腹が減ってたのは本当だけど、カカシの秘密基地はすごかった。凄すぎて腹減ったことを忘れて、色々探検したくなるくらいすごかった。 まず米があった。お湯が沸かせるならそれ飲んで、後は魚獲ってきて焼けばいいやって思ってたけど、隠し扉の奥の食糧庫に色々入ってて、みそとかあとそれから砂糖とかしょうゆとかさ、調味料も揃ってた。 それも父ちゃんが良く使うみたいな携帯用で削って使う岩塩とかじゃなくて、ちゃんと瓶に入ったヤツ。囲炉裏もあって、秘密基地って言うよりちょっとした隠れ家みたいだった。 一度だけ、子連れのほうが怪しまれない？とかで、任務のついでにって、そういう隠れ家につれて行ってもらった事がある。 アレとここはそっくりだ。見た目はただの山小屋なのに、隠し扉とかもあるし、全然違う。 しかもカカシの手際が良すぎる。 俺だって父ちゃんと母ちゃんがいないときとかは、ごはんを作ったりすることもある。 …まあ大抵はじいちゃんちに遊びに行っちゃうんだけどな！ 悪戯小僧を一人で放っておけないっていう父ちゃんのせいなんだけど、俺だって色々できるし、どっちにしろ悪戯はするのに。 だってじいちゃんの驚いた顔見るのが楽しくて止められない。怪我をさせないっていうのと、大事なモノを壊さないって言うのだけはちゃんと守ってるしな！ 忍は裏の裏を読めって言って反撃してくることもあって、それも楽しい。 ただ…じいちゃんのエロ本に落書きをするのだけはやめとこうって決めてるけど。 アスマ兄ちゃんがうっかり墨飛ばしただけで、怒鳴り声とチャクラで床板剥がれそうになるくらい怒ってたもんなー？あれをみて、改めて、本当に大事なモノには手を出さないって決めたんだ。だからちょこちょこじいちゃんのエロ本の隠し場所は確認するようにしてる。だって間違って汚したら対変な事になるってわかってるもんな。 まあとにかく、俺は確かにまだあんまり料理はできない。 でもごはんは炊ける。目玉焼きも作れる。あとは最近父ちゃんが山芋ビニール袋に入れてばんばんするやつも教えてくれた。母ちゃんが任務で留守だとそういうちょっと手を加えれば食べられるものを作ってくれる。そのまましょうゆかけて食っても美味いし、揚げても美味い。揚げるのは駄目って言われてて、父ちゃんがやってくれる。 でも、カカシは、そういうのじゃなかった。 父ちゃんの作る適当な感じのじゃなくて、母ちゃんの料理もうっまいんだけど、すっごくうっまいいんだけど！えーっとつまり、母ちゃんみたいにすごい。 米持って川行って研いでる間に、俺が魚獲ろうとしてたら、指先ピカって光って、それを川につけて、そしたら魚が浮いてきた。 なんか、なんかすごい。魚獲るのは得意だと思ってたけど、カカシのがずっとずっとすごい。 でも、ちょっと悔しい。一緒に魚獲ったら楽しいだろうなって、カカシはほそっこいからいっぱいいっぱい食べさせなきゃって思ってたのに。 それにカカシはなにかをずーっと考え込んでるばっかりだ。目が合うとにこーって笑うけど…やっぱり母ちゃんが恐いのかな…。 上の空の割りに、魚捌くの早かったけどな。でも俺も手伝ったし、木の枝刺して、それから焼くのは一人でやった。 まあそれも俺がやるって言ったからだけど。 「ホントに？ありがとう！」 なんて言ってくれた。母ちゃんみたいに。 …まあその間にカカシは味噌汁まで作っちゃってたけどな。 一緒にできたてを食って、どれも美味くてお代わりもしたし、楽しかった。楽しかったけどなんかちょっと…負けたっていうかだな！ でもカカシは俺が食ってる間中ずーっとにこにこしてて、それにほっぺたに米粒とか魚の身とかがくっついたのを全部とってくれて、でもあんまり食べないんだよな…。 ちょっとでも元気が出たならいいんだけど。あんなに母ちゃんを恐がるのって、やっぱり誰かに何かされてるんじゃないだろうか。 カカシの父ちゃんは変な人だけど、あんなにもカカシを守ろうとしてたから、多分きっとカカシが恐い目に合ったのを知ってるんじゃないだろうか。 俺はもっと強くならなきゃいけないんだって思った。 強かったらきっと、カカシを守れる。じいちゃんにも相談したかったから、本当なら逃げる前に言っちゃえばよかったのかもしれないけど、もう起こったことはうだうだ言ってもしょうがないって父ちゃんも言ってるもんな。 「よっし！魚はカカシがいっぱいとってきてくれたから、次は薬草とかだな！」 「うん。案内するね？」 「ありがとな！」 そうと決まれば落ち込んでばかりいられない。 急いで色々集めて、母ちゃんに謝って、それからじいちゃんと作戦タイムだ。 寒いのなんて気にならなかった。いやちょっとは寒いけど、なにせカカシが一緒だ。手をつないでると不思議と暖かくなる。 薬草もあっという間に見つけちゃうカカシにちょっとまた悔しくなったけど、今度は一緒に笑ってくれたから、絶対に絶対にがんばろうって、そう思った。 ******************************************************************************** 適当。 ご意見ご感想お気軽にどうぞ。 |