そんなみために騙されて(適当)

「ねぇねぇ!ダメ?」
「ダメも何もないだろ…でしょう」
どうして子どものおねだりってのはこうも必死でかわいいのか。
中身がアレだって知ってても、一瞬流されそうになる。
「だって!イルカ先生と一緒がいいの!…あんまり誰かと一緒に行った事ないし…約束してたのに…」
こんな風にしょんぼりされたら余計だ。
普段傍若無人な男が、今は俺の半分位のサイズになってるってだけでも、多分俺は動揺してる。
その上自分のズボンをぎゅっと握り締めながら我慢してるとこなんて見せられたら、もう無理だった。
約束破るのもよくないよな!…うん、そういうことにしとこう。
「いいですか?一応俺の家に身を隠してる立場ってことを忘れないように!」
警告はする。
俺よりずっと頭のできはいい…はずなんだから、俺の言いたいことはこれでわかるはずだ。
それでなくてもこの銀色の頭は目立つっていうのに、正体がばれなくても隠し子だなんだと大騒ぎになるのは避けたい。
五代目に到っては、事情を知ってるくせに、隠し子かだのお前いつ産んだだの滅茶苦茶なこと言い出したしな…。
そっち方面の醜聞も、広まれば刺客に漬け込まれかねない。
知識と技術はほぼそのまま残っているらしいが、体格も体力も、子どものものじゃ抵抗するにも無理があるってもんだ。
目立たず静かに。休みも任務扱いにしてもらって一緒にいるってのにやっぱりこの人はわがままだ。
…まあずっと楽しみにしてたのは知ってるだけに、腹は括った。この際徹底的にがんばるしかないだろう。
「…やっぱり、だめ…?」
「俺の子どもの頃の服があったはず…浴衣じゃ…祭にはいいけど寒いしなぁ…?」
中忍になるまでかなりチビだった俺よりもさらにチビっこいからな。今は。
「い、いいの!やったぁ!大丈夫大丈夫!服なら変化でいいし!」
「ってそうだ!なら大人になればいいじゃないですか!」
「ヤダ。だって大人だといちゃいちゃしてくれないじゃない!」
「そういう問題ですか!?」
この人自分が他国の刺客に狙われてるって自覚ないんだろうなぁ…。
いつもこの手の冗談ばっかり言ってるけど、もしかしなくても本気みたいだし。
「そういう問題なの!…一緒に寝てもくれないじゃない」
「そりゃ大の大人が一緒にねないでしょうよ。狭いし」
「だーかーら!好きなの!」
「狭いのが?変わってますね…?」
でも最近家に帰ったら寂しいからって俺の布団に包まってたことがあった、誰か側にいないと眠れないのかもしれないな。
…女の回転早そうだったもんなー。なんか腹立つな。
思い出して一人で腹を立ててたら、いきなりちびっこい手が俺の頬を挟み込んだ。
「ああもう!こういうこと!」
「んむっ!?」
「…わかった?」
「オヤツ食べたばっかりだったんですね」
甘いモノは苦手だっていうからおかかのおむすび置いといたんだよな。ネギ入れて。
ネギ味のキスなんて、いつもかっこつけてばかりのこの人がと思うとおもしろくなって、思わず笑ってしまった。
「ちーがーうーでーしょー!」
拗ねるさまもこうしてみるとまさに子ども。…子どもっぽいと思ってたけど、ここまでしっくりくるとなんだかなぁ?
「祭には行きます。…でも俺は子供とこういうことはしません!」
「え!?ってことはえぇ!?」
「先に寝ます。おやすみなさい」
「ちょっとまってよ!」
追いかけてくるのを振り払うようにベッドに逃げ込んだ。
もそもそ背中に潜り込んでくる生き物に関しては…しばらくそっとしておこう。
というかむしろ俺の方が、なにがどうしたらいいのか分からんから考える時間が欲しい。
「好き。この術解けるようにがんばるから、もっとちゃんと俺のこと考えてね?」
調子に乗って項に吸い付いた子どもをどやしつけるのは朝になってからでいいだろう。
ぎゅっとしがみ付く手は子どもの物で…寂しがりやなのもきっと本当だから。
「おやすみなさい。カカシさん」
「…おやすみ。イルカせんせ」
子どもの体温は暖かい。きっと良く眠れるだろう。
ふわふわの布団と小さな熱源に誘われるままに、襲ってきた眠気に俺は抗わなかった。


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適当。
子カカシもどき奮闘中ってことで!
ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ!

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