ケダモノ(適当)

「関わりたくないならそう言ってよ」
詰る台詞に背筋が震えた。
ああこんなにも、こいつは俺を求めているんだと。
様子を伺う視線に応えるように笑って見せた。
「いいから黙って、俺だけ見てろ」
面を外してあらわになった顔が一瞬だけ驚きに歪んで、それからそれを獲物を狙うけだものに気配に変えた。
縋る視線に裏切られるんじゃないかって不安と疑念を混ぜ込んだまま、男が一歩ずつ俺に近づく。
あとすこし。
あと一歩でこの男を捕まえられる。
「…うそだったら殺す」
胸元に頭を預け、その鉤爪で背を抉りながら男が睦言を呟く。
毛を逆立てて威嚇するケダモノを、やっとこの腕に閉じ込めることができた。
達成感と震える胸に、殺気混じりの気配を漂わせる体が重なって、緊張に早まる鼓動を感じた。
この狂いそうなほどの歓喜を、コイツは一生理解できないだろう。
疑り深くて飢えてるくせに意地っ張りのコイツには。
「好きにしろ。…でもそのときはお前もついてこいよ?」
俺の手にも同じ鉤爪がはめられていても、俺は傷つけたりなんかしない。
抱きしめて甘やかして、俺だけしか見ないこのケダモノを誰にも渡さないように閉じ込める。
そのために強くなったんだから。
「置いてかれるのはもういやだ」
それも知ってる。
そのせいで誰とも組まないなんて言い出したのを逆手にとってこんな所にまでもぐりこんだ。
泣き言を言いながら肋骨がへし折れそうなほど抱きしめてくるあたりがコイツらしい。
どこまでも言葉にするのが下手なんだよな。
任務なら口八丁手八丁で誤魔化して相手を煙に巻くのなんて朝飯前のくせに。
「置いてかねーよ。お前おいてったら、心配でおちおち死ねないもん」
そういった途端に手が早い男にサクサク服を剥かれて突っ込まれてたってのはまあ、ちょっと流石に予想外だったけど。
「これで、イルカは俺のだから」
なんていいながら、今までにみたことがないくらい満足げに笑ってくれたから、それでいいかってことにしておいた。
まあようは、惚れた方が負けってヤツだよな?


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適当!
ねむけにまけまくりです。
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