おいかけっこ20(適当)



両手に余るほどの収穫に、俺としてはほっくほくだ。
母ちゃんが目をむいて驚くような珍しいのを見つけたんだよな!しかも俺が!
カカシがすっごく驚いてすごいすごい言ってくれたから、さっきまで落ち込んでいた気分なんて吹っ飛んだ。
…なんか、ホント弟ができたみたいだ。もっとずっとチビの頃、母ちゃんに兄ちゃんと姉ちゃんと妹と弟が欲しいって喚いて駄々捏ねて、父ちゃんが兄ちゃんと姉ちゃんは無理だけど下はがんばるって言ってくれたことがあったっけ。
まあ容赦なく母ちゃんにぶん殴られてたけど。笑顔で怒ってる母ちゃんの技の切れはすごいかんなー?
早く出来ないかなー?ってしばらく騒いで母ちゃんを困らせたっけ。その頃は馬鹿だったから、俺より先に生まれてないと兄ちゃんと姉ちゃんは無理って当たりにきづいてなかったからなぁ。
今は、まあカカシがいるからどっちでもいいような気がしてきたけど。
「これだけあれば大丈夫かな?」
「そうだな!俺が薬草袋とか持つから、そっちの頼む」
秘密兵器買い物袋をちゃんとポッケに入れておいたから、そこに一杯薬草とかをつめておいた。結構重いけど、それが収穫の重さだと思うと全然気にならなかった。
全部持とうとしたらカカシが泣きそうな顔で俺も持つって言ってくれたから、釣った魚を血抜きしたのはカカシに持ってもらったし、これで後は帰るだけ。
「行こうぜ!」
カカシの方を振り返ったら、木陰から笑顔全開の怪しげな兄ちゃんが出てきた。
全然気がつかなかった。気配もチャクラもまるで感じない。
…っていうかさ、ここで出くわすってことは…!
「カカシくーん!いたいた!もう!オイタは駄目でしょ!」
「先生…」
「え!」
黄色い頭の人はみたことがあった。最近よくじいちゃんとこで見かける人だ。
派手っていうかさ。こういうのなんていうか俺知ってる。
ハンサム?イケメン?ってやつだ。父ちゃんはこういう人がテレビにでてるのをみて、けいはくなれんちゅうっていってたりもする。
かっこいいんだと思うんだけど…実はちょっと苦手だった。
なんかさぁ。じっろじろ見るんだよ。俺を。
確かに執務室でお茶飲んでるときに発見されちゃうと、じいちゃんの孫かって聞かれたり、怪しいヤツと思われたりすることもあるんだけどさ。
この人の場合はそういうんじゃなくて。うーん?なんていうんだろ。ねぶみするみたい?な感じだ。
なんかやだなーって思って、でもじいちゃんとは中がいいみたいだったから我慢した。
今、カカシが先生って言ったってことは、この変な人ってカカシの先生なのか。
…カカシの周りって変な大人が多すぎる気がする。カカシの父ちゃんにはじまって、先生まで変てこだなんて、カカシがかわいそうだ。
きっとそのせいで一杯苦労しているに違いない。頼れる人もいなくて、だから俺に声を…。
あ、なんか涙出てきた。
「先生。イルカに手出しするなら先生でも」
「え?え?待てよカカシ!」
いきなりのけんか腰だ。あの母ちゃんにも怯えるばっかりだったのに…!カカシは結構無茶するヤツだよな…。
慌てて袖を引いて、小声で訴えた。
「この人ちょっと変だから逃げた方がいいって!」
「それはそうなんだけど、逃げても無駄って言うか…」
…よっぽど恐い目に合ったんだな…。カカシがかわいそうだ。
「大丈夫だって任せとけ!」
カカシは恐い目にあってばっかりだから、俺が守らないと。
キッと見上げると、蕩けんばかりに嬉しそうに笑っていた。
うん。やっぱり変なヤツ確定だ。
「いやぁ。かーわいいねー!さっすがカカシ君!」
「カカシに何すんだ!さわるな!」
威嚇しつついつもポッケに仕舞いこんであるじいちゃん特製煙球を捜した。
これを使えば目潰しになるし、あとじいちゃんの猿が来てくれるっいう優れものだ。
そこで気がついた。
俺、着替えちゃってたじゃん。病院の服に隠しポッケなんてないじゃないか。
うわー!どうしよう!?とりあえずなにがあってもカカシは守る!
ちょっと涙目になりつつもう一度睨みつけたら、カカシが俺の手を握ってきた。
「大丈夫。…確かにちょっと変わってるけど、俺の先生なんだ。協力してくださるんですよね?」
あ、れ?なんか、なんだろう。今のカカシちょっと恐かった。
笑ってるのに。すっごくいい笑顔のはずなのに、どうして。
「そうだね。…でもちょっとだけお仕置きは覚悟しておきなさい」
メッなんて、本当に言う人はじめてみた…。
味方なのかな?とりあえずの所は。
「カカシ。カカシは大丈夫なのか?」
「うん」
口ではそういうけど、くっついてきたから不安なんだろうな。
なんていうかさ、闇雲に守りたくなる。
「じゃ、一旦帰るよー!捕まっててね!」
「へ?」
「ちょっ!先生!」
ひょいッと一塊に持ち上げられて、思わずお互い抱きついちゃったらそのまま…そのままぐにゃんって世界が歪んだ。
頭がぐるぐるする。なんだこれなんだこれなんだこれ!?
カカシをぎゅうぎゅうに抱きしめて、ぐるぐう視界は気持ち悪かったけど、一生懸命目を凝らした。
随分長い気がしたけど、多分、本当は一瞬だったんだと思う。
「じいちゃんの部屋だ!」
あの引き出しにおやつ隠し持ってるんだよな!その下はエロ本で、その下には…って、ちょっと待って!なにやってんの!アレカカシの父ちゃんだよな!?
「父さん…止めなきゃ」
「うーん?ぎりぎりセーフだね!」
「なにのんきなこと言ってんだよ!カカシの父ちゃんが!」
じいちゃんにキラキラ光る忍刀を突きつけている。危ないじゃないか!
「ちゃんばらごっこみたいなものだから大丈夫だよ!」
うそ臭いことを言って、金髪の兄ちゃんが嬉しそうにしている。
なんか、うそ臭いけどじいちゃん危ないんじゃないならいいかな…でもあの刀ホンモノっぽいからやっぱり止めなきゃ。
「じいちゃーん!」
叫んだ瞬間、ずるっとなにかを突き破る感触がして、さっきまで見ていた空間が目の前に広がっていた。


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適当。
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