銀色お化け6(適当)



家に帰る普通はホッとするもんだ。
俺なんかは独り身だから、寂しさもあるが、ある意味何をしようが気にする相手がいない訳で、それなら三日連続晩飯がカップラーメンでも、掃除を適当にサボって洗濯機の中がいっぱいになってから洗おうが、誰も気にしない。
もちろんガキの頃は一人ぼっちだってのが辛かったけど、今はもう慣れた。慣れすぎてそれなりにだらけた生活を楽しめる程度には。
それが今日はもうびっくりするくらい動けなかった。
普段ならちゃっちゃと飯を食い、授業の準備なんかもしつつ、テレビをだらだらみつつ洗濯物を片付け、ゆっくりじっくり風呂に入ってさくっと寝るってのが大体の日常なのに。
飯はナニを食ったか覚えていないが一応食った。
だがそれを片付けるのも面倒で、流しに食器を放り込んで、のろのろと風呂に入ったものの、長湯する気にもなれず、結局一度座ったらそのまま居間から動けなくなってしまったのだ。
ナニやってんだ俺はと思わなくもない。だがしかし…産まれてこの方こんなに悩んだことはないと思う。
ナルトの担任になったときはそりゃ悩んだが、あの子はあの子で、腹の中の化け狐とは別のモノだ。
悪戯小僧だが、寂しがり屋のイイヤツだからな。アイツは。
そう思えばすぐにどうでもいいとまではいかないまでも、悩むのが馬鹿馬鹿しくなって今に至る。
で、今回はそう簡単にいかないんだよ!
まさに青天の霹靂。付き合った女性が片手の指でも余るというのに、どうやら無自覚に恋に落ちていた相手は同性だ。それも名前も知らない。
「うー…」
相手が会いに来てくれるのを待つしかなくて、それなのに逃げちまったし、それなのにまだ好きだ。
男相手に恋って、何の冗談だ。
「こんばんはー。あら、準備万端?」
「はぁ!?あ!こんばんは!」
うめき声を上げながら転がってるところを見られた。死ぬほど恥ずかしい。
…が、何でこの人俺んちにきちゃってんだ!?
ああそれにしても、姿を見るだけでときめき、胸の鼓動がうるさく騒ぐ。ああこりゃたしかに恋だ。恋なんて事故みたいなものだってよく言うもんな。そうだよな。
もうどうしたらいいんだ。俺は今自分が真っ赤になってる自信がある。
「照れてる?かわいー」
にやにや笑うな!かっこいいだけじゃねぇかとか言ってやりたくなるじゃないか。
「そそそそそういうわけでは!」
照れてるって言うか恥ずかしいんだよ!何もかもが!
なんでこんなに身の置き所がないほどこの人の前にいると落ち着かなくなるんだろう。我ながらどうかしてる。
「ってことは、覚悟決めてくれたの?」
「か、かくご?」
くりんと首をかしげる姿は犬にも似て、そういえばこの人猫っぽいし犬っぽいし、要はどこかケモノっぽくてそこがかわいいなぁなんて思ったりもした。
「ま、いいや。どっちにしろ貰うつもりだったから」
で、何で俺の上に乗ってるんだ?この人。
見た目は細いが意外と重い。そりゃそうか。暗部だもんな。なんて思っているうちにその暗部装束が無造作に脱ぎ捨てられていった。
うお!すげぇ筋肉!鍛えてんだなぁ。…俺ももうちょっと修行しないと駄目だ…!
思わずあせりを覚えるほど、その肉体は見事だった。あんなに綺麗な顔してるのに、脱いだらこれって詐欺じゃないのか。 「あの、重いです」
とりあえずもっと見たいが重いのでどけて欲しいと訴えたら、にこやかに腕をつかまれてしまった。ついでにそのまま畳に押し付けられたら、見事に動きを封じられている。
なんだこれ?え?え?
「…あんた人気あるんだもん。それにあぶなっかしくてほっとけない」
「え?え?え?」
綺麗な顔が近づく。重なった唇からはうす甘いイチゴの香りがして、この人がさっきまであの飴を舐めていたらしいことを知った。
なんとなく嬉しくなってにこっと笑ってみたんだが、向こうもにこっと笑ってくれて…。
そして。
「じゃ、いっぱい気持ちよくしてあげるね?」
その笑顔がどこかケダモノ染みた光を宿していることに気づいたときには、手遅れだった訳だ。
*****
混乱のあまりぼんやりしている間にあっという間に剥かれて舐められて突っ込まれて、きづけばあんあん鳴かされていたってのは…ある意味俺らしいというかなんと言うか。
「え、えーっと!?」
今日は丁度ハロウィンだなぁとか、そういや飴玉上げたのに悪戯された…のか。これは。
「寝てなさいって。ちょっと無理させちゃったし。流石にもう今日はしないであげる。でも慣れるまで毎日しようね?」
「あの、でも、その!?」
さっぱり話がわからないんだが、とりあえず先ほどまで本来と違う用途に使われていた箇所に指を這わせるのはやめて貰いたい。
違和感が残るソコは、触れられるだけで恐ろしいほどの快感の記憶を連れてきて、俺を戸惑わせる。
あんなの!俺じゃねぇ!いや俺だけどそんな…!
「餌付けされちゃったから、末永く宜しくねー?」
甘い囁きに湧き上がるのは混乱と幸福感。
なんかおかしいと思う。思うのだが。
「末永く宜しくお願いします!」
もらえるものならもらっとけ根性を爆発させた俺が、そのあと驚いた顔をした男に再度組み敷かれたのは、どうやら自業自得といわれる類の話らしい。


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適当。
はろうぃんなのでちっとれんさい?
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