プレゼントをあなたに2(適当)



なんだか構い倒したくなる人だ。
ついついちょっかいを掛けては、不思議そうな顔をして戸惑うのを見てやっちまったことを自覚する。
この人はとっくの疾うに成人した男で、しかも上忍…つまり格上なのに、どうしても放っておけない気持ちにさせられるのはなんでなんだろうなぁ?無意識に手元にあった食い物とかを渡したくなるんだよ。
ぼんやりしてるから声を掛けて、顔色が悪いから飴玉を渡してしまって、甘いものが苦手だとしょげかえるから慌ててせんべいを与えてみたりと、うん。冷静になればどっからどうみても俺の方がおかしい。
やめときゃいいんだ。わかってるんだ。…それなのに、こうやって構ってしまうことを何度繰り返しただろう。
でもなんだかほっとけないんだよ。
視界の端にみつけると視線が追いかけてしまって、そうしたらその内あの人の周りにいる上忍の人たちにも声を掛けられるようになってしまった。
好物を教えてくれたりもしたし、今日は任務帰りによたよた歩いてたって教えてくれたりもした。
口々にあの人のことを教えてくれるのは、きっと心配しているからだろう。それだけ大事にされてるってことだと思うんだが、本人はどうもそれをわかっていない気がする。
…もうすぐ誕生日だということを教えてくれたのも、その中の一人だった。
知ってしまったらお祝いしないなんて選択肢は俺にはなかった。
色々悩んだ挙句に買い込んだのは、父ちゃんの知り合いがやってる薬屋に頼んで作ってもらっている兵糧丸だ。
疲れたときにもいっぱつで元気が出る特別仕様だから、きっとあの疲れきった顔もしゃきっとする…はずだ。
「よっし!行くか!」
問題は渡し方だった。今あの人は受付を通らない任務にでているらしい。
そんなこと教えていいのかと流石に苦言を呈してみたものの、教えた方は家の前で待ってりゃ確実だと言い捨てて姿を消してしまったから文句の言いようがない。
まあ多分、同じ任務につくんだろうな。
ちょっとどうかと思いつつも、目的達成の近道であることは確かなので今回だけは目を瞑った。
そうして手渡されたメモ通りに家の前で待つこと数刻。
思ったとおりよたよたと帰ってきた人は顔色は悪いわ目をまん丸にしててかわいいわ…って最後のは違うな。
まあ要するに、今日も俺の庇護欲を刺激しまくってくれた。
…この人はもう大人。もう大人。
きちんと自分の脳みそに言い聞かせつつ、さくっとプレゼントを渡してしまうことにした。
すごく驚かれて慌てられて、困った顔もそういえばしていた。
ああまたやっちまった。
そのときはそう思ったさ。
でも、祝ってくれる人が誰もいないと知ったら、もう我慢できなくて。
「ケーキは小さいのを買うとして、秋刀魚もナスもあるし、それから…うーん?よっし!今日は俺が背中流して上げます!」
秋刀魚とかナスとかは、プレゼントを買うついでにほぼ無意識に買い込んでいたからいいとして、ケーキは今から一緒に選びにいけばいいな。うん。
甘い物は苦手って言ってたけど、誕生日にケーキは外せない。
ケーキと聞いて一瞬顔をしかめたくせに、手を引いて歩き出したらいきなりほわっと薄紅色に染まったのがまたたまらん。何だこのかわいい生き物。
「お祝い。しましょうね!」
もうびっくりするくらい祝い倒してやるんだ。
なんてたって誕生日だからな!
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後日、たっぷりのご馳走と風呂上りのマッサージとくっつきたがるから添い寝までして祝い倒してつやっつやになった人と連れ立って出勤している所を、やっとやったのかとか言われてもみくちゃにされかけたんだが、さっぱり意味がわからなかった。
カカシさんは…なんかまだとか、触るな減るとか言ってたからわかってるみたいなのにおしえてくれないんだよなー。
まあうん。よくわからないけど、誕生日からものすごくストレートに甘えてくるようになったからこれはこれでいいかな。

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適当。
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