独占欲7(適当)




これの続き。 



「おはよ」
「うん…?え!」
起き抜けの寝ぼけた顔が一瞬で驚愕に取って代わった。
残念。もうちょっと見ていたかったのに。
すぎた快感にやつれ、力なく横たわる体は俺の匂いで一杯で、縋る腕は眠りに落ちても離されることはなかった。
ゆっくりとまぶたが開いたときは、潤んだ瞳にこのまま襲ってしまおうか迷ったほどだ。
でも流石にまずいでしょ。だまし討ちのように浚ってきてからお茶の一杯も飲んでいない。食事抜きで即倒れるようなやわな忍はいないけど、流石にコレだけ激しくヤったら、限界が来てもおかしくはない。
「ごはんにする?お風呂にする?それとも俺?」
茶化してみたのは、交じり合う快感に喘ぎながら、時折酷く怯えていたこの人の事が心配だったからだ。
一応それなりの後始末はしたけど、すっかり正気を手放したこの人が何度も何度も強請ってくれたから、風呂には入った方がいいだろう。食事も勿論必要だ。
本音で言えばもう一度所かいくらだってできるけどね?
世話だっていくらだって焼きたい。
いっそ飼ってしまいたいくらいなんだから。
でも。この人を手に入れて、少なくとも体だけでも俺のモノにしたから。
何にこんなに怯えているのか分かるまではちょっと待って上げようかななんてらしくないことを思ったわけだ。
めくるめく一夜をコレで終わりにするつもりはない。
これからいくらでも何度でも、いちゃいちゃしたいしくっつきたいし、閉じ込めちゃうなんて最高だと思う。
この人だってそう言った途端、酷く嬉しそうに俺を強請ってくれた。
最高の一夜って、こういうことを言うのかもしれない。
…明らかに様子がおかしかったことを除けば。
ま、あんなに苦しそうじゃなければ、付け込む隙は多いほうがいいんだけどね。
好きな人には笑ってて欲しいし、俺だけを見て欲しいし、悩んでるのも悪くはないけど、逃がすつもりはないんだよねぇ?
「…俺、帰ります」
ほら、やっぱりこんな事を言う。
あれだけやって俺の匂いも形も覚えこませたんだから、そう簡単に逃がしたりしない。
「お風呂が先にしちゃおうかなー?」
「え!あの!」
驚いてる。目を見開いて怯える顔もたまらなくそそった。
「歩けないでしょ?ま、歩けても出しませんが」
「…だめです」
怯え以外にこの人の瞳を掠めるそれがなんなのか、早く知りたい。
「そ?じゃ、俺?」
即否定されると思った。
普段からこの手の冗談にも、すぐに怒り出す人だったから。
今思えばそれもきっと、この人の闇に関わっているんだろう。
「あ…」
欲望がその瞳を満たす。飢えたケモノのように貪婪な光を帯びて、食い入るように見つめる視線。
その先にあるのが俺なら、それは心地良いものでしかない。
「じゃ、お風呂で俺にして、それからご飯ね?」
「駄目です…!俺は」
「駄目じゃないですよー?俺はあなたのモノで、あなたも俺のモノですから」
元々酷使した体だ。弱弱しい抵抗は、はっきりとその力をなくした。
「帰りたくなくなったらどうすればいいんだ…」
小さく小さく呟いた言葉にほくそ笑んだ。
そんなの決まってる。
「離さないから。これからずーっと」


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適当。
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