おいかけっこ12(適当)



カカシの家はやっぱりすごかった。おもしろいっていうのは本当だった。
隠し扉とか隠し部屋とか、それ以外にも見たことない忍具とかきらきらした石…えーっと鉱石とかいうのとか、地脈の読み方の本とか、薬草の特徴とか、あとじいちゃんちにあるエロ本っぽいけどなんか違う一杯書いてある本とかもあったし、あと時空間忍術っていうのが書いてあるのもあってなんかすごかった。
すごい。ホントにすごい!わかんないのが多いけど、なんかすごい!
「カカシ!これは?こっちも!」
他の本と違って、印刷っぽくないから、誰かが直接書いたんだと思う。
父ちゃんがあんまり見せてくれない本棚にもそういうのが入ってるから、手書きの本もあるっていうのは知ってたけど、俺の前にある本棚の殆どがそういうのだ。
字は、いっぱいいっぱい練習した。起爆札とかを書けないと、戦場で味方を守れないって母ちゃんがいうから、一生懸命。
本もたくさん読むと、一杯いろんな事がわかるって母ちゃんがいつもたくさん本を見せてくれる。
難しい字はへたくそかもしれないけど、最近は不発じゃないのも書けるようになった。
でもこんな量は書いてない。本棚一個丸々、同じ字の本ばっかりだ。
誰かがいっぱい手で書いて、それから本にしたってことだから、それってすごいよな?
じいちゃんもいっぱい書いてて、時々変な術とか教えてくれるけど、じいちゃんはじいちゃんだから一杯長い時間生きてて、だから書く時間も一杯あったと思うんだよな。
この本を一杯書いたじいちゃんは、カカシのじいちゃんなんだろうか。
「え?あ、それはね。岩の国の忍術をまとめたヤツ。…だと思う。灰色の装丁のは確か岩の国関連のだから。俺も全部読んだけどおもしろいよ!」
「へー?えーっと。あ。これとか、すごい…!」
町を岩壁の中に閉じ込めて押しつぶすって…それってさ、どんくらいでっかいんだろう。他にも地中に含まれてる鉱物を結晶化させるとか、良くわかんないけどすごそうなのが一杯あった。
「いつでもおいでよ!一緒に覚えたら楽しいと思わない?」
「うん!」
勢い良く頷きすぎて首が痛くなった時に気がついた。
だめじゃん。だってそれじゃ約束破っちゃうんだった!
「あ、でもさ。父ちゃんがアカデミーに上がるまでは父ちゃんか母ちゃんが一緒じゃないとこで忍術使っちゃ駄目って…」
カカシと一緒に勉強できたら楽しいだろうなって思うんだ。
最近父ちゃんと母ちゃんに任務が一杯振り分けられてるみたいで、一人で待ってると心配だからってじいちゃんちにいる事が多いし、そういえばそこで変な兄ちゃんにもあったけど、なんかその人も忙しいみたいだった。
「んーっとさ。それって、忍術を使える人が側にいればいいんじゃない?暴走しても俺なら止められるよ?」
「…そ、そうかな?」
確かにカカシはすごい。ちょっと魚追いかけすぎてすっころびかけたときも、なんか印を組んでふわって。風遁だと思うけど印が早すぎて見えなかった。
ってことはさ、いい、よな?だってこれとかすっごくおもしろそうなんだよ!
父ちゃんに使って見せたら驚いてくれるんじゃないかなぁ!
母ちゃんに使ったら…うん。多分怒られるな…。こっそりならいいかな…?
ぐらつき始めた俺の後押しをするみたいに、カカシが笑った。
「いろんな術を使えた方が、実戦で役に立つよ?」
そう。俺は早く任務に出たいんだ。母ちゃんと父ちゃんと一緒に戦いたい。里を守りたい。
でも父ちゃんと母ちゃんは、ガキの時代はガキの頃しかないんだからゆっくりじっくり勉強しろとかさ、急いでいい加減になるより、基礎から学びなさいとか言うんだよな…。
でもさ、でもさ。今からやっとけばさ、練習だって一杯できる。せいちょうきはチャクラが不安定とか言うけど、せいちょうきって長いっていうじゃん。そんなの待ってられない。
「カカシ!俺にも教えて!」
「うん!」
前のめりになって詰め寄ったのに、カカシはニコニコ笑って俺の両手を捕まえた。

「一緒にやってみよう?」

なんだかすごく嬉しそうで、それで俺も嬉しくて、だってさっきまでカカシの父ちゃん泣いてたし、カカシもなんかちょっと変だったし。
がんばろうと思った。
言われた通りに呼吸を合わせて、チャクラを練り合わせる。
カカシの方にひっぱられるような感じがして、頭がくらくらした。
変だ。なんだろう。なんか、熱い?
途中でへたり込んだ俺を寝かせて、その上に乗りかかるみたいにしてカカシがすごい速さで印を組んでいく。
きれいだなぁ。やっぱりカカシはすごい。俺だってこんな風になりたい。だからがんばるんだ。
「イルカ」
「カカ、シ…?」
甘ったるい声。なんだよ。また寂しいとかなら遠慮しなくていいのに。
いっつもこうやってくっついてくるよなぁ?
それにしても顔が近い。近すぎる。
カカシの息が顔に掛かって、生暖かいって言うか。
なんだ?どうしたんだ?もしかしてカカシも具合悪いのか?
視界一杯にカカシの顔が広がって、ちょっとぼやけるくらい近くにガラス玉みたいにきれいな瞳が間近にある。
ふにっと、やわらかいものが唇にくっついた。
「ななななな!なんだよ!今の!今のって…!」
ちゅーだ。それは知ってる。っていうか赤ちゃんができる。どうしたらいいんだ!?
頭がぐらぐらするのになんて構ってられない。急いで止めないと!
「イルカ。好き」
胸元にぺったり顔をくっつけて、とんでもなくのんきなことを言ってるけど、一大事だ。
「カカシ!い、いいい今のは、普通はおよめさんになるひとにするんだぞ!簡単にしちゃだめなんだ!」
父ちゃんも母ちゃんと結婚したいと思ったときにしたって言ってたもんな!
だからその、つまり。
「お嫁さん?」
「そ、そうだ!あかちゃんできちゃったらどうするんだ!」
じいちゃんの本にもそういうのが…ちゃんと読んだ事ないけど!ちゅーとかしちゃうと赤ちゃんがどっかからきちゃうんだ。
カカシは何にも知らないに違いない。赤ちゃんは子どもじゃ育てられないから、ちゃんと色々できるようになってからじゃないと作っちゃいけないのに!
カカシの母ちゃんは随分ちっちゃいときにいなくなっちゃったみたいだから、まだ教えてくれてなかったのかもしれない。
俺も教わったのって最近だもんな…。
カカシの父ちゃんは…なんかちょっと変わった人みたいだし、そういうのを知らなかったんじゃないのか?もしかして。
「赤ちゃんかぁ。イルカの血が入ってたらかわいいよね。きっと。…産んでくれるの?」
「だーかーら!いいか?お母さんになれるのは女の人だけなんだぞ?」
何にも知らないんだなカカシは!全くもう!おっぱいでないのに赤ちゃんがきちゃったらどうすんだ!
ぷりぷり怒ってみたものの、相変わらず体は不安定で視界も揺らぎ始めている。
でも、だめだ。止めないと。カカシがあかちゃんまみれになってしまう。
「ねぇ。子ども欲しい?」
「え?あ、だってでっかくなったらお嫁さんもらって子ども…」
そうだ。でっかくなってからじゃないとな!父ちゃんの背丈を追い越してからくらいじゃないと駄目なんだ。カカシの父ちゃんは俺の父ちゃんよりちょっとでっかい気がするから、多分俺よりずっとずっと先だ。
とにかく今じゃ駄目なのは確実だ。
「ま、俺が産んでもいいし。どっちでもいいよね?イルカが望むなら何でも叶えてあげる」
「…なんだよそれ。俺は自分で…!」
上手くいえなかったけど、ものすごく腹がたった。
俺は!自分で!えーっと忍者になったり父ちゃんになったり、後できれば暗部とかになったりもするんだ!
カカシよりチビで何にも出来ないけど、今はまだ。
「うん。そういうとこかっこいいよね」
「かっかっこいい、か?へへ!」
カカシの方が多分かっこいい…っていうか綺麗だと思うんだけどなぁ。でもかっこいいって言われると気分が良かった。だって、カカシが言ってくれたから。いろんなこと知ってて、すごいやつに言われると素直に嬉しい。
「うん。大好き」
…カカシは、なんかこういとこ恥ずかしいヤツだよな。
好きとかそういうのは、はっきりキッパリ伝えるべきだって思うけど、こういう風にさら―っといっちゃうのはどうなんだろう。
なんかどきどきするし、落ち着かなくなる。今はなんかぐるぐるしてるからもっとだ。
カカシの馬鹿。赤ちゃんとかもそうだし、変な事するし!もうもう!なにやってんだよ!
「カカシ。えっとさ、俺もカカシのこと…んっ!?」
さっきと違う。口と口がくっついてるのは一緒だけど、なんかぬるってする。これは、舌か?なんだ?なんか息ができない。くっついた所が熱い。
カカシが、また印を組む。熱い。熱い。…ええと、なんだこれ?
「ふえ、あ?え…?なんか、あつ、い…?」
「ん。まだちっちゃいから無理かな?でも気持ちイイでしょ?」
気持ちイイ?なんかよくわかんないけど、変だ。ふわふわするのにあつくて、体の奥がおかしい。
「あつ、あ?あれ?え?」
「うん。大好き。イルカ」
カカシが、また口をくっつけてきた。今度はさっきみたいのじゃないけど、でもおかしくなった体は馬鹿みたいにビクビク震えて、自分でもどうしようもできなくて。
まわる。てんじょうが?カカシが?俺が?
なんだろう。でも、わかっていることがある。
もうだめだ。
視界の端が勝手に黒くなって、眠いときと似てるけど、まるで違う。もう起きていられない。
「これで、俺の」
にっこり本で読んだ天使みたいに笑うから、俺もなんだか嬉しくなってわらった。気がする。


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適当。
やらかしました。
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