺にはわからないけど、でもカカシだから。
それなら俺が守らなきゃいけないんだ。
…でも、それでどうしてこんなことになってるんだろう?
「どうしよ。止まれない…ッ!」
「ふぁ、あ…!ちょ、ちょっとま、ッ!」
勃ってるのを隠すもなにも、今握られている。
なにをってそのやる気が満ち溢れて自分でも戸惑うほどのそれを、随分と熱心に弄りながら視線で助けを求められている。
いやだからどうしたらいいんだこの状況。
どうしていいかわからないのに、こんなに密着されたら隠しようもない。そもそも隠すも何も!
突き放したいのに苦しそうな顔を見るとそれもできない。助けてくれと言われたらなんだってしてあげたくなる。
だが実際問題としてなにが起こってるのかさっぱりわからん。俺の可愛いカカシがなんでかしらないけどでっかく育って戻ってきたところまではなんとか理解できた。いやなんでなのかとかまではさっぱりだが、とにかく起こっている現象としては受け入れた。
でも、なんでこんなことになってるんだ?誰よりもなによりもカカシに知られたくなかったのに。
「いれたい」
「ッぐ!ぁ…!」
呟くようなその声は熱っぽく掠れて、途端下肢に走った異物感に震え上がった。
なにが起ころうとしているか、今更ながら気付いたとも言う。
経験はないが耳がタコになるほど聞いたことはある。
気が立った上忍には近づくな。ケツが二度と締まらなくなってクソまみれで過ごす羽目になる。ってやつだ。それ以外にもまことしやかに語られる同性から強要される行為は、痛みと屈辱にまみれたものだと聞いていた。
いやでもこいつはカカシだし、気が立ってるようには見えなかったし、どっちかっていうと泣きそうで苦しそうで辛そうで、だから助けなきゃって思って、しかもそれは今も続いている。
痛みで呻いたせいか、荒っぽくよくわからん瓶の中身をぶちまけられはしたが、それでもカカシから苦痛が消えた様子はない。むしろ酷くなってる。
もちろん俺だって痛い。カカシが撒き散らしたぬるぬるした物のおかげで多少は楽になったとはいえ、いきなり異物をつっこまれたら当たり前だ。
とはいえこの程度の痛みよりも、カカシの様子というか、何もかもがおかしいのが気にかかってそろどころじゃなかった。何で泣きそうなんだ。訳を言え。あとなにやってるかわかってるのか。どこでこんな事覚えてきたんだ!
「痛い…?」
「だ、いじょぶだけど、抜け…!なんてとこ触ってんだ!汚れる…!」
ケツだぞケツ。しかもなんかよくわからんぬるぬるしたものはすっかりシーツにも零れ落ちて酷い有様だ。
シーツは洗えばいいが、カカシは…どうしようもないだろ。そんな経験させていいのか?物覚えもいいから何か原因があってやっちまったにしても、それが深い傷になったりするんじゃないのか?
「汚れる?どうして?」
この純粋に疑問だと思ってる顔に、見覚えがあった。ああ、カカシなんだなって改めて思い知らされる。
だからちゃんと教えてやらなきゃと思った。こんなことしなくったっていいんだって。
「いい、から。そこ、は、駄目だ。やめなさ…んッ」
ぐりゅんと指が回って、腹の中の何かに触った。パチンっと何かが弾けたみたいな衝撃だ。火花が散るような、それでいてぞくぞくするような熱がじわっと広がって、みっともなくビクビクと体が跳ねる。
「やめないよ。止まらないって言ったじゃない。…ここでしょ?イイトコロ」
「や、なんだ、これぇ…!?」
止めたかったのか、それとも問い詰めたかったのか、自分でも分からない。
今まで抱き付かれてばかりだったのに、初めてこっちから縋ったその腕の主は、はっとするほど綺麗に笑って見せた。
「大丈夫。そうやってて?背中でもいいけど」
「ん、ん!」
大丈夫だといわれて、それを信じた。抜いてくれない異物が恐くて震えても、宥めるように降って来る口付けに我を忘れた。だって、コイツはカカシだ。だからきっと大丈夫なんだ。
そうやって、カカシが側にいることに、すべての思考を放棄した。
そのツケがどうやって己の身に返って来るかなんて考えもしないで。
「いくよ」
大人しく腕に、それから背に縋って耐えていたら、やっと中に収まっていた異物が抜けてくれた。終わったんだと思った。これで大丈夫だって。勃ったモノは恥ずかしげもなく涎を垂らしていたけど、そんなことより異常な状況が終わることの方が嬉しかったのに。
「あ、ああ、あ!」
「痛くない?」
「ん、や。あ」
痛いとかそういうんじゃなくて、思いっきり頭を殴られたときより酷い衝撃だった。
他人の鼓動が中にある。じわじわと押し入ってくるモノがなんなのか、わからないはずがなかった。
カカシだ。
それはつまり俺は、カカシと。
「やめろ!」
「それは無理」
言葉通りに容赦なく穿ちこまれたそれは、抜け落ちそうなギリギリまで引き抜かれては、また押し込まれる。
カカシだ。カカシなのに俺は。こんな事は許されない。だってカカシは俺の家族なのに。
「駄目だ。やめてくれ…!」
「…やめないよ」
ショックを受けたみたいに顔を苦しげに歪ませて、カカシがその手で俺の目を覆った。
小さくてやわらかかったはずの手に口寄せやクナイだこなんかのたくさんの傷を見つけて、こんなときだってのに胸が締め付けられるように痛んだ。
だれがカカシをこんな目に遭わせたんだ。俺のカカシを傷つけるなんて!
「カカシ…!」
なにがあったんだと聞く前に、カカシが耳朶に歯を立てた。
「お願いだから、みないで」
あとは全部闇の中。
腹の内側に弾けた熱い液体を何度も受け止めて、取り返しのつかないことになったんだということだけは理解した。

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適当。
食われちゃいましたとさ。
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