くちづけ(適当)

ベッドの上で触れるだけの口づけを交わした。
かさついた自分の唇を潤すようにぺろりと舌を滑らせては行ったが、ご愛嬌程度だ。
だが…男の方から仕掛けてきたくせに、黙ってソレを受け入れる俺に驚いた顔をしている。
不思議に思っているのはこっちの方だ。
こんな状況にあってなお、俺はこの男の意図が理解できないでいるのだから。
*****
今朝、俺が受付に入ったのとほぼ同時に任務を受け取った上忍は、俺の受付業務が終了するのを待ち構えてきたように声を掛けてきた。
「イルカ先生」
俺の名を呼んで切なげに眉をしかめた男は、俺に一度伸ばしかけた手を下ろし、だがそれでも俺の前から立ち去ろうともせずに佇んでいる。
階級も、それから年齢も、そんなに変わらないとは言え上だったはずだ。
その自分を前に、どうしてこうも苦しげな顔をしているんだろうか?
自分の吐き出したため息が白くけむるのに、男の布で覆われた口元から吐き出される吐息が見えないコトに気付いて思わず手を握ると、氷のように冷え切っていて…。
で、まあ、それに騙されたというかなんと言うか。
「こんなに冷えて…一体なにやってんですか!?と、とりあえず!うち!うちで話聞きます!」
とっさに生徒ののりで連れ込んでしまったのだ。憩いの我が家に。
*****
慌てて暖房を入れて、コタツに突っ込んだ上忍に熱いお茶を出して、それでもうつむいて喋らないのを具合が悪いんだと思って、医療班を呼ぶか、それとも目立たないように火影様に式でもとぐるぐるする思考を弄んでいたら、袖を引かれた。
「イルカせんせ。あの、俺帰ります」
真っ青な顔の人間にそんなコトを言われて、はいそうですかなんていえるわけがない。
「…何言って…せめてもうちょっと温まってからにしなさい!」
一括してぎゅっと手を握ったら、男の顔が強張り、そして…。
「もうだめ、ずっと黙っていたかったのに」
「ん…っ!?んぅ!?」
口づけは深く、どこか必死で、縋りつくように俺の舌を追いかけてきて、閉ざされることなく俺を射抜く瞳の色に、男が欲情していることを知った。
「好きです…だから、ダメです。ごめんなさい。俺、帰ります」
長すぎて意識さえ遠のきそうになるほどのそれがほどかれるなり、男が逃げようとするのを捕まえたのは…俺だ。
「なんで。いまさら」
知っていた。もっと言うと待ってもいた。
男は狂おしいまでの欲望を押し隠して、瞳に宿した熾き火のようなソレを時折無自覚に俺に見せ付けて、自覚したくもない思いを自覚させて追いつめたくせに、その内にある思いを感じさせるのは痛みさえ感じそうなほどに強すぎる視線だけだったから。
男の意図が読めない。だがこのまま帰すことも出来なかった。
終わりになんてするつもりはない。…男の後ろ向きさ加減を良く知っていても容赦することなんてできない。
無言で男をコタツから引きずり出して寝室に連れ込んで、ベッドの上に座らせて、言った。
「好きってことは…つまりその、さっきみたいなことをするような意味ですか?」
いつも浴びていた背中が焦げそうな視線ほどじゃないかもしれないが、俺も視線で男に答えを強請った。
「そうです。…ね、こんなとこ連れてきてさ、なにされちゃうか分かってるの?」
そういうなり、子どもみたいに触れるだけのキスをよこしたのだ。
俺は逃げなかった。
男は…逃げようとしたのかもしれない。
だがつながれたままの手をふりはらうことすらできず、結局それから少しの躊躇いの後、俺の服に手をかけた。
「しらないから」
何がきっかけか知らないが、その呟きめいた一言は悔しげで、拗ねているようにさえ聞こえたというのに、腰ごと押し付けられた男自身は猛っている。
ためらいなど微塵も見せずに。
そのことに馬鹿馬鹿しいほど興奮して、予期せぬ潤いを与えられたのに既に乾き始めた唇を舐めた。
男の熱がそれだけのことで高まる。
…単純に嬉しいと思った。欲しいのは俺もいっしょだ。
男の服に手をかけると、冷えていたはずの肌はむしろ熱をはらんでいて、確かめるように這わせた手は途中で男に捕まった。
背に触れるシーツがひんやりと冷たくて、一瞬身がすくんだ。
だが、まあ。
投げ落とされる互いの服が奪う熱は、これからすぐに互いの体が取り戻してくれるだろう。
…男に、なにがあったのかは知らない。だがそんなのはもうどうでもいい。
「いいから、黙れ」
余計な言葉を紡ぎかけた唇をふさいで…深く深く口づけた。
互いの瞳に同じだけの熱を見て、馬鹿みたいに興奮しながら。


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適当ー。
で、その後が書ききれなかった気もしつつニーズを探るのであります。ねむい。

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