独占欲3(適当)




これの続き。 



「ここ」
「ん、俺の家です」
ぼんやりしてるからいけるかなーと思ったら、本当にすんなり連れ込めてしまった。
ここは俺のテリトリー。
武器は勿論のこと、この人を手に入れるのに役立ちそうなもので溢れている。
作戦決行前に色々下準備もしたし、さりげなく結界も張った。
…コレでこの人は逃げられない。
ま、いきなりやっちゃうかどうかは流石に様子をみてからにするけど。
雰囲気作りって大事よね?
「お、お邪魔します」
「はいどーぞ。お茶でもだしますから座って?」
んー?緊張しまくり。ま、そりゃそうか。
いきなり同性に告白された挙句に、畳み掛けるように口説いて連れ込んだ自覚はある。
状況を受け入れることができていないに違いない。
この人にとって、多分告白なんていう行為自体が恐怖の対象みたいだし?
怯える位強い独占欲なんて、嬉しいだけでしょ?
なんであんなに怯えてたのかわからないけど、この人が何を考えているのか知りたい。
この人の全部を知ることが出来たらいいのになんて考えてる時点で、俺の方がずっとたちが悪いのかもしれない。
初恋、なのかも。これが。
制御できない感情ってのをはじめて味わって、舞い上がっている。
それに一々かわいいんだもん。この人。
「あ、ふかふか」
俺とそうたいしてかわらない大きな体を、縮めるみたいにして座っている。
でもソファが珍しいのかなんなのか、ぽろっと零した一言がまたツボにはまった。
何でこの人こんなにかわいいんだろう。
「ふかふかですよー?何ならねっころがってみる?」
ちょっとした不埒な目論見もあってからかってみたら、少しだけ様子がおかしいことに気がついた。
じーっとソファを見つめている。手触りを確かめるように撫でながら。
「あ、いえ!いいソファですね」
焦った様に笑ってはくれたけど…んー?これ。もしかして。
「いいソファでしょ?いつでも俺の家にきたらいつでもそれに座れますよ。寝てもいいし」
ま、どうせならもっと他の事に使いたいけど。
今だってこのまま押し倒したいくらいだし?
流石に最初は寝室がいいでしょ。この人、全然そういうの経験なさそうだし。
教え子の女体変化で鼻血吹いちゃう教師って聞いたときは、流石にどうなのって思ったけど、本人をみたら納得した。
この人は誰にでも優しい。…おかげで女たちは誰もそういう目でみないらしい。その優しさに惹かれる女がいても、この人の鈍さに耐えられなくなるんだとか。
俺みたいに押してみればよかったのにねぇ?この人は確かに鈍い所があるけど、他人の感情の変化には敏い。
本気だとわかっているからこそ逃げたに違いないのに。
俺にとっては好都合だけど。
誰もこの人の良さに気づいていないなら、そのチャンスを逃がすわけがない。
「イルカせんせ?」
「あ、いえ!大丈夫です!なんでもありません!」
焦ったように頭を振った人の手は、握り締めすぎたせいで白っぽくみえる。
これ、俺に緊張してるだけじゃなさそう。
さて、どうするか。ま、食っちゃうのは確定なんだけど。
「緑茶とコーヒーと紅茶くらいならあるけど、どれがいーい?」
「あ、あの、はい!なんでも…!」
この怯えきった人をなんとかしたい。俺に怯えてるんじゃないと信じたい。
「ん。じゃ、ちょっと待ってて」
キッチンに引っ込んでる間も気配を探ることは忘れない。
…ソファをやたら気にしてるみたいだけど、どうせならいっそやり倒して訳がわからなくなってから聞いてみるかな。
湯が沸くのが待ち遠しい。…あの人の体に触れられるのが待ち遠しい。
はやく。はやく。そうしたら。
全部を暴いてそれごと俺のものだと叫ぶことが出来るのに。
ため息をついたら、ソファの上からも同じようにため息が聞こえた。
そんなことが嬉しくてたまらない。
はやく。はやく。
やかんを見つめながらほくそ笑んだ。
あの人の苦痛も快感も全部、俺のモノにするのだと決め込んで。

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適当。
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