五月祭の準備（子イルカ）

「ふー！やっと出てきたな！」
「うわっ！コライルカ！ホコリだらけなんだから不用意に払うな！飛び散るだろ！」
「さすがカカシだなぁ！見事なかあちゃんぶり！」
「アホか！いいからとっとと運ぶぞ！」
「おうよ！…久しぶりだなぁ…。」
「…そういえば、どうしてこんな物奥の…しかも奥の方にしまってあったんだ？」
「前に言わなかったっけ？こいつ夜中に暴れるから五月蝿くてさ！かあちゃんが怒ってしまっちゃったんだ！」
「鎧が暴れるって…お前のおやじさんまた妙な術でもかけたのか！？」
「んー？どうだろう？多分本物が憑いてるんじゃないかなぁ？」
「なんだ？本物？付いてる？」
「まあいいから飾っとこうぜ！今年はちゃんとお札も用意したし！」
「良く分からん術はかけるなよ！三代目関係の書物に載ってた札は使用禁止だからな！」
「おうともさ！」
「…本当に分かってんのか…？」
「大丈夫だって！心配しなくても飯はちゃんと作るから！！！」
「違うっていってるだろうが！」
「よーし運ぶぞ！！！」
「はぁ…。」
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「お前の親父さんの買ってきたのって…本当に本物の鎧だな。」
「勿論だぜ！っていっても、なんかのろわれそうだけどな！」
「何か古そうだし…こんなもん子どもに与えるなよ…。どう考えても五月人形じゃないだろ？」
「うーん？とおちゃんはコイツのことよろっちって言ってた気がするけど…？」
「…もう何でもいいか…。次はこいのぼりだな。」
「スペシャルとエクセレントとブリリアントのどれがいい？」
「そんな選択肢はいらん！普通のをよこせ！！！」
「えー？赤いのと黒いのだけじゃつまんないだろ？」
「つまらなくない！どうせまたキラキラしたのとかつけたんだろ！」
「ちっちっちっ…そんな甘いもんじゃないぜ！」
「わー！？なにやらかした！？」
「コレを見ろ！1/10スケールスペシャルこいのぼり君一号だ！」
「見た目は…割と普通か…？」
「見てろよー！まず…飛ぶ！泳ぐ！」
「おお！ホントだ！…術か…？」
「でもって…自由自在に動き回るが故の美しさがご堪能いただけるぜ！！！」
「お前…確か鎧も動き回るって言ってただろ！変な術は止めろとあれほど…」
「こっちはじいちゃんちで見た術の応用だけど、あっちの動力は多分なんかもっとこう…情熱っていうか？」
「なんでもいいから普通のを出しなさい！」
「…それがさあ。」
「どうした？」
「試作品にちょっと使ったら自由自在に動き回りすぎてお出かけから帰ってこないんだよなぁ…？」
「ダメだろそれじゃ！探して来い！」
「鯉だけに？」
「くだらないこと言ってないでさっさとやれ！」
「はーい！…ますますかあちゃんらしくなるなぁ…！」
「はぁ…どうしてこの程度のことでAランク任務より疲労しなきゃいけないんだ…！！！」

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情操教育の一環として、季節の行事を一生懸命行うのに空回りしがちなカカチ。
因みにその夜怨嗟の言葉を吐きながら動き回る五月人形？（よろっち）に襲われたカカチは、色々とイルカに無駄な説教をしたとかしないとか…。