溶融(適当)



これの続き。
…うっかりふえましたいやんあはん!
えー…生温く適当にスルーしてやってください…!
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容赦なく照りつける太陽。
このままあぶられて焦げつきそうだ。
戦闘開始の合図は未だもたらされず、畑の真ん中にぼーっと突っ立ってどれだけたっただろう。
気配を、チャクラを抑え、熱気の中に身を置き続けることは、例え鍛えた体は耐えられても、精神的にはじわじわと疲労が溜まってくる。
闇の中に身を潜めることには慣れているが、身を隠すことも出来ずに日の光の中にあるのは苦痛だった。
…暑さではなく、自分はこんな明るい所にいていいモノではないのだから。
いっそ眠ってしまおうか。
饒舌な開発部長の話によると、この白すぎて闇に紛れることなどできなさそうな装備は、敵の仕掛けてくる術を跳ね返すらしい。
それが本当なら、多少の攻撃なら受け流せるはずだ。
敵襲に気付けないほど鈍ってもいないつもりだった。
「ま、流石にそこまでしないけど」
開発部のあの男は、武器を向けられたらどうなるかまでは言わなかった。
あれだけ余計なことまでしゃべり続けた男が言わなかった所をみると、恐らくそこまでは対応していないのだろう。
とんだ片手落ちだ。
要するに、こうして立っているしかないということに思い至り、こんな時に限って愛読書を忘れた自分を呪った。
しかたなしに地平線をぼんやり眺めながら、気配を探ることに集中した。
微かな気配がゆっくりと…いやむしろよろついているようにさえ感じられる遅さで近づいてきたのは、気配を探り続けるのにも飽きたころのことだ。
中忍、それも恐らく任務帰りだろう。まとうチャクラは穏やかだが、それはむしろ弱っているからのようだ。
自分が立つ畑にまっすぐに近づいてくるその男は、だらだらと零れ落ちる汗を拭おうともせずにふらりふらりと歩を進めている。
体温調節もままならないほどなら、ここにいたら危険だ。幸い今のうちなら逃がすことができる。
まだのろしは上がっていないのだから。
男が、うつむいて地を眺めていた顔を上げた。
ぼんやりした瞳は確かに俺の姿に気付いたと分かるのに、その瞳は何かに魅入られたように鈍り、煙っている。
見慣れぬ自分が同里とはいえ忌み、避けるべき部隊のものだと気付かぬわけでもないだろうに。
驚くでもなく、言葉を発するでもなく、歩みを止めてしまった男から滴る汗が、地に落ちてそこを色濃く染める。
まるで男の影自身が溶け出しているかのように。
闇に、飲まれてしまう。…それは、日に焼けて太陽の下にあるべきなのだろうこの男には似つかわしくない。
気付けば男の側に立っていた。
「ねぇ。どうしたの?」
「あ…」
俺を見つめていながらぼんやりと彼方を彷徨っていた瞳が、きらりと輝いた。
真っ黒な瞳。
その瞳に俺だけを映して、男がどこか切なげに眉をしかめた。
飲み込まれそうなその黒は、夜の闇よりも深く、柔らかい。…その中に全てを飲み込んでしまいそうなほどに。
ドクリと波打ったのはどちらの鼓動だったのか。
ふわりと笑った男は、一瞬、射抜くような真っ直ぐな視線で俺を見た。
「ああ、大丈夫そうね?…かえんなさい。これからここは戦場になるから」
どうやら正気を取り戻したらしい男にそう告げて、一番里に近い道へと追いやった。
しらず弛む頬は、男が俺に笑いかけたからか。
「ご武運を」
潔く身を翻し、駆け出した男の後を追いそうになる脚を叱咤した。
その姿が見えなくなり、チャクラも感じられぬほど遠くに行ってしまうのを見送って、それから…俺はやっと足元に落ちているものがあの男が落していった物だと気付いたのだ。
*****
任務は腹が立つほどあっさりと片付いた。
それからすぐに、報告を近しい部下に任せ、開発部の男の言葉通り、確かに敵の術を返して見せた服を脱ぐことさえせずに、男の家に駆けつけた。
「先輩!つけときますよ!」などと生意気なことを言う後輩すらも放置して。
「忘れ物」
そういって渡した手ぬぐいを受け取る男は、またあのときのように瞳を煙らせていた。
まだじんわりと蒸し暑いとはいえ、日の沈んだ里だ。それなのに、あの暑さに飲み込まれそうなときと同じ顔をする男に、気が付けば思いを告げていた。
「で、さ、好きなんだけど」
…驚いて、それから暑さとは別の理由で頬を朱に染めた男をじわじわと距離をつめ、愛を乞い、追い詰めるようにして手に入れた。
「はたけのカカシ…だったんですねぇ。ほんとに」
しどけない姿を隠そうともせずに嫣然と徒微笑む男は、先ほどまでの情交のせいか恐ろしいほどの色を漂わせている。
付き合えば付き合うほど健全すぎると思うのに、閨では別人のように恥じらい、乱れ、快楽に溺れる。
あの茫洋とした瞳で俺を見つめて。
「うみのイルカさんだもんねぇ?今度海にでもいってみよっか?」
海は、確かにこの人には似合いそうだ。
…似合いすぎてあの広く美しい青に溶けてしまったら困ると思うほどに。
この人の瞳に映っているのは確かに俺のはずなのに、俺の方がこの人の瞳に閉じ込められているようにさえ思える。
深すぎるその心が、俺を包んで飲み込んで、そうしていつか溶けてしまうんじゃないだろうか。
あの漆黒の中に溺れられるのだと思うと、背筋がゾクリと震えた。
「ねぇ。もっかいしよ?」
ひたひたと湧き上がる情欲に抗わずに次を強請ると、ふわりと微笑んだ男が触れるだけのキスをくれた。
それだけで蕩けそうに甘い。だがこれだけで足りるわけがない。
知らず獲物を捕らえるときの歓喜に身を沈ませ、笑っていた。
この人の全てを俺のモノにして、食らい尽くしてしまいたい。
凶暴な衝動に抗わず、瞳で男を唆した。
「カカシさん」
甘い声、溶け出しそうに潤む瞳は、極上の果実のようだ。
滴る果汁すら残さず、その全てを食い尽くされるための存在。
それが腕の中あることに歓喜した。
「ん。…おいで…?」
引き寄せられるように身を寄せた男を、捧げられたその肉を、心を…その全てを奪うためにその身に触れて、痕を残した。
きつく吸い上げた赤い印を全身に刻み込み、ほくそ笑む。
あの日から捕らわれて、だが同時に捕らえていたのだろう。
互いを食い合い、滅ぼしてしまう昔話の蛇のように。
「好き。ねぇ。全部ちょうだい?」
そう囁いて、俺の全てを食らい尽くしてしまった男に愛を強請った。
もう離れられない。
夏のあの日、俺たちは溶けて混ざりあってしまったのだから。
うっとりと微笑む男も、きっとソレを望んでいるのだろう。
だから、今は。
「全部、食って」
蕩けた瞳でそう呟く男を、欠片一つ残さず食べてしまおうと思った。


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適当!
かーかーちーしーてーんー!←どら○もん風味。
あついんだよう!あついからだよう!ぜんぶそのせいだよう!
ではではー!なにかしらつっこみだのご感想だの御気軽にどうぞー!

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