まってて(適当)

素っ裸で途方にくれた。
修業にしても、こんな寒い季節に水浴びなどしたくない。
…特にこんな状況では。
惚れてはいる。だが泊まるとなると色々ともうとっくにいい年した大人の俺たちでは、ただそれだけじゃない事情があるわけだ。
側にいるだけじゃ足りない。だからって、そう簡単に体の関係にまでいくのは難しい。
焦れていたのはお互い様だが、二の足を踏んでいた俺に「今日は泊まりますから」なんて宣言してくれた恋人から逃げるように風呂場に飛び込んだ。
「先に行ってて」なんて。
逃げ込んだはずなのにそんなコト言われたら、シャワー浴びながら追いつめられている気分になったのは確かだ。
…まさか湯沸しまで壊れるとは思わなかったが。
いつも通り高めに設定したはずの蛇口からは、凍りつくように冷たい水だけが噴出して、体はすっかり冷えてしまった。
幸い体はもう洗ってあったが、普段なら熱い湯で体を流すのが好きなだけにどうもすっきりしない。
外で待っている男のことも、だが。
そもそもいきなりすぎる。今日突然ってことになって、当然緊張もするしちょっとムカっときたのも確かだ。
そんなに急に言われて思いきれるくらいなら…俺だって欲しいのは一緒なのに。
普通に飲みに来たときと変わらなかったくせに、いきなり「したい」なんていうから。
「うがー!」
風呂場のタイルに空しく響く叫び声に、涙が出そうだ。
…多分、外で待っている人もシャワーくらいは浴びるだろう。先にって言ってたんだから恐らく確実に。
ただの友達のつもりだった時も、そういえばここで風呂なんて使わなかったな。あの人は。
そんな所にまで本気を感じて焦る。
風呂釜が壊れたくらいで諦めることはないだろう。多分いつもの不調なら、ちょっと弄れば直せるはずだ。
のろのろと風呂場の扉を開けて、ふと顔を上げるとそこにあの人が立っていた。
「…待ってて?」
掠めるようにキスをして、止める間もなく風呂場に入っていくのを止めることもできなかった。
もっと言うならいきなり生まれたままの姿を見るハメになるなんて思っても見なかったから、固まったとも言う。
気付いたら、もうとっくに水音が響いていて、シャワーを浴びているんだと分かった。
「あ…!」
慌てて止めようとした。扉を開ける勇気は持てなかったけれど。だがすぐに気付くだろうに、悲鳴をあげるどころか出てきもしない。
「カカシさん!あの、風呂壊れて…」
言い切る前に風呂場の扉が乱暴に開けられた。
「ごめん。水浴びたけどだめみたい」
さかりのついた犬じゃあるまいし。そんなしょぼくれた顔して、あんたなにやってるんだ。
そんなことも思った気がするけど、直接ふれる肌に俺の中の何かが限界を迎える方が先だったかもしれない。
「…っ!欲しいのは、アンタだけじゃない」
けんか腰のままキスをした。
そこから先は止まれるはずもなかった。
*****
…最初が風呂場だったなんて、どうなんだろうか。
ぐちゃぐちゃになってからベッドに移動して、もっとぐちゃぐちゃになって、それなのに馬鹿みたいに幸せだ。
「風呂、直さないと」
本来と違う用途で使用した体は、どこがとは言えないがしっかり不調を訴えているし、だるいし、眠いし、それに。
「ん。後でね?…もうちょっとこうしてて」
こうして隙間なくくっ付いているのは心地良い。
色々とこの人にはまだ言ってやりたいことがあるが、とりあえずは。
「…好きです」
「え!」
こんなコトまでしておいて、面食らった顔をする男を抱きしめて眠るコトにした。


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適当ー!
眠気に勝てませんでした…起きたらこんな時間…。
ではではー!なにかご意見ご感想等ございましたら、お知らせくださいませ!

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