告白(適当)


早朝の太陽は、それでも鋭い光を放ち、もう夏が来ているのだと教えてくれる。
今日こそは。
その決意を胸に素早く身支度を整え、家を飛び出した。
早朝のまだぬるまゆい空気と湿気すら、俺の足を止めることは出来ない。
もう既に心臓は破裂しそうに高鳴っているけれど、決意は揺らがなかった。
慰霊碑は今日も静かに里を見守るように聳え立ち、それに刻まれた名は朝日に照らされて鈍く光っている。
これまでも何度もたどったその名を今日も指で撫でる。
冷たいはずの石は、だがそこだけは温かいようにさえ思えた。いつだって。
「父ちゃん母ちゃんごめんなさい。…不祥の息子は愛に生きます!」
そう報告して、一礼して駆け出した。
アカデミー校舎裏なんてベタな所に呼び出した片恋の相手に、この思いを告げるために。
*****
あの子を…いや、あの人をずっと見つめ続ける生活も、もう十年を越えました。
何かというと慰霊碑に大声で報告にしにくる綺麗な瞳の少年。
黒い瞳を涙で飾って、それでもいつだって真剣な顔で慰霊碑の前に立っていた。
走り去るあの人に一目惚れしてからずっと、長いこと見つめ続けてきました。
今日で、きっとその思いにケリがつくはず。
「先生。リン、オビト…行って来るよ」
先に駆け出して行ったあの人に追い抜かないといけない。
あの人が指定したアカデミー校舎裏で、あの人を待つために。
*****
「あ、イルカせんせ。おはよ」
「あの!おはようございます!こんな所に呼び出してごめんなさい!」
「ん。朝の空気って綺麗でいいよねぇ。落ち着くし」
「そ、そうですね!」
「あのね?俺も先生に言いたいことがあるんだけど」
「なんですか?」
「うーん?…ね、イルカ先生の用事は?」
「うっ!えっと、その!」
「じゃあさ、一緒に言わない?」
「一緒に?」
「うん。せーので」
「そ、そうですね…!それなら、きっと…!」
「じゃ、いくよー?」
「はい!」
「せーの」
「「好きです」」
「へ?」
「ああやっと言えた。イルカ先生も言ってくれたし」
「あの、これ、ほんとに…!?」
「そ。ほんとで本気。ずっと好きです。あなたの事が」
「うわぁ…!ほ、ほんとに!?」
「イルカ先生は?…本当に?」
「勿論です!あの、ずっとずっと好きでした!付き合ってください!」
「こちらこそ」
「…へへ…!後でまた報告に行かないと…」
「そうね。…今度は、一緒に」
「え?」
「じゃ、お仕事終わったら迎えに来ますね?」
「は、はい!あの!でも!」
「これから、宜しくね?」
「はい!末永く!」
「ふふ、そうね。ずーっと」


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適当!
ストーカーに気付かない中忍はそれはもう幸せかつ濃厚な生活に浸ったとか浸らないとか。
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