解毒剤の効かない病(毒暗部)



「ふぃー!食った食った!」
「ふぅん」
「うっし!後は俺がやるからお前もう寝ろ」
「んー?」
「んー?じゃなくて、ね!ろ!」
「えー?」
「…だからえーでもねぇよ…。しれっとした顔しやがって!怪我してんだからとっとと寝て治さないと駄目だろ!大人しく寝るなら黙ってようと思ってたけど、無茶するんじゃねぇ!」
「えー?怪我って言ってもかすり傷よ?」
「かすり傷でも毒食らってんじゃねぇか馬鹿野郎!それなのに飯用意して待ってるし…!そういうときはその!俺が一応自信はないが頑張るか…うー…その、買ってくるから黙って寝てなきゃ駄目だろ!」
「えー?だって効かないし?」
「…致死量ギリギリ食らっといて何言ってんだ…!耐性あってもどうなるかわかんないだろうが!」
「だってもっと一杯食らったことあるし?」
「なんだと!?食らわないように気をつけろっつーかなんつーか…!うぅ…!」
「…泣かないで?」
「なかっ…せてんのは誰だと思ってやがる…!」
「はいはい。俺だね。ヘマしでかしたんだよねぇ?ごめん」
「…うるせぇ。変なとこさわんな…」
「んー。だって久しぶりだし」
「部下の人に途中で会った」
「へー?それでか。余計なことを」
「余計じゃねぇ!庇ってもらったせいでって泣いてたぞ!そりゃお前が怪我したのは…その、あれだけど、あの人庇ったんだろ?それでちゃんと帰ってきたからいいんだ」
「ふぅん?」
「だから、その…!おつかれさま。ありがとうな」
「…片付けは明日俺がやるね?」
「は?」
「毒抜き済ませといてよかったー」
「え?わぁ!おい!怪我人が重いもん持つんじゃねぇ!っていうか俺は荷物じゃ…ぎゃあ!」
「あら可愛い悲鳴―」
「かわいくねぇ!なにすんだ!後寝るのはお前で俺は片付けと明日の準備が…!」
「ん。じゃ、そっちも明日で」
「脱がすな!」
「よいしょっと」
「脱ぐなー!」
「着てヤってもいいけど、今日はイルカに触りたいんだもん」
「なんだよそれ!」
「ん…イルカの匂い」
「…うぅ…怪我は、他になさそうだけど…無茶するんじゃねぇ…!」
「ん。無茶はしないよー?イルカに遭いたくて死にそうだったのよね」
「わぁ!こら!んん!」
「今日は何回できるか挑戦してみようかなー?」
「しない!しないぞ!」
「ん。イルカは可愛く啼いて喘いでくれればそれでいいから」
「なんだそ…んぐ!んあ!こらまっ…ぁ!」
「いただきまーす」
*****
「心配してもらうのって、興奮するねぇ?」
「はひ」
「かわいいんだけど泣くし、怒るし、でも寝ぼけてくっついてくるし」
「ははははひ」
「幸せそうに涎たらしながらにへーって笑うのよね」
「そ、ですか」
「ああいう顔は嫌いじゃないけど、心配させると弱るじゃない?」
「うっうう…」
「だからお仕置き」
「ひいいいい!」
「しぇんぱい!なんでそんなやつに!むしろ僕が!」
「すみません隊長!テンゾウが逃走を…いたぞ!」
「怪我をしたと聞いて錯乱しまして…申し訳ありません!」
「ん。いーよ。コイツにはちゃーんとイルカみたら逃げるように幻術掛けといたから。あとテンゾウは…まだ治ってないのね」
「…そうです、ね」
「あー…その。我々もその、努力はしているつもりですが…」
「ま、いいや。イルカが待ってるから帰るね?」
「は、はい!」
「しぇんぱい!お大事になさってください…!」
「お前はもう黙ってろ!」
「じゃーねー」
「しぇんぱい…!」
「…俺、もう暗部やめたい」
「俺もだ…」


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毒暗部。
連載もそもそふやしつつシリーズモノ祭りにしようかどうしようか。
ご意見ご感想お気軽にどうぞ。

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