失われた記憶4(変態さん)


「おかえりなさい…!イルカせんせ!」
若干鼻息の荒いイキモノが今日も俺を出迎えた。
これまでは一応家主である俺の後に入るくらいの配慮はできていたはずだが…まあ元々この男に常識などというものはないのだろう。
まあ何で脱いでるんだとか、脱いでる上にふりふりエプロンって何の拷問だとか色々言いたいことはある。あるんだが。
…なんでかしらないが妙にしっくりくるのだ。
きっとあれだ。この男の奇行の激しさからならこういうことをしでかしても不思議じゃないからだな。
なぜこんな気色の悪いものをみて安堵しかかっているのかってのは、深くは考えないことにした。
「おかえりじゃねぇだろう。失せろ」
とっさに追い払おうとしたんだが、うるうると瞳を潤ませてしかもそれを期待に輝かせているイキモノを、そういや今日は拷問…いや、現状を理解するためにご協力願わないとな。
とりあえず縄にしておいた。
ワイヤーでもいいんだが、あれはなんだかんだとダメージがでかい。
元々切断トラップ用のものもあるくらいだ。うっかり上忍に傷でも残して…怪我させるのは嫌ってのもあるんだが、なんだかそんなことしたら責任取れとかいいだしそうだからな。
この上忍、頭おかしいから。
「イ、イルカせんせ…!」
縄を取り出してさくさく縛り上げるつもりだった。
それがどうしてか知らないが…上忍の股間が大変なことになっている。
白い布とレースが湿ったおかげで大変お元気な状態というのがつぶさに観察でき…いや、ししたくねぇしみたくねぇしなんなんだこの地獄絵図は!
「ぎゃあ!よんな!くそ…っ!」
はぁはぁ言いながらどんどんシミが大きくなるエプロンだけの上忍。
恐怖から逃れるためにとっさに縛り上げられたから、ある意味結果オーライってやつだろうか。
「あ、あぁん!も、もっときつく…!」
いや、ダメそうか。
何で喜んでるんだよ!こいつは!
昼休みにわざわざイビキさんのところまで行って習ってきた縄抜けできないってお墨付きの縛り方だが…痛みこそあれ、こんな状態になるはずがない。
いっそ踏みつけてやりたいくらいだが、なぜか足が動かない。
でもおれはしっている。だめだ。これじゃ。でも…なにがだめなんだ?
「ぐ、う…っ!」
突如激しい頭痛に襲われて膝を着いた。
割れるように痛む頭を抱え、無様に転がった俺を、縛り上げたはずの男が抱きしめている。
ああ、眼が、赤い。
「ごめんなさいごめんなさい…!やっぱりだめぇ!我慢できない…!っていうかもう両思い確定ですもんね!こんなにもしっかりしばってくれたし!あ、愛の証ですよね…!」
さっぱり訳が分からないままに、その赤が回るのを見ていた。
急激に薄れていく意識に怯えよりも安堵を感じながら。


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変態さん。
縛ってもらえてよかったね!
ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ!

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