好きだ好きだとわめくから、殴って逃げて来たんだが。 「アレ、だれだったんだ?」 それでなくとも任務中で神経を磨り減らしていたってのに、わざわざ湧いて出てくれた見知らぬ…というか、顔隠しすぎだろ。アレ。 縁日だからっていい大人が変な面被ってるし、とったと思ったら、その下に顔布つけてるし。 「木の芽時にはまだ早いよなぁ…?」 いきなり男から告白なんてされても逃げる以外になにができるっていうんだ。 目立ったらまずいってことだけは、パニクった頭でも思い付けたからまだましか。 だが、飯時のらーめん屋なんてもので騒ぎを起こしてくれたお陰で、貴重な昼飯を無駄にした恨みは深い。 好事家が盗み出した品物を本来の持ち主に返す。 夫の形見を取り返して欲しいと言った依頼人の涙を思い出すにつけ胸が痛むのだが、盗んだ方は完全に浮かれ騒いでいるらしい。 情報は死ぬほど流れてきたから、頭の悪い自慢話を垂れ流しているようだ。 相手はド素人だし、警備もついてないし、ちょっと頑丈な金庫に仕舞いこんでるってだけだ。 その任務自体は簡単だが、だからってわざわざ難易度を上げてくれることはないだろうに。 幸いやっとどこに隠したか探り当てたばかりだ、さっさと目的のモノを盗み出してここから離れよう。 すきっ腹を抱えて物陰に潜んでいるのはどうにも切なかったが、こんな日もあると己に言い聞かせて耐えた。 …まではよかったんだが。 「手伝いますよ!」 「なんでいるんだ!?」 ターゲットの家に着いた途端に、何故かにこやかに微笑むあの時の変態がたっていた。 「あ…その、だって…お近づきになりたくて…!」 「恥らわれても困るんだよ!」 それにだ。どっからどう見てもこの格好は忍だ。それも木の葉の。 ってそういやあのときも下に黒いのきてたな…。上に着流し着てたから気付かなかったけど。 もじもじと照れくさそうに身をよじる様は、なんともいえず俺の精神にダメージと疲労感をもたらしたが、今は任務が最優先だ。 「えーっと。忙しいのであとにして下さい」 空腹に耐えかねて買い込んだ飴を男に握らせて、俺は無事任務を遂行したんだが。 飴一個で飛び回って喜ぶから背ばっかりでかくなった子どもかと思ったら、腹が立つことに口布の下は多分同い年くらいの男前だった。 なんでそんなの知ってるかって言うと…犬のように着いてきて、もの影から俺を見つめ続ける男に辟易して、せめて堂々とついて来いって言ったらいきなりキスされたせいなんだけどな…。 殴ったら泣くし、それも触ってもらえたって意味不明な理由だし、自分から強引にキスしてきたくせに唇触ってぽわぽわした顔で座り込んじゃうし…なんていうか、色々俺も諦めた。 ずーっと、それはもうずーっとついて来るんだからしょうがないだろ? 「あああああ!あの!クリスマスは!一緒に!」 なんていわれて頷いたのも、その瞬間押し倒されたのも、好きだ好きだって騒ぐ男がかわいいなんて思うようになったのも…まあ多分、運命ってヤツなんだと思うことにしている。 ********************************************************************************* 適当。 ねおちたぁあああ(((((((( ;゚Д゚))))))))ガクガクブルブルガタガタブルブル ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |