廃屋(適当)

深夜の廃墟なんて、任務じゃなきゃ行かない。
こういった所ではかつてここにあったモノたちの念でも凝っているのか、たちの悪いものが湧くことが多い。
化け物を相手にするのは面倒だ。あいつらには理屈が通じない。まあ人間にも通じないのは山ほどいるんだけどな。
術も人間相手のものでは追払えないこともあると聞くし、俺としては係わり合いになりたくもない。
九尾を滅ぼすために一時期そういった書物に傾倒したことがあったとしても、だ。
かつての欠片だけを残して荒れ果てた建造物たちは、それでもどこか退廃的な美をやどしている。
何故か俺はとある男の姿を思いだしていた。
どちらかというとその人自体が人間離れした強さを誇っているし、化け物でもなんでもさくっと追払えてしまいそうなのに、どこか現実離れした雰囲気の人だ。
気配の薄さのせいだろうか。
上忍ならばだれしもがそうである通り、あの人も常に気配を消している。
里にいるとき、それも子どもたちを相手にするときは控えめながらある程度気配を発しているようだが、任務で同行したら、きっと俺など気付くこともできないだろう。
「あとはまあ、白っぽいからかな」
我ながらいい加減すぎる理由だ。
確かに抜けるように色が白く、瞳の色彩も人形のように作り物めいた印象さえ受ける。
ただし、黙っていればだが。
「…なんでこういうことするんですか…」
溜息交じりの質問に、くすくすと笑う声が答えた。
「だって、イルカ先生がいなかったから?」
隣に立ち並ぶだけならまだいい。だが無言で手を繋ぐことはないだろうに。
ちょっと驚いたが、流石にすぐに気付いた。
…ついでにこの手がしでかした不埒な行為にまで思いいたり、冷静さを手放しかけたがそれはそれだ。
一応、俺も中忍だし。
「ついてきちゃったんなら手伝いなさい!」
「はーい!」
良い子の返事をして手を繋いだままの男を引きずるように歩き出した。
ここを根城にしている野党が戻るまで、あと少し。
…それまでこの見た目だけは儚げな男を、大人しくさせておかなくては。
こんな所で行為に及ばれるのも、ソレを目撃されるのもごめんだ。例えこれから始末するにしても。
「ったくもう…!…っ!?」
苛立ち混じりの悪態を掠め取るように男が唇を攫っていった。酷く、楽しげに。
「月夜のデートなんてステキですね?」
脳に虫でもわいたんじゃないかとさえ思わされるが、まあ、たまには。
「たまになら、悪くないよな」
「ふふ…そうでしょ?」
…そしてまた俺は己がうっかりとこの男の策に嵌ったと後で公開するコトになるんだが、それはそれでそれこそ、俺の精神安定のためにも。
まあイイかってコトにしておいた。


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適当ー!
神様に文才欲しいとオネダリする今日この頃…。
ではではー!なにかご意見ご感想等ございましたら、お知らせくださいませ!

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